PwC、APEC CEO年次調査を発表‐貿易摩擦が激化するなか、ビジネスリーダーの成長への自信は高水準を維持

  • アジア太平洋地域のビジネスリーダーの51%が投資水準の引き上げを計画
  • 海外投資先として人気が高いのはベトナムと中国
  • ビジネスリーダーの過半数がテクノロジーの影響により雇用を拡大
  • 65%がSTEM(科学・技術・工学・数学)スキルの向上に向け、政府のさらなる措置を要望
  • 国境を越えたデータ移動に関する懸念が上昇

2018年11月22日
PwC Japanグループ

2018年11月15日パプアニューギニア・ポートモレスビー-貿易摩擦が激化しているものの、アジア太平洋地域のビジネスリーダーは向こう12カ月の収益成長に引き続き自信を持っています。

アジア太平洋経済協力会議(APEC)を構成する21カ国・地域のビジネスリーダー1,189名を対象とした本調査では、収益成長に大いに自信があると答えた割合は、2017年の37%からわずかに減少しましたものの、35%の結果になりました。また、51%は向こう12カ月における投資の増額を計画しています。

PwCは、パプアニューギニアの首都、ポートモレスビーで今週開催されるAPEC CEOサミットに先立ち、この調査を実施しました。

米国およびタイのビジネスリーダーは、収益成長に「大いに自信がある」と回答した割合が最も高く、それぞれ57%および56%でした。一方、米国の貿易相手国の上位を占める中国とメキシコの同回答は、25%および21%と平均を下回りました。

9月に米中間で追加関税が発動された後、米国のビジネスリーダー100名を対象に実施した2回目の調査では、過半数(69%)が関税による収益へのプラスの影響を予想、企業コストへのマイナスの影響を予想するビジネスリーダーは27%にとどまりました。

収益成長への自信に加えて、ビジネスリーダーの51%は投資水準を引き上げる予定であり、この割合は2年前の43%から上昇しています。APECのなかで最も多くの海外投資を呼び込むとみられるのは、ベトナム、中国、米国、オーストラリア、タイであり、2018年の調査ではオーストラリアが新たに海外投資先上位5カ国に入り、インドネシアが上位5カ国から外れました。

また、ビジネスリーダーは、将来の投資先としてこうした大規模市場のその先も見据えています。次に「ユニコーン」企業の成長を促す条件を備えているAPEC諸国(米国、中国以外)はどこかとの問いでは、シンガポールと日本が首位に挙げられています。

PwC中国法人会長のレイムンド・チャオ(Raymund Chao)は、次のように述べています。

「ビジネスリーダーはビジネスのいかなる面でも不確実性を好みませんが、貿易の流動性については言うまでもなく、彼らはこの新たな現実に適応しつつあり、成長し繁栄する方法を見つけようとしています。私たちが会話をしたビジネスリーダーのおよそ5人に1人は2018年に新たな貿易障壁を経験しましたが、新しい貿易協定から新たな成長機会を見つけつつあるCEOの数はこの1年間で倍増しました」

「どのような貿易戦争でも勝者と敗者はいるものですが、企業はこれまでにはない、新たな成長への道を見いだしていることが本調査で明らかになりました」

また、テクノロジーが職場にもたらす直接的な影響として、ビジネスリーダーの56%が雇用を増やしており、人員削減を積極的に進めているCEOは9%にとどまりました。雇用市場は良好といえるでしょう。しかし、ビジネスリーダーの34%は、適切なスキルと経験を備えた人材を見つけることに苦労しており、必ずしも適切な人材を適宜配置できているわけではありません。このギャップは科学・技術・工学・数学(STEM)に関連するスキルで強く実感されています。ビジネスリーダーの65%が自国の政府はSTEMのプロフェッショナルを養成するために、さらなる措置を講じる必要があると述べています。また、この分野における自国政府の対応が十分であると感じているビジネスリーダーの割合は、わずか14%でした。

このようなセンチメントは、APEC全域で、より多くの人々が成長の恩恵を受けるために何ができるだろうかとの問いへのビジネスリーダーの回答にも表れています。ビジネスリーダーが挙げた要素のトップは、あらゆるレベルでの質の高い教育へのアクセス拡大であり、次いで輸送の改善となっています。

レイムンド・チャオ(Raymund Chao)は、次のようにも述べています。

「訓練や教育の問題がAPEC諸国のビジネスリーダーにとって最も重要な課題であることは極めて明白であり、企業が長期的に成功を収めるために何ができるのかという点について、今週ポートモレスビーに集まる各国首脳に明確なメッセージを発信しているといえます」

APEC諸国のビジネスリーダーはまた、デジタル化への投資を増やす必要性を非常に強く認識しています。インターネット経済は東南アジアだけで2025年までに2,000億米ドルを上回ると予想され、ビジネスリーダーにとって最優先の投資対象は顧客とのコミュニケーションのデジタル化であり、これに僅差で従業員のデジタルスキルが続きます。

ビジネスリーダーは、デジタル化に関して、さらに措置をとる必要があることも認識しています。自社の人工知能(AI)の使用に関し、非常に競争力があると回答したビジネスリーダーはわずか15%にとどまる一方、33%はAIを全く使用していません。AIで自社の競争力が高まっていると答えた企業は、自社の優位性を利用するために何をする必要があるかを明確にしています。それは、投資の拡大、AIに関する能力のさらなる開発、国内スタートアップ企業への投資としています。

しかし、テクノロジーは持続可能な成長に対する答えの一部となり得る一方で、新たな貿易環境における課題も生み出しました。国境を越えたデータの移動は、企業がこの1年間に経験した新たな障壁のなかで最も大きく増えた分野であり、その割合は2017年の15%から20%まで上昇しました。

レイムンド・チャオ(Raymund Chao)は、次のように付け加えました。

「APEC諸国の企業がデジタル化を進め、AIなどの新たなテクノロジーを利用するに伴い、データの移動はグローバル貿易を一段と推進する原動力となるでしょう。当面は、データ移動に対する障壁の高まりへの懸念に対処することが、引き続き企業にとって優先課題の1つとなるでしょう」

以上

注記

  1. レポートの全文は、Shaping the digital future in Asia Pacific: Prospects for growth 2018-19[English]に掲載しています。
  2. PwCは、2018年11月16~18日にパプアニューギニア・ポートモレスビーで開催されるAPEC CEOサミットのナレッジパートナーです。PwCは、2018年5月から7月にかけて、APEC参加国・地域のビジネスリーダー1,189名を対象に調査を実施しました。2018年10月には米国のビジネスリーダー100名を対象に追加の調査を実施しました。

※本プレスリリースは、APEC(アジア太平洋経済協力)CEOサミットの開催に合わせ、PwCが2018年11月15日にパプアニューギニア・ポートモレスビーで発表したプレスリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

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