地方創生に向けた地域商社設立・提携支援

~地方銀行の新たな期待役割を実現する~

近年、日本における人口減少は大きな社会問題となっています。特にビジネスや文化の都市集中に伴い、地方における生産年齢人口の減少は顕著です。地方では人口減少を起点とした「総需要の減少」「供給(事業)の減少」「雇用機会の減少」が連鎖する、縮小均衡状態に陥りつつあります。

地方における縮小均衡状態を解消するためにはまず、「域外からヒトやおカネを呼び込む」ことが考えられます。

しかしながら、既存のマーケティングや商品・サービス、販売方法などはすでに大方の需要を発掘し尽くした感があり、今後は新たな需要の創出が重要になります。

需要創出に向けては、需要を喚起するコンセプトを提起した上で、域内キープレイヤーおよび彼らが持つ商材・サービスを取りまとめ、足りないものは域外から調達し、販売チャネルを整備し、収益モデルが確立する見込みを立てた上で、市場にうって出る「バリューチェーン構築活動」が求められます。従来、海外から日本におカネを呼び込む際に商社などが中心となって担ってきたこのような活動を、地方を主語として推進する事業主体は「地域商社」と定義されています。地方創生においては、こうした地域商社が大きな役割を担うことが期待されます。

地域商社に求められる主要機能

地域商社は「地域の観光資源へヒトを呼び込み、おカネを落としてもらう」、もしくは「物品・サービスなどを域外の消費者や企業に販売し、おカネを呼び込む」ことを中心に、バリューチェーン構築活動を通じビジネスを展開します。地域商社に求められる主要機能は以下の通りです。

地域商社を推進するのは、人財を抱える地方銀行

地域商社の推進が実現可能な人財を抱える地方の代表的なプレイヤーは、地方銀行です。地方銀行では、事業機会の縮小傾向に伴う再編が進む一方、域内経済循環の活性化への継続的な貢献や新たな収益手段の獲得が求められています。また、地方銀行の人財の特長は、基礎的なビジネス素養の高さはもちろん、地域での強固なネットワーク・財界における立ち位置・地域振興に対する高い志を持つ人材が集まっていることです。ネットワークと人財力こそが競争優位の源泉となる商社事業との相性の良さから、地域商社への参画を検討する地方銀行は増加傾向にあり、また金融庁も規制緩和などを通じて設立を促す動きを見せています。

PwCのアプローチ

PwCコンサルティングでは、地方創生・地方銀行・観光・小売・商社・新規事業創出関連のコンサルティングに豊富な実績を有するメンバーが中心となり、必要に応じてさまざまな業界・分野の専門家と緊密に連携しながら、地方銀行が地域商社を設立する際の需要調査、コンセプト創造、パートナーシップ戦略策定、パートナー選定、提携先との交渉、ビジネスモデルの構築、営業活動支援、事業運営のモニタリング・改善をワンストップで支援しています。

事例

再編後の新たな収益手段の獲得に向け、地域商社設立を図る大手地方銀行に対し、市場における需要動向や地域商社に求められる機能の中長期的展望を整理した上で、株主向けの設立趣意書・事業計画および今後の実行計画策定の支援を行いました。

<成果物サンプル>

地域商社が取り組むべき事業

まずは観光業から

地域商社がまず取り組むべき事業は観光業です。

近年はさまざまなコンセプトを持つ地域産品が市場に多く出回っており、ブランディングやプロモーションについても趣向が凝らされ、差別化が容易ではない状況です。他方で観光に関しては、訪日インバウンドにおける再訪者増加や、国策による後押しを受け、観光スポットは「東京、箱根、富士山、名古屋、京都、大阪」のゴールデンルートから地方へと分散が進んでおり、地方に追い風が吹きつつあります。

まず観光需要を獲得し、当該地域へ愛着を持つ人々を増やし、口コミなどの波及効果を通じブランドを確立させた上で、そのブランドコンセプトに沿う形で地域産品を域外に販売していくことが有効といえます。

観光需要獲得を検討する上では、ターゲットとして「インバウンド観光客」「ミレ二アル世代」などのキーワードが挙げられます。彼らの消費行動には、旅全体のストーリー性やコンセプトに共感した場合に消費を惜しまない傾向が見られます。この消費傾向に対して、地域における商業・宿泊施設が単体で立ち向かうには限界があります。打ち立てたコンセプトに即して、交通・商業・食・宿泊・レジャー・神社仏閣・自治体などを取りまとめ、地域全体で提供できる観光パッケージを整備する取り組みが必要です。

さらに、広告代理店や旅行会社など域外マーケティングチャネルの整備や、地域の観光事業者向けの決済ツールなどの整備も必要で、これらはすべて地域商社が担う役割です。

地域産品販売のコンセプトに即した取りまとめ・パッケージ化

地域産品の販売についても、観光業と同様にコンセプトに即した各プレイヤーの取りまとめとパッケージ化を行います。域外への販売チャネルとしては、百貨店、総合スーパー、コンビニやECサイト(eコマース)はもちろんのこと、需要が集約される都心のアンテナショップの活用も有効です。

域内の経済循環活性化

地域商社は「域外からヒトやおカネを呼び込む」だけでなく、域内の経済循環を活性化させる役割も担います。

「域内事業者の生産性向上」によるコスト削減や、「コンパクトシティ化」により対人接点を増やすことによる消費意欲の喚起などが挙げられます。その代表的な施策は下記です。これらはいずれも地域商社の事業機会となるでしょう。

  • 域内における事業承継などに通じたプレイヤーの構造再編
  • 駅前再開発、コンパクトシティの実現
  • ICTソリューション導入支援

ICTソリューション導入については、地方の中小企業ではICTにかけられる人材やコスト、知見も限られるため、強い潜在的ニーズがあります。そうした中で、身の丈に合ったサービスのみ利用できるSaaSモデルのICTソリューションは、地方の中小企業への適合性が高いと想定できます。地域商社には、域内の中小企業とSaaSを中心としたICTソリューションをつなぎ、生産性向上に寄与する役割も期待されています。


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主要メンバー

愛場 悠介

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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澤田 竜次

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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岡山 健一郎

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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