企業立病院・診療所における内部モニタリング・監査支援

企業立病院・診療所に対する内部モニタリング・監査の難しさ

企業が設置・運営する病院・診療所は企業立病院・診療所と呼ばれ、全国でも一定の規模を持ち、企業職員以外の地域住民も含めた医療提供への貢献において大きな役割を果たしています。これらの病院等については企業が設立・運営母体であるため、母体企業の関連組織という位置付けで、企業内部のモニタリングが行われることが一般的です。

しかしながら、専門性の高い医療分野に対して、通常の企業内モニタリングのアプローチを適用することは有効ではありません。企業立病院・診療所は母体企業の一部でありながら、実際には異なる環境・文化であるため、医療組織固有の環境・文化に応じたモニタリング戦略を検討しない場合、形式的なチェックのみに終始し、組織運営上のリスクの本質におよび、真の改善を図るための内部監査を遂行できない可能性があります。

【図1】医療組織を取り巻くリスクカテゴリ

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母体企業の監査部門に求められる期待

2025年の地域包括ケアモデルの推進に向け、病院運営のありようは現在大きな変革期を迎えています。国立病院や国立大学は既に独立行政法人化し、公立病院は官庁主導の改革プログラムのなかで自らの医療機能の見直しを図る一方、企業立病院の一部においても医療法人化、あるいは事業譲渡による別組織体への変容などが相次いで進んでいます。

一方、企業運営においても、株主をはじめとしたステークホルダーにとっての企業価値の最大化に向け、コーポレートガバナンスの重要性が日本においても普及しはじめています。企業立病院・診療所を有する母体企業においては、医療費抑制を中心とした政策動向のなかでさまざまな諸課題に直面していく、これらの組織体の価値をいかに向上させていくかという戦略が強く求められます。

このような背景のもと、母体企業では医療分野を専門とする外部コンサルタントを活用し、医療組織運営上の課題を解決しようという取り組みが実施されています。しかしながら、その取り組みの成果を評価するには、医療分野の専門性が求められるため、成果の検証が十分に行われていない事例がよく見受けられます。本来であれば、成果の検証は企業内部のモニタリング部門が担うべきではありますが、モニタリング部門における医療専門性の不足により、本来果たすべきモニタリング機能が十分に発揮できず、改善すべき諸課題への効果的な取り組みを阻む事態を招く状況が多いことも事実です。

このような状況は母体企業にとってのステークホルダー(株主)に対して、特に経営面の諸課題を抱えがちな医療組織の運営に係る管理責任/説明責任の遂行を困難にするリスクがあります。また、コーポレートガバナンスの観点から、自社病院・診療所の恩恵を受けるステークホルダー(地域住民)に対して、公共性の高い医療サービスの品質水準を損なう事態に対する説明責任も求められる可能性もあります。このように今や企業立病院・診療所の運営することは、さまざまな意味で母体企業としてのコーポレートガバナンスの水準を問われる事態を招きます。

このような状況下において、企業立病院・診療所を有する母体企業のモニタリング部門には、適切な自社医療組織の運営、ひいては母体企業としてのコーポレートガバナンスの健全性の確保に向けた内部モニタリングの力が求められています。

【図2】母体企業の監査部門に求められる期待

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PwCとしての支援

PwCでは、病院・診療所運営に精通したメンバーが、専門的なリスクマネジメントの知見を活用し、企業としての経営環境に加え、医療業界の政策動向、医療組織を取り巻く運営環境を総合的に検討した観点より、医療組織を対象としたモニタリング・監査等の戦略立案、計画検討、フィールドワークなどの各フェーズを柔軟に支援します。

これらの取り組みを通して、企業立病院・診療所における経営面も含めた諸課題の検出/改善案の提示を行い、ひいては母体企業としてのコーポレートガバナンスの健全性の向上に寄与します。