2016-05-13
コンプライアンス機能の有効性や効率性を継続的に担保してゆくためには、コンプライアンステスティング/モニタリングの実施が不可欠です。これらは、第2線の役割として期待されている機能ですが、欧米の規制当局を中心に、コンプライアンステスティング/モニタリングの高度化に対する要求も高まりつつあります。
PwC USが実施したコンプライアンステスティングサーベイ(2015年)によると、多くの金融機関はコンプライアンステスティングに係るプログラムを改善してきているものの、さらなる改善の余地が残されていることが明らかとなりました。調査対象金融機関の77%が、今後2年間でコンプライアンステスティング活動を拡大させることを計画しています。しかしながら、PwCは、コンプライアンステスティングをより「スマートに」実施するためには、多くの金融機関においてさらなる取り組みが必要であると考えています。具体的には、いわゆる3つのディフェンスラインにおける、それぞれの防衛線の間での連携の強化、テスティング実施に関するリソース不足への対応、データアナリティクスの活用といった取り組みの実行が不可欠です。こうした取り組みに関する現状は、以下のとおりです。
(図1)コンプライアンステスティングに関する主要課題(上位3つ):
(出所 PwCコンプライアンステスティングサーベイ)
(図2)
(出所 PwCコンプライアンステスティングサーベイ)
コンプライアンステスティングにおけるリーディングプラクティスを実現するためには、オペレーション全体にわたってデータアナリティクスを活用することが不可欠です。PwCは、3つのディフェンスラインそれぞれが戦略的に連携しつつ、コンプライアンステスティングにおいてデータアナリティクスを活用し、既存の確保可能なリソースを最大限に生かし切ることが肝要であると考えます。
規制当局の目線に追随していくには、単なるチェックボックス型のコンプライアンステスティングから脱却するとともに、コンプライアンスの現状についてよりきめ細やかな把握が可能なテスティングを実行し、コンプライアンスやリスク管理活動のさらなる透明化を実現していかなければなりません。
上記のようなアプローチを採ることで、金融機関のコンプライアンス機能は、受け身ではなく先を見越した対応を行うことができるようになり、リスクの予測やコンプライアンス事象の防止、さらには、金融機関の戦略目標の達成をより効果的にサポートできるようになるとPwCは考えます。