5代目を過ぎて:「ファミリービジネス」から「ビジネスファミリー」へ

Thomas Ahlström氏

Antti Ahlström Perilliset Oy 業務執行取締役/フィンランド/持株会社

Ahlström一族は、165年前から続く起業家精神と慈善活動でフィンランドの産業界に君臨しています。

最も顕著な業績は1851年のAhlstrom製紙会社の設立です。これは現在、世界最大かつ最も成功している繊維会社の一つです。

一族は、民間持株会社のAntti Ahlström Perilliset Oyを所有し、同社は、産業、不動産、林業に約15億ユーロの投資を管理する民間投資会社であるAhlström Capital Oyの最大株主です。

どのようにここまで成長したのでしょう?Thomas Ahlström氏は、Antti Ahlström Perilliset Oyの業務執行取締役であり、一族の5代目です。彼に一族の成功の秘訣を尋ねました。
「私たちは常に緊密に結ばれた家族でした。これが大きな要因の一つでしょう。長い時間を一緒に過ごし、社会への帰属意識が強く、伝統に誇りを持っています。そしてビジネスにも一族にも、常に適切な統治対策を準備しています。」

彼は、実際に必要になる前に統治対策を準備しておくことが重要だと考えています。

「論争の真っ最中に対策を決めるのは無理な話です。問題に対処する枠組みは、問題が生じる前に作っておき、状況の変化に合わせて変更していく必要があります。5世代を経て、一族は300人以上に増え、10人や12人のときとは大きく異なる統治構造が必要です。このような課題こそ、私が今の仕事に魅力を感じる理由です。しかし、この分野で貢献してきたのは名字のせいではありません。一族の一人として関心があるかどうかとは尋ねられましたが、その後の採用手続きは他の人と同じ。非常に厳しい面接でした!」

良好な統治は非常に重要ですが、それだけで十分ではありません。

「必要なのは、強力で将来に目を向けたリーダーです。そのような人材は、新しい世代それぞれに見出す必要があります。私たちは承継計画に長い時間を費やし、次の世代に対して4年間の能力開発計画を設けています。そして彼らに子会社で職務経験を積む機会を提供します。」

もう一つ、Ahlström一族の誰もが確信しているのは、強力で多様性のある理事会の価値です。

「幅広いスキルと経験の他、男女のバランス、年齢層のバランスも考慮する必要があります。業界知識はもちろん必須ですが、オーナーだけが持っている視点もあります。彼らは事業に実際に投資しているからです。その他、独自の専門知識を持ち、事業と一族の両方に挑戦することのできる独立した取締役もいます。もちろん良い意味での挑戦です。」

これが、19世紀半ばから存続し、成功しているモデルです。Thomas Ahlström氏は、21世紀をどのように見ているのでしょう?

「私がこの役職を選んだ大きな理由は、家族とビジネスをまとめ、6代目に目を向けるとともに、統治と承継の点で世界最高のファミリービジネス企業を作りたいからです。それが私の目標です。」

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小林 和也

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