2020年の移転価格動向の予想

2019-12-27

移転価格部ニュース
2019年12月27日

 

2018年末の税制改正における所得相応性基準の導入を受け、2019年も、移転価格事務運営指針の改正や移転価格調査件数の増加等、やはり移転価格が、国際課税の中でも注目されました。

2020年(令和2年)は、いよいよ、BEPS(税源浸食と利益移転)の見直しの年となります。2020年の移転価格について、大胆に予想をしてみました。

1.移転価格関連の法令や事務運営指針等の大幅な見直し・整理

2015年のBEPS最終報告に始まった、国内法への落とし込みが、所得相応性基準の導入でほぼ終了しました。この5年間、随時行われてきた法令等が全面的に整備・見直しされるのではないでしょうか。

特に無形資産については、通達や事務運営指針に、BEPSで議論された、DEMPE分析が規定されるとともに、評価や文書化についても新たな事例集が公表されるのではないでしょうか。

また、BEPSの見直しでも、移転価格文書化(マスターファイル、CbCR等)の改訂が、2020年末までに決まるのではないのでしょうか。

2.国際課税の執行体制の大改革と無形資産への調査強化

2019年12月20日付けで、国税庁から2020年7月の定期異動後の国際課税の新体制が発表されました。移転価格調査の専門部署(国際情報第一課)が国際課税全般を調査する部署に生まれ変わるようです。これは、移転価格の縮小を意味するのではなく、すべての調査部門(税務署含む)で移転価格調査も一般調査時に同時に行われることを意味するようです。すでに、昨年からの人事異動で、多くの移転価格調査経験者が、調査部の一般部門や税務署に異動となり、移転価格調査が増加しはじめています。

国税庁「令和2年度予算の概要について(機構・定員関係)[PDF 116KB]」

また、無形資産については、上記の法令等の整備・見直しを受け、これまで以上に深堀した調査が行われるようになるのではないでしょうか。

3.各国税務当局の国際課税への意識高まる

2019年11月8日にOECDから公表された「グローバル税源浸食防止提案(GloBE)第2の柱」は、移転価格そのものではありませんが、経済のデジタル化に伴うBEPSが依然存在するという課題に対して、国際事業利得に対してミニマム税率課税によって確実かつ包括的な対応を行うことを意図したものであり、130を超える包摂的枠組参加国に大きな影響を与えるものです。また、同月28日には、中国やインドネシアといった、相互協議で非常に注目されていた国の具体的な執行状況や実績値が公表されました(BEPS行動計画14によるピアレビュー)。これらによって、BEPSでOECDからG20に拡大した国際課税への関心が、多くの国々により一層浸透していく年になることが予想されます。

皆様の予想はいかがでしょうか。

なお、月刊国際税務(国際税務研究会発行)の2019年11月号から2020年1月号に、3カ月連続で所得相応性基準を中心とした移転価格の記事を掲載しています。

>令和元年度税制改正における所得相応性基準・DCF法の導入について(1)

「月刊国際税務」2019年11月号

今後も、セミナーや記事等を通じて、皆様にタイムリーに最新情報をお届けしてまいります。

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