2018-04-04
原文については、FASF及び金融庁のウェブサイトをご覧ください。
https://www.asb.or.jp/jp/other/web_seminar/kaiji_20180330.html
https://www.fsa.go.jp/news/30/20180330/20180330.html
我が国においては、現在、金融商品取引法に基づく有価証券報告書と、会社法に基づく事業報告等の2つの開示書類を作成する実務が行われており、「日本再興戦略2016」(2016年6月閣議決定)では、企業と投資家の建設的な対話を促進する等の観点から、「制度的に要請されている事項を一体的に開示する場合の関係省庁による考え方等を整理」することとされました。
その後、2017年12月に、内閣官房・金融庁・法務省および経済産業省は連名で、「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組について」(※)を公表しました。これを受け、同日、金融庁と法務省は「一体的開示をより行いやすくするための環境整備に向けた対応について」を公表し、有価証券報告書と事業報告等の一体的開示をより行いやすくするための環境整備の一環として、一定の事項について、ひな形における明確化または法令解釈の公表等の対応を行うこととされていました。
これらを受け、一体的開示をより行いやすくするための環境整備の一環として、本取組において次の対応がなされました。
財務会計基準機構が公表した本取組は、「一体的開示をより行いやすくするための環境整備に向けた対応について」を踏まえ、金融庁・法務省の要請を受けて、金融庁・法務省の協力を得つつ、財務会計基準機構内に設置された「有価証券報告書等開示内容検討会」において議論された結果等を反映して作成されました。有価証券報告書と事業報告等の記載の共通化を図るうえでのポイントや記載事例を示すことを目的としており、ひな形における明確化を図っています。
金融庁・法務省が公表した「『一体的開示をより行いやすくするための環境整備に向けた対応について』を踏まえた取組について」では、「本取組に掲げられた「作成にあたってのポイント」及び「記載事例」の内容は、関係法令の解釈上、問題ないものと考えられ、企業において、有価証券報告書と事業報告等の記載内容の共通化を行う際には、本取組が参考になるものと考えられます。」と示されています。
このほか、金融庁は、有価証券報告書と事業報告等の記載内容の共通化や両書類の一体化を希望する企業へのサポートのため、企業からの共通化等に係る相談を受け付ける窓口を設置しています。
本取組では、以下の15項目について、有価証券報告書と事業報告等の記載の共通化を図るうえでの有価報告書作成にあたってのポイントや記載例が示されています。
本取組における記載事例は、事業報告等との記載の共通化に取り組むための有価証券報告書の記載事例となっています。本取組における記載事例はあくまでも例示であり、有価証券報告書と事業報告等の記載を共通化する場合の様式及び内容を拘束するものではないとされています。したがって、実際の作成にあたっては、関係法令等を参照のうえ、有価証券報告書・事業報告等の利用者の適切な判断に資するよう、個々の企業の実態に応じた適切な開示を行うことが望まれるとされています。
(凡例)
開示府令:企業内容等の開示に関する内閣府令(昭和48年大蔵省令第5号)
開示ガイドライン:企業内容等の開示に関する留意事項について(平成11年大蔵省金融企画局)
財規:財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)
連結財規:連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和51年大蔵省令第28号)
施行規則:会社法施行規則(平成18年法務省令第12号)
計算規則:会社計算規則(平成18年法務省令第13号)
金融商品取引法と会社法の両方の要請を満たす一つの書類を作成し開示する際の実務の参考として、本取組の末尾に「III.(参考資料)有価証券報告書及び事業報告等の記載項目の対応表」が記載されています。
(参考)
※「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組について」の公表(内閣官房・金融庁・法務省・経済産業省)(日本基準のトピックスNo.341号)
このニュースレターは、概略的な内容を説明する目的で作成しています。この情報が個々のケースにそのまま適用できるとは限りません。したがいまして、具体的な決定を下される前に、PwCあらた有限責任監査法人の担当者にご確認されることをお勧めします。
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