改正農協法の成立

2015-11-27

平成27年8月に国会で改正農協法が成立し、全国の一定以上の規模の農協(JA)には公認会計士監査が導入されることとなりました。私たち監査法人としては、外部監査の役割の重要性を認識していただき、より多くの組織に経営の透明性を高めるための外部監査が導入されることは意義深いものと考えています。ただし一方で、現在のJAが置かれている厳しい環境について理解を共有し、その中で私たち監査法人がどのような役割を果たしていくべきかについて考えていきます。

9月から10月にかけてTPP閣僚会合が行われ、最終的に大筋で合意したことは記憶に新しいところかと思います。今回の合意では、農業分野においては輸入枠の拡大や関税の引き下げあるいは段階的撤廃などが盛り込まれたことにより、国内生産者はより厳しい競争に直面することが予測されています。その一方で、高齢化による担い手不足や大規模化の遅れなどにより農業者が弱体化しつつあり、競争環境を勝ち抜いていくだけの力を備えるためには、関係者による強力なサポートが不可欠な状況になっています。

JAの新しい役割

今般の改正農協法による農協改革は、農業者の生産能力・販売力を強化するために、JA、中央会および連合会の組織に改革を促し、これらを通じて農業者の所得増大と農業生産の拡大を図ろうとするものです。例えば農産物の販売にあっては、これまでは農家からの委託販売が多くを占めており、JA自身がリスクを取らないことから、付加価値を高める販売戦略をとることができていないと言われています。また生産資材の調達においても、JAの調達ルートが硬直的であることから、調達ルートを多様化してより安価な資材の調達を進める必要があると指摘されています。このような状況を改革し、JAが自由な経済活動を推進することにより、より農業者の経営に貢献できるような役割を果たすことが期待されています。

農協改革と公認会計士監査の導入

他方、全国組織に目を転じると、これまで全国中央会(JA全中)は行政に代わって農協の指導・監査を行う権限を付与され、監査についてはJA全中の中に設置されているJA全国監査機構がその役割を担っていました。今回の農協改革では、JA全中は組合の意見の代表、総合調整などを行う一般社団法人に移行するとともに、JA全国監査機構の監査の義務付けも廃止されて2019年度より公認会計士監査が導入されることになりました。ただし、JA全国監査機構も新しく監査法人を設立し、JAの監査を引き継ぐことを計画しています。

私たちPwCあらた監査法人は、2015年の春に農業ビジネス支援室を立ち上げ、農業法人の経営者を会計と経営の専門家の立場から支援する活動を進めています。今回これに加え、JAおよび系統組織といった、農業者をサポートする側に対してサービスを提供するためのチームとしてJAビジネス支援室を設置しました。まずは法定監査が導入されるまでの期間において、内部管理体制の高度化や監査の受入体制の整備など、監査制度がスムーズに導入できるよう全中およびJAの活動の支援を進めていきます。これにより究極的には、農業の効率化・高度化が進展し、国際的な競争力が強化されるよう、監査法人として貢献をしていきたいと考えています。

具体的なサービス内容につきましては、メールにてお問い合わせください。

PwCあらた監査法人
JAビジネス支援室 室長 佐々木 貴司

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