PwC税理士法人 業務案内

移転価格コンサルティング

移転価格とは①国際取引であり②グループ内(親会社と子会社、子会社同士)取引の価格です。たとえば「日本で製造した製品をアメリカの子会社に輸出する際の価格」です。

自動車メーカーを例にして説明しましょう。日本の親会社が100万円で製造した自動車をアメリカの販売子会社は150万円で販売しています。移転価格を125万円に設定すると、親会社・子会社の利益はそれぞれ25万円となります(下表B)。ところが、移転価格を150万円に設定すると、50万円・0円と変化します(下表C)。

親会社・子会社合計の利益は50万円ですが、移転価格の設定によって利益の配分が異なります。利益の配分が異なると国毎の税金の配分が変わります。ですから、税金の配分によって国の税収に影響が出てしまうのです。

この例で移転価格が75万円であれば、親会社の利益は▲25万円です。これを日本の税務当局が見逃すわけにはいきません。日本では税収がなくなることになります(下表A)。

移転価格

反対に移転価格が高くなれば、アメリカの子会社の所得は減少し、今度はアメリカの法人税収が減少します。この場合、アメリカの税務当局はこの取引が独立企業間価格で行われたものとして課税することになります。これを移転価格税制に基づく課税といいます。移転価格を変更することで、それぞれの国で支払う税額に影響が生じるため、税法上、適正な価格で取引することが求められているのです。

移転価格税制は、自動車のような有形資産のみならず、ロイヤルティを支払う対象となる無形資産、設計・開発業務等のサービス(役務提供)についても適用されます。

移転価格コンサルティングは、税務当局に認めてもらえる適正な移転価格の設定をサポートする仕事です。単純に自動車1台の移転価格を考えるというわけではありません。クライアントは中小企業ではなく、グローバル企業が中心で年間取引が数十億円から数千億円という規模です。自動車の移転価格が1万円異なると、10億円・100億円単位で利益が異なってきます。

また、移転価格税制では、税務調査対象期間(除斥期間)が6年間ですから課税リスクは計り知れません。その課税リスクをマネジメントするのが移転価格コンサルティングです。適正な移転価格を分析するためには高度な専門性を要し、企業単独で対応することは難しいのが実情です。

クライアントの業務を理解しなければ、税務上の妥当な価格を算定することができません。経理部門のみならず事業部門の責任者・担当者と直接お会いし、製品の強み・開発プロセス・マーケティング等についてヒアリングを実施します。これを機能分析と呼んでいます。

機能分析に基づいて、分析対象とする企業(例:自動車メーカーであるA社)と同じような業務を行っている企業を複数見つけます(例:X社、Y社、Z社)。分析対象とするA社の利益率が比較対象のX社、Y社、Z社の利益率と同じような水準であれば、A社のグループ内取引は妥当であると考えます。これを経済分析(ベンチマーク分析)と呼んでいます。

移転価格コンサルティングは、「正解のない世界」です。移転価格の妥当性については、企業・税務当局間で見解が分かれることが多いため、税務調査は1年から2年かけて実施されることも多くあります。そのため、プロジェクトが数年単位になることも珍しくありません。日本・海外の税務当局、クライアントの本社・子会社、海外のメンバーファーム等、関与する人が非常に多いのも業務の特徴です。

移転価格は、国際取引のコンサルティングですので、英語で電話会議をすることも日常的です。税務当局・クライアントに対しプレゼンテーションをする機会も多いため、話すことが得意な方には向いているのではないでしょうか。グローバルな経営コンサルティングに興味のある方には大変刺激的な仕事だと思います。また、移転価格の業務は、事務所内の法人税・金融・関税などの担当者と仕事を進める機会が多くあります。幅広く税務業務に携わりたい方にもお勧めの分野です。


PwC税理士法人
移転価格部 シニア マネージャー 水島 吾朗

税理士。2004年入所。入所以来、移転価格コンサルティンググループに所属し、自動車部品、半導体、ソフトウェア、医療用具等さまざまな業界における、移転価格調査、相互協議、事前確認(APA)、移転価格方針文書化、移転価格リスクアセスメント等のプロジェクトに関わる。特にAPAについては、日米、日スイス、日アイルランド、日加、日中、日タイなど数々の案件に関与。クライアントは、日系および外資系多国籍。クライアントは、日系および外資系多国籍企業が概ね半分ずつ。

Follow us