移転価格税訴訟における初の納税者勝訴判決について

Global Tax Highlights Vol.3 - August 2009

移転価格税訴訟における初の納税者勝訴判決について (P17) [PDF 470KB]

東京高等裁判所は、2008年10月30日に、コンピュータソフトウエア製品の販売支援等を業とするA社の訴えを認め、第一審である東京地方裁判所の判決を破棄して、東京国税局が行った移転価格税制に基づく法人税の更正処分を取り消す判決を下しました1

移転価格にかかわる更正処分の適否が争われた裁判としては、公表されている限りでは、本件の他に3件のケースがありますが2、いずれも更正処分を支持する判断が示されており、本件は、移転価格の更正処分が裁判所により取り消される初めてのケースとなります。

さらに、本件では、同じ認定事実に基づきながら、独立企業間価格の算定方法の適否に関して、第一審と控訴審で判断が分かれる結果となっている点も注目され、本判決は今後の移転価格税制の執行にも影響を与えるものと考えられます3

  • 事件の概要
  • 東京地裁判決との比較
  • 本判決の影響


  1. なお、被控訴人は上告を断念したため、本判決が確定判決となっています。
  2. 国外関連者に対する船舶の譲渡対価に関する事件(高松高裁2006年10月13日判決)、国外関連者に対する貸付金の金利に関する事件(東京地裁2006年10月26日判決)および国外関連者に対する電子部品の販売価格に関する事件(大阪地裁2008年7月11日判決)。
  3. 裁判所の確定判決は、当該事件の当事者を拘束するだけですが、事実上、他の納税者や税務当局にも大きな影響を与えます。