FATCAに関する新たなガイダンスの公表(米国)

2011年7月14日、内国歳入庁(以下IRS)は、新たな通知(Notice 2011-53)を公表した。ここでは、外国金融機関(Foreign Financial Institutions、以下FFI)および米国の源泉徴収義務者が、2009年外国口座租税遵守法(Foreign Account Tax Compliance Act、以下FATCA)の諸規定を履行するにあたってのスケジュールが示されている。本通知はこれまでの通知(Notice 2010-60および2011-34)で示されたガイダンスを補完し修正するものであるが、特に本通知では、次に示す方法でFATCAを段階的に導入することが定められた。

  • 定額定期的な(fixed or determinable, annual or periodical)米国源泉所得に対する源泉徴収は、原則として2014年1月1日より適用開始となる。ただし、米国源泉利子または配当を生じさせる有価証券の処分に基づくパススルー支払い(Passthru payment)や総収入に対する源泉徴収は、2015年1月1日より適用開始となる。
  • FFIは、源泉徴収義務者が2014年1月1日より源泉徴収を開始することを回避できるようにするために、十分な余裕をもって確実に参加FFI(participating FFI)と認定されるよう、2013年6月30日までにIRSと契約を締結しなければならないとされた。2013年7月1日より前に契約をしたFFIは、2013年7月1日より参加FFIとなる。これまでは、源泉徴収が早ければ2013年1月1日より適用となるとされていたため、FFI は2013年1月1日から有効となる契約を締結する必要があった。
  • 新規および既存の米国人口座を確認するための参加FFIに対する精査の要請は、2013年に開始される。報告義務は2014年に開始されるが(2013年暦年の口座残高による)、初年度はかなり簡素化される。

本通知では最終的に、財務省およびIRSが2011年末までに規則案を、2012年夏までには最終版を公表することを見込んでいることが示されている。

なお、2011年7月25日にIRSは、上述の通知を修正のうえ再度公表し、全ての非金融外国企業(以下NFFE)に対する源泉徴収可能な支払い(withholdable payment)に適用されるFATCAに基づく源泉徴収の適用開始も遅れることについて明らかにした。

先の通知においてIRSは、パススルー支払いと一定の源泉徴収可能な支払いに対する源泉徴収に関する経過措置を定めていたが、NFFEに対する源泉徴収可能な支払いに対する源泉徴収義務にも当該経過措置が適用になるかどうかについては何も定めていなかった。この欠落がIRSの意図によるものなのか、単なる作成段階での誤りなのかはこれまで不明であった。

本通知修正により、FATCAに基づく源泉徴収は、NFFEに対する源泉徴収可能な支払いに対する源泉徴収と併せて、上述のスケジュールに従って段階的に導入されることが明らかにされた。

出典:PwC US, Global IRW Newbriefs
「月刊 国際税務」 2011年9月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編