技術革新に伴い、IRSでは、データを入手し、税務調査の範囲を決定し、問題点を把握するための新方法が可能となっている。たとえば、IRSは、国外の口座を識別する、税務調査対象となる申告書を選定する、税務調査の対象となった申告書にかかわる事案ファイルを作成する、租税回避取引を指摘する、そして他の潜在的問題を明らかにする、等のために電子データを利用してきた。
IRSによる電子データの利用はこの数年の間に増えている。IRSは種々のシステムを駆使して、電子データの入手、情報の分析、情報相互の関連の識別を行い、さらにそれを使用して潜在的な税法非順守の事例を明らかにしている。たとえば、この追加的な情報によって、申告義務、移転価格税制および恒久的施設の認定問題での潜在的な税法非順守事例に関連づけることが可能となる。
これらのシステムのうち、「YK1」と称するシステムについては、IRSが税務調査の間にその使用について開示しないので、納税者には関心があるであろう。
YK1は、フロースルー事業体(パートナーシップ、Sコーポレーション、信託等)とその受益者との関係を明らかにするシステムで、タックスシェルターの解明のために開発されたものである。多くのパートナーシップの調査、ヘッジファンドの調査にも使用されている。
所見:IRSは、問題発見と法執行に一層力を注いでおり、テクノロジー重視の傾向から、納税者の理解と税法順守の必要性がさらに重要となっている。納税者は、自らが提出した申告書や情報ファイルを検証するために電子データが利用されていることを知らないかもしれないが、IRS調査官には税務調査の開始前からでも追加の電子情報の入手が可能であると思っておく方がよい。
したがって、納税者は、「YK1」のような電子ソースからIRS調査官はどのように情報を入手するかを理解することが重要となる。納税者およびその代理人は、全てのフォームK-1が処理されていることとIRSに提供したフローチャートが調査対象年度に関して正確であることを確認すべきである。納税者は、フローチャート、ウェブサイト、関連当事者の申告書について、IRSの税務調査に備えての基本的な準備として再チェックをすべきである。