源泉徴収手続きを通じた新たな報告義務の提案(米国)

2009年10月27日、2009年外国口座租税遵守法案(‘Foreign Account Tax Compliance Act of 2009 ’、FATCA)が議会に提出された。これは米国非居住者の所得に課された税金を適正に徴収できるようにすることと、申告納税義務を逃れようとしている米国居住者に税法を適用することを米国政府が源泉徴収制度を通じてできるようにすることを目的としているものである。FATCAには、金融機関と非金融機関の双方に対する次のような新たな報告制度が含まれている。

外国金融機関に対する支払い時の源泉徴収
一定の報告義務要件を満たさない外国金融機関に対する「源泉徴収可能な支払い」のケースにおいて、源泉徴収義務者は外国金融機関に対する源泉徴収可能な支払いから30%の所得税を徴収することが求められる。この「源泉徴収可能な支払い」という用語には一般に、利子、配当、賃貸料その他固定し確定した年次もしくは定期的な米国源泉所得の支払いが含まれるとされている。

ただし、外国金融機関がIRSと次の合意をした場合には、源泉徴収は求められない。

  1. どの口座が「米国口座」であるかについて判断するための情報を各口座名義人から入手する。
  2. IRSが米国口座の識別を求めたとき検証と精査手続きに応じる。
  3. 金融機関によって管理されている米国口座についての一定の年次基礎情報を報告する。
  4. 金融機関によって管理されている米国口座についての追加情報に関してIRSの求めに応じる。
  5. 何らかの外国法により、金融機関によって管理されている米国口座についての情報を報告することが阻まれている場合(免除を得ていないとして)、(i)法の適用の有効かつ実効性のある免除を得るよう努めるか、(ii)免除を得られなかった場合に口座を閉鎖するか、のいずれかを行なう。

IRSとの合意に基づき、外国金融機関は、当該金融機関によって管理されている各米国口座に関して次の内容の報告をすることを義務付けられている。

  1. 特定の「米国居住者」(‘US Persons’、個人および税法で定義される一定の法人を含む)の場合は、各口座名義人の名前、住所および納税者番号(taxpayer identification number、TIN)。米国居住者が所有している外国事業体が口座名義人である場合は、当該外国事業体の実質的な米国所有者の名前、住所および納税者番号。
  2. 口座番号
  3. 口座残高もしくは評価額(財務長官により決定される)
  4. 総収入と、総引き出し額もしくは口座からの支払い額(財務長官により決定される)

他の外国事業体に対する支払い時の源泉徴収
次の場合を除いて、原則として同様の30%の源泉徴収が、非金融外国事業体への源泉徴収可能な支払いにも課される。

  1. 受益権者もしくは受取人が源泉徴収義務者に、(a)当該受益権者が実質的な米国所有者でないことを示す証明書、もしくは(b) 各受益権者の実質的な米国所有者の名前、住所および納税者番号、のいずれかを提示する。
  2. 源泉徴収義務者が提供されている情報に誤りがあることにつき知らない、もしくは知り得ない理由がある。
  3. 源泉徴収義務者が、各受益権者の実質的な米国所有者の名前、住所および納税者番号をIRSに報告する。
出典:PwC US, Washington National Tax Services Publication
「月刊 国際税務」 2010年1月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編