2011年3月23日、財務相は経済成長に向けた計画を発表した。ここでは、事業投資と景気回復を一段と促進するための税制度の創設に向けて、重要な対応策が講じられている。本改正案のうち、法人税に関わる主な事項は次のとおりである。
法人税率
法人税率が2011年4月1日より28%から27%へ引き下げられることが従来発表されていたが、今回これが更に引き下げられ、当該日より26%へと引き下げられることとなった。2014年までに英国の法人税率は23%まで引き下げられる。
当該税率の引下げは、石油ガス税制における特定所得(ring fence profit)にまで及ぶものではなく、30%のまま据え置かれる。また、石油ガス企業における追加課税(supplementary charge)は20%から32%へと引き上げられ、これにより当該分野の企業にとっては、極めて重大な増税になると考えられる。
なお、財務相は、銀行課税(Bank Levy)の強化により、法人税率の引下げが銀行の総税金負担額を減少させるわけではないことを強調している。
CFCルール
2012年から導入される金融会社(finance company)に対する除外規定は5.75%の低税率での適用となる予定である(従前の発表では8%)。より広く適用しようとするCFC(Controlled Foreign Corporation)ルールの積極的な緩和が期待できる。また、2011年1月1日以後開始する事業年度からCFCルールの動機テストによる適用除外規定の適用が実質3年間とされる。
改正CFCルールは既存の配当免税制度、キャピタルゲイン免税制度、配当源泉税の0%および利子損金算入に関する予測可能性の向上と対をなすものであり、持株会社の設立国地として英国はより魅力的なものになると言える。なお、無形資産に関するCFCルールの取り扱いについては言及されなかった。
無形資産
無形資産の改正(2013年4月からの特許権の10%分離課税を含む)が確認された。本改正案では、特許を受けた製品に組み込まれた、使用料(royalty)および特許権料(patent income)の双方が当該規定の対象となる。
研究開発費
研究開発費に関しては、とりわけ中小法人にとって魅力的な改正となった。中小法人の研究開発費に関する控除率が、2011年4月より200%に、2012年4月より225%に引き上げられる。
なお、2012年から廃止されるとされるペイ・アズ・ユー・アーン(PAYE)および年金拠出(NIC)の損失を発生した法人への現金還元の抑制措置は(審議次第ではあるものの)、とりわけ小規模事業ながら大きな研究開発費を支出している企業が恩恵を受けることになる。
耐用年数の短い資産(SLA)
現行規定上、耐用年数の短い資産(short life asset)に関する選択式の加速度償却は、資産を購入した年度末から4年以内に売却または除却する場合に便益が生じることになっている。当該4年の基準が、法人税法上、2011年4月1日以降に取得された資産に関して8年に延長される。その耐用年数より長い多くの資産の減価償却に対して、より便益を与えようとするのが当該改正の意図である。
事業税(ビジネスレート)
小規模事業に適用される事業税(ビジネスレート)の免税期間が2012年10月1日より1年間延長される。
また、本政権期間中に企業誘致地域(enterprise zone)に移転する企業に対する100%事業税免税は、5年間にわたり275,000ポンドを上限に適用される。
キャピタルゲイン
法人のキャピタルゲイン課税制度に関して、規模の小さな改正が提案された。主にグループ脱退時の課税だけでなく、再加入時の欠損金規定や価値移転(value-shifting)あるいは価値を下げる取引における課税関係が改正の対象となっている。更なる租税回避規定も含まれているものの、全体として企業にとってはこれら改正により便益を受けるものと思われる。