国外配当に係る英国での課税についての欧州司法裁判所判決(英国)

2012年11月13日、英国控訴院(the Court of Appeal)から2度の付託を受けたFIIグループ訴訟事件(事件番号:C-35/11)に関して、欧州司法裁判所(ECJ)は判決を伝えた。ECJ判決によると、英国内の配当と、英国外(EU内、EU外を問わず)からの配当で、英国での課税上の取り扱いが異なるのは、EU法違反であるとした。

本事件は、英国居住法人の国外配当に対する英国での課税問題のほか、多くの別の論点が関係している。英国では、2009年7月1日前までは、英国内配当は免税である一方、英国外からの配当は課税であり、10%以上の持分があれば、インピュテーション方式により、配当源泉の所得に課された外国税額の控除を行っていた。2006年12月、ECJは、EUからの配当に課される税率が、英国内配当の税率を上回らないのであれば、英国内外の配当課税の違いもEU法違反にはならないと判示していた(事件番号:C-446/04)。本事件は英国裁判所に差し戻されたが、ECJ判決でいう税率が、名目税率なのか、実効税率なのか不明であったため、英国控訴院は、ECJに再付託した。

ECJは、英国内配当については免税であり、また、多くの場合、配当源泉の所得に課される実効税率は、英国の表面税率よりも低い点を指摘した。しかしながら、インピュテーション方式の場合、英国の表面税率より低い税率で課された所得に係るEU配当は、英国で追加課税がなされる。ECJは、英国法が、英国配当とEU配当で同等の取り扱いになっていないとして、企業設立の自由及び資本移動の自由を制限するものであるとした。このような制限は、例えば、インピュテーション方式適用の際、実効税率ではなく、表面税率での控除を認めるといったより制限のない措置も可能であると思われるため、租税制度の統一性の確保の観点から肯定できるものではない。

従って、ECJは、EU配当に係る英国でのインピュテーション方式での税額控除が実効税率に基づいており、かつ、配当を支払うEU法人の所得に係る実効税率が、当該EU国の表面税率より低い場合には、英国法は、欧州連合の機能に関する条約(TFEU)第49条および第63条に違反になると判断した。

ECJは、英国法人がEU以外の国の持分を有している場合においても、持分の大きさにかかわらず、欧州連合の機能に関する条約(TFEU)第63条(資本移動の自由)の適用を受けられる可能性があるとしている。これは、英国法は、株主が配当支払法人に対して明確な影響力を行使するか否かにかかわらず、適用されるということだからである。

出典:PwC EU Direct Tax Group News Alert
「月刊 国際税務」 2013年1月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編