今年度の英国税制改正案は4月22日に発表された。221 ページにわたる93 項目の注記と税法改正案から成り、非常に具体的かつ詳細にわたる規定が多数発表された。ここでは2009 年度英国税制改正案における法人税の主要ポイントの概略を説明する。なお、今後政府が引き続き諮問、検討すべき分野もまだ数多く残されている点に留意が必要である。
法人税率
法人税の標準税率および小規模法人に対する税率はそれぞれ28%および21%に据え置くことが財務大臣より確認された。
国外所得に対する課税関係
国外所得に対する課税関係には次の4つの主な改正点が含まれる。
(1)配当:
2009年7月1日以降に国内および国外配当を受領した英国のすべての法人は、その配当が非課税区分に該当し、租税回避行為規定に抵触しない限り、法人税法上、非課税所得となる。これにより、ほとんどの受取配当が非課税扱いとなることが予想される。
(2)利子等損金算入制限(デット・キャップ・ルール):
デットキャップルールとは英国グループ会社が他のグループ会社に対し支払う金融費用の損金算入額を全世界ベースのグループ連結グロス金融費用を限度として制限する制度である。ファイナンシャルサービス会社、短期負債およびグループ資金等、いくつかの例外規定が設けられている。デット・キャップ・ルールは2010年1月1日以降開始課税年度に対し適用される。
(3)タックスヘイブン課税(CFC ルール):
現行の配当政策免除規定(ADP ルール)および事業持株会社免除規定は2009年7月1日以降開始課税年度から廃止される。関連する持株会社免除規定は経過措置として、なお2011年1月1日まで有効である。CFC ルールの抜本改正案はなお継続して審議されており、2011 年7 月に抜本改正案が公表される予定である。
(4)トレジャリーコンセント(財務省事前承認制度):
現行のトレジャリーコンセントは2009年7月1日より廃止され、当該日より新たに1億ポンド以上の取り引きにつき、事後届出制度が適用される。また、既存のいくつかのジェネラル・コンセント・ルールのように一定の例外規定が設けられている。該当会社は取り引き後6 カ月以内に届出を行わなければならない。
スーパーパラ13-ローンリレーションシップにかかわる制限事項の拡大規定の導入延期
懸念されていたローンリレーションシップにかかわる容認できない目的とされる取り引きとして制限される事項を拡大する規定は、2009年改正法の中に織り込まれなかった。しかし、当該項目は引き続き検討事項とされている。
キャピタルアローワンス(税務上の減価償却)
設備および機械の支出に対する40%のキャピタルアローワンスは2009年4月1日以降開始事業年度に発生した適格支出に対し適用可能となった(個人事業者については2009年4月6日以降から適用となる)。
エネルギーや水資源関係の高効率プラントおよび機械に関して、100%のキャピタルアローワンスが適用できる資産リストの改正がなされた。
また、車両に関するキャピタルアローワンスについても改正がされている。現行の高級車に関する規定は環境問題に焦点をあてた新制度に置き換わり、2009年4月1日より一定の二酸化炭素排出基準値を下回る低排出車両は一般の設備および機械のキャピタルアローワンスのプールの一部として処理されることとなり(20%償却)、基準値以上の車両については10%の償却となる。
事業欠損金の繰戻規定
2009年11月23日までに終了する12 カ月の課税年度に発生した事業損失の繰戻期間が現行の1年から3年(最大で5万ポンド)に延長された。
ローンリレーションシップ規定
予定どおり、ローンリレーションシップ課税の改正がされている。 2009年4月22日以降グループ内の事業債務の免除については、債権者および債務者双方で課税関係は生じなくなる(損失の損金不算入および免除益の益金不算入)。
債権者がタックスヘイブン国居住者でない限り、国外関係会社に対する支払利息および割引債券にかかわる未払いの利息相当分は発生主義での損金算入が可能となる。当該規定は2009 年4 月1 日以降開始する課税年度から適用される。なお、当該日以降開始する1期目の事業年度にて、引き続き現金主義で処理することを選択することも可能となっている。
グループリリーフ規定
法人が資金調達のため外部の銀行に優先株を発行している場合等において、それが不利な影響を与えないよう、グループリリーフにかかわるアレンジメントおよびキャピタル・ゲイン・グループの適用条件は緩和される予定である。詳細な規定は法案発表で明らかになる予定である。
従来はキャピタルゲイン(またはロス)の対象資産をグループ外部に売却する場合、一旦グループ内で移転させたとみなして、当該キャピタルゲイン(またはロス)と他のキャピタルロス(またはゲイン)と相殺できた。今後は最終的なグループ外部の売却がなくても、グループ内で資産のみなし移転を行った上で、当該ゲインとロスを相殺することが可能である。
外国税額控除-国外配当にかかわる適用税率
法人税率は、昨年の改正において2008年4月1日以降それまでの30%から28%に変更されている。決算日が4月1日をまたぐ法人が外国税額控除を適用する場合、支払日における適用税率(30%または28%のいずれかのレート)でその控除額が計算されることとされていたが、今回の改正により、支払日における適用税率から、適用税率を加重平均してその外国税額控除額を計算することとなる。