免除投資所得に関する集団訴訟に係る英国最高裁判決 (英国)

Franked Investment Income Group Litigation(FII GLO)に係る欧州司法裁判所(European Court of Justice)(ECJ)の判決(2006年12月2日判決)に基づき、英国最高裁でも本件に関する審議が引き続き行われていたが、2008年11月27日にその判決が出された。

英国最高裁においてもほとんどの重要項目につき納税者側の主張が支持され、とりわけ10%以上の持分を保有するEUまたはEEAの法人から英国法人に対する配当について、英国のシェジュールDケースVの下での課税はなされるべきではない旨が言い渡されている。本判決により、1973年以降にEUまたはEEAから受けた配当金に係る税金につき、還付請求およびそれに伴う還付利息請求を行う機会が発生することになる。

本件では、国内配当と国外配当の課税関係の差異が問題視されている。すなわち、国内配当は非課税扱いとされる一方、国外配当は一旦課税所得を構成した上で、外国税額控除の適用がなされて課税額が決定される。原告である納税者は両者に差異があるのはEC条約(資本移動の自由を定めた56条、設立の自由を定めた43条)に照らして違法との主張をしており、英国最高裁もこれを認めて、EU およびEEAからの配当につき、英国法人税法は違法であるとの判決を下した。

この結果、EU またはEEA の法人からの配当につき課税された英国法人は、1973年まで遡って当該税額の還付請求を行うことができる。

具体的な還付請求方法は修正申告可能期限との関係や、各社の状況により異なるが、概要は、(1)修正申告期限の到来前であれば修正申告を行う、(2)修正申告期限が到来しているが、会計期間終了後6年以内であれば、誤謬に基づく還付請求を行う、(3)誤謬に基づく還付請求期限到来後であれば、本件集団訴訟(FII GLO)に参加した上で還付手続きをとることになる。

すべてのケースにおいて還付請求ができるということではなく、EUFT、ADPs、条約、欠損金・引当金の利用状況などの様々な規定の適用関係を十分に検討した上で還付請求できるか否かを検討する必要がある。しかしながら、本件を検討していく上では、まず過年度(1973年以降から現在)において、EUおよびEEA からの配当の有無を確認することが必要となる。

出典:PwC 英国日本企業部発行、Hotline No56
「月刊 国際税務」 2009年4月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編