移転価格法案が下院で可決(ロシア)

2011年7月7日および8日、新たな移転価格制度を規定する法案が、第2および第3読会後、下院(State Duma)で可決された。本法案は、2010年2月19日の第1読会以降、財務省および下院予算・税制委員会により一定の修正案が採用された上で改定が加えられてきた。

この新制度は、現行の移転価格制度と比べ技術的により詳細であり、ある程度OECDが作成した国際移転価格原則に沿ったものとなっている。

主な改正事項は次のとおりである。

  • 税務当局が課税目的で価格を管理できる取引の範囲を大幅に削減する。
  • 関連会社の範囲を拡張する。
  • 関連会社間取引の価格が市場価格と合致しないことの立証責任は税務当局側にあるとする。
  • 独立企業間価格原則を移転価格税制にかかる基本原則として採用する。
  • 「セーフハーバー」規定(現行法上、関連会社間取引の価格と市場価格との変動幅として20%までは認められている)を廃止する。
  • 市場価格を決定する情報源の範囲を拡張する。
  • 機能分析を比較可能な要因の一つとして正式に採用する。
  • 取引単位営業利益法および利益分割法という市場価格を決定するための新たな算定方法を採用する。
  • 報告義務および移転価格文書化義務を導入する。
  • 連邦税務局(Federal Tax Service)による特別移転価格調査を導入する。
  • 報告義務および移転価格文書化義務に従わなかった場合の罰則を導入する。しかし、2012/13年度は経過措置として、移転価格調整の場合に罰則を適用しない。
  • 「大規模な」納税者として登録されたロシア法人に対するユニラテラルおよびマルチラテラル(多国間)の事前確認制度を導入する。

本法案によると、これらの改正は2012年1月1日より適用開始になる予定である。新たな移転価格税制が導入されることにより、ロシア国内で事業を行う法人は、その移転価格方針が新制度に準拠するよう分析し調整する必要があろう。

出典:PwC US, Pricing Knowledge Network
「月刊 国際税務」 2011年9月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編