2013年度予算案(ポルトガル)

2012年10月15日、ポルトガル議会は2013年度予算案を受理した。予算案の全体的な目的は、税収増により国家財政赤字を抑制し、EC(欧州委員会)、欧州中央銀行、IMFが設定した目標を達成するとのコミットメントに関し、国際市場に積極的な姿勢を示すことにある。

当法案は個人所得税に大きな影響があるほか、ポルトガルで事業を行う、あるいはポルトガル源泉所得を有する法人の税負担も増えることになる。

当法案は現進行年度以後の会計年度に適用されることが見込まれる(純金融費用の損金算入制限などは、経過措置がある)。また、ポルトガルと租税条約の締結がない国(日本を含む)に支払われる手数料、役務提供料、使用料に係る源泉税も改正が見込まれる。

純金融費用の損金算入制限:

予算案によれば、純金融費用の損金算入は、3百万ユーロと、EBITDA(利払い前、税引き前、償却前利益)の30%のいずれか大きい額までに制限される。2017年までの経過措置があり、2013年は70%、2014年60%、2015年50%、2016年40%、2017年は30%である。

上記の控除限度額を超える部分は、翌事業年度以後、5事業年度にわたって繰越控除ができる見込みである。また、純金融費用がEBITDAの30%に満たない場合、その差額は翌事業年度以後、5事業年度にわたって繰越ができる見込みである。

過少資本税制:

廃止の見込みである。

法人税率 - 州の付加税(”Derrama estadual”):

予算案によれば、3%、5%の累進税率は維持される。ただし、5%の税率適用に際し、課税最低限の所得が10百万ユーロから7.5百万ユーロに引き下げられることから、実質増税となる。本改正は、2013年1月1日以後開始事業年度から適用される見込みである。

源泉税:

外国法人が取得する所得に係る源泉所得税率が引き上げられる見込みである。例えば、手数料(Commissions, agency fees)、役務提供料(services)、設備使用料等、使用料(Royalty)、不動産賃貸所得(property rental income)の税率が、2012年の15%から、2013年は25%に引き上げられる見込みである。

(注)日本時間の2011年12月20日、日本国政府とポルトガル共和国政府との間で「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とポルトガル共和国との間の条約」の署名がリスボンで行われた。本条約は、両国においてそれぞれの国内手続(日本においては国会の承認)を経た後、国内手続が完了したことを相手国に通告し、遅い方の通告が受領された日の後30日目の日に効力を生じる。源泉徴収される租税に関しては、効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に租税を課される額について適用される。本条約によれば、使用料について、5%の軽減税率が適用される見込みである。

投資税額控除:

予算案によれば、2013年12月31日まで延長の見込みである。

2013年に見込まれるその他の主な税制改正:

  • 投資税額控除: 2017年12月31日までの延長が見込まれる。税額控除限度額は、現在は法人税額の25%までであるが、25%~50%までの間に拡大される見込みである。
  • 再投資、資本拠出: 2017年12月31日までの留保再投資利得及び増資額の10%を限度とする、適格資産の取得に係る法人税の税額控除制度の導入が見込まれている。
  • 法人の税務上の居住地の移転: 法人が税務上の居住地やPE(恒久的施設)の資産を他のEUないしEEA加盟国に移す場合において、従前、移転時に出国税(Exit tax)が課されていたが、ECJ(欧州司法裁判所)の判決を受け、課税の繰り延べ、分割払いが認められる見込みである。所定の義務のほか、利子、担保が必要になると思われる。なお、上記ECJ判決の詳細は、本誌2012年11月号参照。
出典:PwC European Tax Newsalert
「月刊 国際税務」 2013年1月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編