2010年7月15日、アムステルダムの上級裁判所は、2000年にオランダ法人が英国に移転した際に課されたオランダの出国税(exit tax)の適用に関して3つの予備的質問を欧州司法裁判所に対して投げかけた。これは、オランダの出国税制がEU法に適合しているか否かを確認することを目的としたものである。これまで欧州委員会はオランダに対し、EU法との適合性を明確にするために、現行の出国税制を見直すよう求めてきた。
事実と状況
オランダ法人(2000年まで税法上はオランダの居住者であった)が実質的な経営の拠点をロンドンに動かしたところ、これがオランダ税法上、英国への移転と扱われた。移転の時点でオランダ法人はかなりのポンド建て債権を有していた。オランダ・ギルダーに対するポンドの価値が上昇していたため、債権の価値もおよそ22百万ギルダー増加していた(為替差益)。これより前の国外移転においてこのような為替差益はオランダでは課税されていなかった。オランダの税務調査官は、当該オランダ法人が租税回避行為を企てていると主張し、移転の時点で為替差益に課税しようとした。この見解に対し、オランダ法人側が異議を唱えた。
予備的質問
この裁判において上級裁判所は、次の3つの重要な予備的質問を欧州司法裁判所に対して投げかけた。
現行のオランダ出国税に焦点をあてた上級裁判所によるこれらの予備的質問は、EU内で詳細に検討されるであろう。この問題の進展は、EU内に子会社を持ち、①税務上の法人所在地をEU内で移転させようとしている、または、②EU内の資産を移動させようとしている、もしくは、③EU内でサプライ・チェーンを転換しようとしている多国籍企業にとって重要なものといえる。