2011年度税制改正案の公表(オランダ)

オランダの予算が公表された2010年9月21日、政府は2011年度の税制改正案を発表した。公表された改正案には、企業活動を促進し、その便宜を図ろうとする政府の姿勢が表れている。当改正案には、オランダ国内で、もしくはオランダを通じて投資活動を行なっている多国籍企業に影響を及ぼす内容が多く含まれている。当改正案はオランダの第一院および第二院双方の承認決議を経る必要があるため、今後修正される可能性はある。なお、当2011年度税制改正案に盛り込まれた事項は、その多くが2011年1月1日より適用になる予定である。

法人所得税率
2011年度税制改正案では、法人所得税の最高税率が25.5%から25%に引き下げられることになっている。これにより、200,000ユーロを超える課税所得に対しては25%の税率が適用され、200,000ユーロを下回る課税所得については20%の税率が適用されることとなる。

欠損金の繰戻し期間を1年から3年へ選択できる制度の延長
オランダの法人所得税が適用される納税者は現行法上、欠損金の繰戻し期間を1年から3年に延長することを選択することができる。この選択をした場合、欠損金の繰越し期間の限度は9年から6年に短縮される。この選択制度は現行法上、2009年および2010年に限定して適用されるとされていた。当改正案において当該制度は、年間1,000万ユーロを繰戻し金額の上限として、2011年にも継続して適用することが提案されている。

加速度償却の継続適用
2009年および2010年に適格投資を行なった場合、加速度償却の適用が認められている。当改正案において、この制度は2011年に行なわれる適格投資にも継続して適用されることが提案されている。したがって、適格資産は2年間で全額償却され得る(2011年および2012年の各々最大50%の償却により)。適格資産が仕掛りである場合、加速度償却額は、当該資産に対し支払われた金額を超えることはできないとされている。

非居住法人の課税期間
非居住法人の課税期間は、現行法上暦年となっている。その一方で、オランダの居住法人は、課税所得をその事業年度(暦年と一致させる必要はない)に従って計算することになっている。この不一致に対処すべく、非居住法人も暦年ではなく、個々の事業年度に基づいてオランダの確定申告書を提出することが認められるようになる。この改正案は2012年1月1日以降開始事業年度より適用開始予定である。

イノベーションボックス制度の延長
 2010年度の税制改正において、パテントボックス制度はイノベーションボックス制度と名称が変更され、より魅力的な制度に改正された。この制度改正により、適格研究開発活動に基づく特許権と無形資産からもたらされる所得は、一定の要件のもと、5%の実効税率により課税が行われることとなった。しかし現行法においてイノベーションボックス制度は、特許の登録が完了した年度から適用が可能となるに過ぎない。これは、特許の申請と登録の完了の間にタイムラグがある場合に不利益をもたらすことになる。そこで2011年度の税制改正案ではこれに対処すべく、特許を申請した年度よりイノベーションボックス制度を適用することが事実上認められている。

VAT申告要件の緩和
緊急経済対策の中で、企業はVATの申告を月ごとではなく四半期ごとに行なうことが臨時的に認められている。当改正案においてはこれを2011年以降、法定の制度とすることが提案されている。

出典:PwC US, WNTS Publication, Europe Newsalert
「月刊 国際税務」 2010年11月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編