2010年7月26日、アイルランド歳入庁は、アイルランドから支払われる使用料に適用される源泉税関連法規の新しい取扱いを定めた実施要綱を公表した。将来、アイルランドの商社は、承認を得ることを条件に、無形資産を保有する条約上非居住者である国外の法人に対して、アイルランドの源泉税を徴収することなく、特許権関連の使用料の支払いをすることができるようになる。
これまで、基礎となる無形資産が何らかの特許権の要素を有するものである場合、たとえその特許権がアイルランドでのものでなく、また、アイルランドの法律により管理されるものでなくても、アイルランド歳入庁は、アイルランド国内で営業している法人が支払うすべての使用料に対して、アイルランド国内法に基づく源泉税を適用していた。基礎となる無形資産の特許権に関係しない要素と特許権に関係する要素とを切り離すことが理論的には可能であっても、実務上、これを厳密に区分することは時々現実的なものではなく極めて困難でもあった。
アイルランド歳入庁が源泉税関連法規の解釈を今回変更することにより、組織構造は簡素化され、管理コストおよび税務コストの削減も実現する。歳入庁が公表した実施要綱に基づくと、法人は使用料支払いの基礎となる特許権の源泉がアイルランドにある場合のみ、源泉税を徴収する必要が生じるということになる。
今後、アイルランド歳入庁は、次に掲げる要件が満たされる限り、法人が源泉徴収をすることなく使用料の支払いを行なうことができるようになる承認を申請に基づき付与することになる。
多国籍企業は、この解釈の変更により、どの程度自身の事業が影響を受けるか検討することになるであろう。一方で、事業の見直しをしている企業は、2010年7月1日以降に締結される取引に影響のある、アイルランドの移転価格税制の適用関係も考慮する必要がある。