損金の取扱いおよび株式譲渡益に関する改正(フランス)

2011年度の改正財政法が、通常よりも早く立法手続きを通過し、2011年9月7日および8日に国民議会および元老院で可決された。本改正財政法は、(違憲審査が行われない限り)政府に提出されてから15日以内(すなわち、2011年9月末まで)に施行されることとなる。

本改正財政法には、フランスで事業を行っている、ないしフランスの子会社を有している国際的企業グループに重要な影響を及ぼす可能性のある次の2つの改正事項が含まれている。

欠損金の取扱いに関する改正

現行制度上、税務上の欠損金は原則として無期限に繰り越すことができる(ただし、事業内容に重大な変更がないことが前提)。また、欠損金は、使用する金額の上限なく、法人の前3事業年度において発生した所得に対して繰り戻すことができる。改正法では、法人が使用する欠損金の金額が制限されることになる。新しい制度の概要は次のとおり。

  • 欠損金の繰越し
    新しい制度においても法人は欠損金を無期限に繰り越すことができる。ただし、使用が認められる繰越欠損金は、100万ユーロの課税所得に相当する金額、および、この上限を超える当年度課税所得の60%に相当する額に限られる。
    当年度に使用することのできなかった欠損金は繰り越され、将来の課税所得に使用される。したがって、100万ユーロを超える年所得を有する法人は、十分な繰越欠損金を有していたとしても、100万ユーロを超える課税所得の40%相当額は課税対象となる。
  • 欠損金の繰戻し
    新しい制度において法人は、欠損金が発生した事業年度の直前の事業年度にしか欠損金を繰り戻すことができない。また、新しい制度において繰戻しが認められる金額は100万ユーロが上限となる。未使用の欠損金は繰り越され、新たな規定に基づいて使用されることになる。
    また、繰戻し選択の申請は、欠損金の発生した期間の法人税申告書の提出期限よりも前に行う必要がある。この新たな申請制度は、現在および過去の事業年度で発生した欠損金の申請を認めている現行制度と比較して、より制限されたものとなる。
  • 連結納税
    連結納税グループ(fiscal unity)内での全体の欠損金は、グループ内のそれぞれのフランス法人が当初持ち込んだ欠損金と同様に、繰り越す場合も繰り戻す場合も、上述と同様の方法および範囲で個別に帰属することになる。

この欠損金の繰越しおよび繰戻しにかかる新たな制度は、当該改正財政法の施行後に終了する事業年度から適用になる。当該改正財政法の施行は(違憲審査が行われない限り)9月末日までに予定されており、この日より後に終了する事業年度については、直ちにこの新たな制度の影響を受けることになる。

キャピタルゲインの資本参加免税制度に関する改正

現行制度上、2年を超えて保有している資本参加株式(participating share)を譲渡したことにより生じるキャピタルゲインは、その95%が免税とされている。残りの5%は、34.43%の法人税の最高税率で課税されている(実効税率は1.72%となる)。

新たな制度では、キャピタルゲインにかかる資本参加免税は90%に引き下げられる。その結果、資本参加株式を譲渡したことにより生じるキャピタルゲインには、34.43%の法人税の最高税率が適用されることから、3.44%の実効税率で課税されることとなる。

本制度は、2年を超えて保有していた資本参加株式を2011年1月1日以降に開始する事業年度において譲渡したことにより生じたキャピタルゲインから適用になる。

出典:PwC US, WNTS Publication, European Tax Newsalert
「月刊 国際税務」 2011年11月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編