税制改正(フランス)

2012年12月、2013年度予算案および、2012年度修正財政法案(第3次)が議会で承認された。

フランス経済の競争力を向上させることをねらっている一方で、税収増、税の抜け穴・濫用対策により、財政赤字にも対処する内容になっている。

競争力強化と雇用のための新たな税額控除制度:

フランス経済の競争力向上と雇用負担軽減のため、新たな税額控除制度が導入される。

本制度は、フランスで法人税の課税対象になる内国法人、外国法人のいずれにも適用される。2013年1月からの適用である。

税額控除額の計算は次のとおりである。

年間の支払賃金(注) × 6%(2013年は4%)

(注) フランスの最低賃金(現在は、月額1,426ユーロ)の2.5倍未満を受取る従業員に対するもの

控除未済額は3年間の繰越控除が認められ、3年間で控除できない場合は、還付される。従業員数が250人未満で、かつ年間売上高が5千万ユーロ以下または総資産4千3百万ユーロ以下の要件を満たす中小企業、その他一定のものについては、控除未済額の即時還付制度などもある。

2013年の早い段階で法令と追加的なガイドラインが見込まれる。

研究税額控除:

従前、適用年度によりR&D費用の40%、35%、30%の税額控除が認められていたが、2013年1月1日以後発生するR&D費用については、一律30%になる。

出国税(Exit tax):

現行法では、本店移転やフランス国外拠点の設立に伴う資産の移転に関して、含み益は、原則即時課税となっている。

欧州司法裁判所(ECJ)の判決に従い、改正財政法では、納税者に次の選択肢を与えることになる。

  • 移転資産に係る含み益および繰越キャピタルゲインに係る法人税全額を、移転後2カ月以内に納付する。
  • 移転後2カ月以内に1/5を納付し、納付日から毎年1年後を期限として4年間、1/5ずつ納付する。期限までに納税しない場合は即時課税となる。なお、残額はいつでも一括納付に切り替えられる。

本制度は、他のEU加盟国のほか、一定の要件のもと欧州経済地域(EEA)加盟国への移転に適用される。資産がこれら以外の地域に移転された場合、または納税者が清算した場合は、その時点で課税となる。

本制度は、2012年11月14日以後に移転が完了する場合に適用される。

利子費用の損金算入に関する更なる制限:

2012年11月号参照。

キャピタルゲインに対する資本参加免税の改正:

2012年11月号参照。なお、資本参加株式の処分から生じる長期キャピタルゲインに係る課税対象の計算方法が変更された。また、免税対象割合が、90%から88%に変更になった。

欠損金繰越控除制度の厳格化:

2012年11月号参照。なお、欠損金の繰越控除額は原則として、百万ユーロプラス当該額を超える課税対象所得の50%となった。

5%特別付加税の延長:

2011年度修正財政法(第4次)により、時限的かつ特別な措置として、年間売上2億5千万ユーロ超の企業に対して5%の特別付加税が、法人税(諸税額控除前)を課税標準として課されており、フランスでの法人税の実効税率は36.10%になっている。本時限措置は、2011年12月31日から2013年12月30日までに終了する事業年度の適用となっていたが、2015年12月30日までに終了する事業年度まで、2年間延長される。

税務調査の際の電子帳簿提示義務:

2013年度改正により、電子帳簿の保存が義務付けられ、税務調査の際も、同様のフォーマットでの提示が求められる。紙での帳簿保存は認められなくなる。これに従わない場合、売上高に応じてペナルティーが課されるほか、さらには、フランス税務当局(FTA)に対する”意図的な抵抗”とされ、一方的に課税所得を計算される可能性がある。

本改正は、2014年1月1日以後、税務当局から会社に対して税務調査の通知がされる場合に適用される。2014年の税務調査は過年度にも及ぶため、実質的に過年度への遡及適用になる。

これらの新制度は、2011年10月13日以降に開始する事業年度に適用される。

出典:PwC US, European Tax Newsalert
「月刊 国際税務」 2013年2月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編