EU加盟国の財務大臣による金融取引税に関する”協力の強化(Enhanced cooperation)”の許可の検討(EU)

EUの11 カ国の加盟国委員会は、2014年1月からの適用が見込まれる金融取引税(FTT)の導入合意に向け、急ピッチで動いている。通常、財政措置に関しては加盟国(現在27カ国)の満場一致が必要であるが、財政措置の導入のため、”Enhanced cooperation”という新しい法律手続きが初めて利用される。満場一致に代え、一部の加盟国が、当該加盟国だけに適用される税務措置に賛成票を投じることができるというものである。

2012年11月13日、EU27加盟国財務大臣の経済財務相理事会(ECOFIN)は、Enhanced cooperation に参加を希望するEU加盟数ヶ国におけるFTT導入に関する進捗状況を確認し、関係書類の進め方を議論した。加盟国委員会は、FTTに関するEnhanced cooperation の承認決議案を提出した。

2012年10月23日提出の加盟国委員会提案によれば、11の加盟国、すなわち、ベルギー、ドイツ、エストニア、ギリシャ、スペイン、フランス、イタリア、オーストリア、ポルトガル、スロベニア、スロバキアのEnhanced cooperation によるFTTの導入が容認されることになる。2012年6月、欧州理事会は、2012年12月までに決断するよう促した。

経済財務相理事会の会合において、オランダが、一定の要件のもと、参加の意向を示した。一定の要件とは、オランダの年金基金はFTTを免税とすること、現行のオランダ銀行税との過度な重複がないこと、FTT収入がEU加盟国のために費されることである。加盟国委員会は、オランダのこの新しい見解を好意的に受け入れた。

英国、マルタといったEnhanced cooperation への参加を希望しない多くの加盟国は、Enhanced cooperation の承認決議を支持する前に、域内市場への影響について、さらに詳細な評価を受けることを希望した。これに対して、欧州理事会の法務サービス部門は、2段階の手続アプローチで、加盟国委員会と欧州理事会も採っているものが唯一の正しい手続きであるとした。第一に、新しい法的状況を作り出すためには、Enhanced cooperation 手続き開始の正式な承認を完結させる必要がある。その後、加盟国委員会は、参加加盟国のために、加盟国委員会の影響評価を経て、実質的な法律提案を公表する。

新しい法律提案の範囲、目的は、2011年に加盟国委員会が提出した提案に基づく。その提案によれば、全ての種類の金融商品取引に対して、一律最低限0.1%課税される(金融派生商品は、想定元本の0.01%)。本提案は、市場流動性に悪影響を与え、ビジネスがEU外に流出してしまう可能性があるとして、激しい批判を受けた。2011年の提案が現状のままでは受け入れられそうもないことから、加盟国は、現在、最小限の合意点を探るという厳しい状況に直面している。1つの案としては、ドイツ自由民主党が以前提案したように、英国型の印紙税を導入することであるかもしれない。これにより、第2段階として、全面的にFTTに移行できるかどうかは、今後の課税である。

出典:PwC Global IRW Newsbrief
「月刊 国際税務」 2013年1月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編