グループ内低付加価値サービスに関するEU合同移転価格フォーラム(JTPF)のガイドライン(2011年7月号本稿参照)が導入された後、本フォーラムの議論の中心は、上述のガイドラインの範囲には含まれなかった費用分担取極め(CCA)に移った。EU合同移転価格フォーラムの目標は、27のEU加盟国の税務行政のために、このような取極めに対する共通の対応策の範囲と程度につき検証し、最終的にはEU内の税務上の紛争を減らすことにある。
費用分担取極めは通常、法人間の取極めであり、資産、サービスあるいは権利の開発、製造あるいは取得に係る費用とリスクを分担し、これらに係る各参加者の利益が決められる。これまでも多くのEU加盟国および民間企業から、EU内での二重課税を排除するために、費用分担取極めに対する共通の対応策の重要性が強く主張されてきた。このような取極めは、1950年代より多国籍企業グループによって利用されていたが、EU合同移転価格フォーラムではこのテーマについてこれまで、OECDで継続している作業の妨げとなることを避けるために、検討されてこなかった(費用分担取極めに関するOECD移転価格ガイドライン第8章および現在の無形資産に対するOECDの取組みについては2011年3月号本稿参照)。これに沿って、本フォーラムでは、無形資産の創出を伴わないサービス契約に係る費用分担取極めを議論の中心に置くこととした。
このようなサービス契約に係る費用分担取極め(サービスCCA)では、多国籍企業グループは通常、サービス機能を一ヵ所に集中させた上で、各国のグループ企業にサービスを提供するかたちをとる。ここで、集中させたサービスの費用を、適正な配分方式に基づき、また、個々が受けた利得を考慮した上で、異なるサービス受益者に配分しなければならないという問題が生じる。費用分担取極めに基づいて一般に行われる活動には、例えば、金融活動、契約および調達活動、あるいは保険、投資家向け広報活動などがある。本フォーラムではとりわけ、このような費用分担取極めを実務においてどのように識別するか、また、グループ内サービス提供とサービスCCAをどのように区別するかについての指針を示そうとしている。
さらに、EU合同移転価格フォーラムでは、一方の加盟国が費用分担取極めを通じて請求するサービスについて、マークアップを付すのは通常は副次的であるにもかかわらず、マークアップの追加を求めてきた場合に、マークアップを追加するべきであるかという問題にも取り組もうとしている。また、本フォーラムでは、どのような種類のサービスが通常費用分担取極めの対象となるか、具体的な事例を挙げながら検討することになっている。
費用分担取極めに係る次に掲げる問題点は、一層の留意が必要であるとして本フォーラムで取り上げられた事項である。
サービス契約に議論を集中させたため、無形資産の創出を伴う費用分担取極めに関連する典型的な問題(法的所有と経済的所有、加入時・離脱時の支払いなど)については、本フォーラムで取り上げられなかった。しかし、既存のガイドラインにより、サービスについてではあるが、全ての費用分担取極めに対し一定の指針が引き続き提供される。目標は、2012年末(EU合同移転価格フォーラムの現在の任期の満了時)までに、費用分担取極めに関する独自のガイドラインを設けることである。