移転価格算定方法等に関するガイダンスを公表(香港)

2009年12月4日、香港内国歳入局(Inland Revenue Department, IRD)は、長く待ち望まれていた税務解釈運用指針第46条(DIPN 46)「移転価格ガイドライン – 算定方法と関連する諸問題」を公表した。本解釈運用指針は、香港における移転価格の法的根拠と移転価格原則および算定方法の適用に関する香港内国歳入局の見解を納税者に対してより明確にしようとするものである。移転価格の問題が香港に「到来」したことが今回はっきりしたといえる。

解釈運用指針は52ページにのぼる詳細なガイダンスとなっており、多くの分野での香港内国歳入局の見解が明示されている。主な内容は次のとおりである。

  • 香港での移転価格の法的根拠 - 香港内国歳入局は香港の現行税法においても移転価格は適用可能であると考えている(これは本解釈運用指針がこれまでのことに関連するだけでなく、将来のことにも関連することを示唆している)。また香港内国歳入局は、移転価格関連法規は国内取引、国際取引の双方をカバーしていると考えている。
  • 独立企業原則の定義と適用 - 香港は今回、独立企業原則を公式に容認した。
  • 認められる移転価格算定方法 - 香港内国歳入局は独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法、利益分割法および取引単位営業利益法の適用を承認し、議論している。
  • 移転価格に関する文書化 - 明らかに推奨されているが強要はされていない。香港内国歳入局はガイダンスの4ページを割いて、いかなるものが移転価格の文書化の対象となるかということだけでなく、移転価格の文書化に関するOECDのコメントにも言及している。
  • 移転価格調整に基づく二重課税を排除 - この事項での最も重要な結論は、二重課税排除のための条約がなければ国外での調整に対し香港で二重課税を救済する機会はないということである。
  • 恒久的施設(PE)への利得の帰属 - 香港内国歳入局は、「機能的分離企業」アプローチを恒久的施設への利得の帰属について認めており、恒久的施設への利得の帰属についての手続きに関するガイダンスを示している。
  • 移転価格と香港の源泉地基準課税との相互関係 - ここで香港内国歳入局は、香港の源泉地基準課税により、他国で採用されている移転価格の取り決めが香港では適切でないという結果になりかねないことにつき言及している。
  • 移転価格関連での租税スキームと租税回避 - 3ページに及ぶ解説の中で、移転価格が租税回避目的に利用されることに対する香港内国歳入局の懸念が示されている。

この税務解釈運用指針第46条が、同45条「利得の再分配調整での移転価格に基づく二重課税の回避」に続いて公表されたことおよびNgai Lik Electronics Co Ltd対内国歳入局長官の事件に対する最終審裁判所の判決を合わせて考えると、移転価格が現在、香港内国歳入局の検討課題に上がっていることは明らかであると言える。

出典:PwC US,Pricing Knowledge Network
「月刊 国際税務」 2010年2月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編