持株会社が収益を再投資する場合の新たな要件(中国)

国家外貨管理局(SAFE)は最近、海外投資家が保有している中国の持株会社が中国国内で適正に稼得した収益を再投資する場合の新たな要件について公表した。

一般に「中国国内で適正に稼得した収益」には、持株会社の利得の他、減資または資本の払い戻し、清算収益、株式譲渡益、中国子会社への投資資金の早期回収といった類の所得も含まれる。

この新たな要件とは、持株会社は「中国国内で適正に稼得した収益」を、国内源泉の収益であるかまたは国外源泉の収益であるかを問わず、中国子会社に再投資する前に、登録資本金に組み入れなければならないというものである。

この新たな要件が課されることにより、持株会社は次の2つの段階を経たものとみなされる。

  1. 海外投資家へ(未処分利益から)配当する。
  2. 海外投資家が持株会社の登録資本金として配当を再投資する。

この新たな要件は、匯資函[2011]7号(以下、7号通達)に規定されている。

課税への影響

  • 持株会社への課税関係
    この新たな要件が導入されるまで、持株会社は、利得(国内源泉利得および国外源泉利得とも)を最初に登録資本金に組み入れることなく、新たな中国子会社の設立や既存の中国子会社への増資に利用ないし再投資することが認められていた。
    この新たな要件の導入により、持株会社は海外投資家に配当を支払ったものとみなされるため、このみなし配当に対して企業所得税(源泉所得税)を源泉徴収することが必要になろう。
  • 海外投資家への課税関係
    上述のとおり、持株会社の海外投資家は、みなし配当に対して源泉所得税が課されることになろう。また、海外投資家は、このみなし配当に起因する居住国での課税関係について検討する必要があろう。

新たな要件についての検討

  • 7号通達は、持株会社による中国国内で適正に稼得した収益の再投資に関する監督と指導の負担を軽減するために出されたものである。この新たな要件により、持株会社は更なるコンプライアンス負担を強いられ、また、海外投資家には望ましくない課税関係が生じることになる。
  • この国家外貨管理局が課す新たな要件は、商務部(MOFCOM)、財政部(MOF)および国家税務総局(SAT)などの他の国家当局が課している義務と重複するようにも見える。おそらくこれらの当局は合意した上で、早々のうちにその結果を持株会社側に伝えてくるであろう。
  • これまでのところ、地方レベルの税務局では、持株会社に対し、当該みなし配当に関して海外投資家に代行して源泉所得税を徴収することを要求してはいないが、これは、地方レベルの税務局が、この国家外貨管理局が課した新たな要件を未だ認識していないか、もしくは国家外貨管理局の意図どおりに解釈していないためである可能性がある。
  • 持株会社と海外投資家は、この国家外貨管理局が課す新たな要件の課税への影響に関連する事項を伝えてくることになる可能性のある商務部、財政部および国家税務総局の各地方管轄局に対する懸念を共有することになろう。
出典:PwC US, WNTS Publication, Asia Pacific Tax Newsalert
「月刊 国際税務」 2011年10月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編