連邦政府予算案の公表(オーストラリア)

2011年5月10日、2011/12年度(2011年7月1日より2012年6月30日まで)の連邦政府予算案が、オーストラリア連邦政府のウェイン・スワン財務相から発表された。本予算案での焦点は雇用の促進、歳出削減及びインフラ構築の実施を通じた雇用機会の創出である。政府は2011/12年度で4.00%、2012/13年度で3.75%の実質GDP成長率を見込んでおり、2013年6月までのインフレ率は3%に上ると予想されている。

本予算案における法人関連の主要な改正項目は次のとおりである。

小規模事業者優遇税制

すべての小規模事業者を対象とする次のような多くの減税措置が、政府により発表された。

  • 2012/13年度購入の車両に関して、5000ドルの即時償却が可能になる。
  • 起業家向け税額控除(Entrepreneurs’Tax Offset (ETO))が2012/13年度より廃止される。
  • 一括償却資産の対象範囲が拡大し、2012/13年度から、5,000ドル未満のすべての資産について即時償却が認められるとともに、その他の資産(建物を除く)を減価償却対象資産として一括し、30%での償却が可能となる。
  • 2011/12年度分割予定納税(PAYG installments)額が、一定の者について減額される。
  • 2012/13年度から、法人の形態をとる小規模事業者に対する法人税率は29%に引き下げられる。

法人税(インフラ投資関係)

重要な国家的インフラ事業に関する投資税制についての主な改正案は次の2点である。

- 「指定インフラ事業」から発生した損失(欠損金)の国公債利率による価値の上乗せ(時間的価値の考慮
- 株主継続性テスト(COT)や事業同一性テスト(SBT)によるプロジェクト損失の使用制限規定の減免

これは、インフラ事業の特性として、事業開始時点とプロジェクト初期に発生した損失の回収時点に大きな時間的ずれが生じることから、欠損金の時間価値考慮後の価値の維持、また事業の出資者に変更が生じたとしても欠損金の使用に制限がかからないことを狙いとしているものである。

GST

  • 2009/10年度予算案で言及されたGST制度見直し項目(GST制度運営の法的枠組みについて税制調査会がレビューを行なった結果、見直しが推奨されたもの)の多くについて、導入が先送りされる。
  • 抵当権者の債権に係るGSTの取り扱い等について改正される。

その他

  • 海外税制に関し、海外のマネージドファンドの特定のポートフォリオ投資所得に対する課税制度についての不確実性に対処するため、先般公表されたIMR(Investment Manager Regime)草案の内容が拡大される予定である。
  • 金融取引に対する課税ルール(TOFA)に関し、負債/資本ルールの明確化、機能的な通貨ルールの拡大、ヘッジ規定の改正等が提案されている。
  • 法人欠損金ルールに関し、納税者にとって一定の状況下における株主継続性テスト(COT)を満たしやすくするために、2011/12年度から欠損金使用制限規定を改正することが提案されている。
  • キャピタルゲインタックスに関し、会社買収時の株式交換に係る課税繰延べルールの改正、再生可能資源関連インセンティブあるいは環境保護を目的としたCGT免除ルール等についての提案がなされている。
  • 非営利事業体に適用される課税免除ルールに関し、それが当該非営利事業体の利他性を直接的に促進するような活動においてのみ適用されるように改正される予定である。
出典:PwCオーストラリア 日系企業部
「月刊 国際税務」 2011年6月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編