連結納税制度を元に戻すための改正(オーストラリア)

2011年11月25日、政府は企業グループに適用される連結納税制度に関する重要な改正を公表した。これにより、僅か18カ月前に同一の政府により導入された「将来収益に対する権利(以下、RTFI)」制度および「その他資産の税務原価設定」制度は元に戻されることになる。

当該改正は、連結納税制度の適用を選択してきたオーストラリア子会社を有する企業に影響を及ぼす可能性のあるものであるが、特に2002年7月1日以降に他社の買収ないし合併を行った企業グループに大きな影響がある。

遡及適用

多くの改正事項は遡及的に適用される。遡及する内容は2010年に行われた改正事項を元に戻すことに限られず、2002年以降施行された法律の適用を取り消すことも含まれる。

企業は今回の改正が及ぼす影響を十分に考慮する必要がある。請求の一部(2011年3月30日よりも前に請求を行い還付を受けた場合や税務当局(ATO)の確認を受けた場合など)は保障されるが、そこまで回り合わせのよい企業はそう多くはないであろう。

不利益な影響

多くの企業がこれまでの法律に準拠し、自身の勘定、業績報告、投資決定、または配当支払の点で、便益を認識してきた。

今回の改正はこういった多くの企業に対し不利益な影響を及ぼすことになり、中にはそれによって勘定を修正することが必要となる企業もあろう。

複雑性

今回の改正は、いつ取引が行われたか、あるいはいつ確認ないし賦課通知が発行されたかによって適用関係が異なる制度間の複雑なマトリックスや並べ替えを生じさせている。

ある特定の法人が今回の改正により受ける上述の影響の大きさを正確に測るためには、十分な注意と分析が必要となろう。

期間による相違

今回の改正により適用される制度は、連結加入時期により次の3つに分かれる。

  1. 2002年7月1日から2010年5月12日まで
    基本的に旧制度(2010年改正以前)に戻る(顧客関係資産およびノウハウ、保険契約、鉱区整備およびRTFI契約などは新たな適用除外事項となる)。未収収益についての特別所得控除が認められる。
  2. 2010年5月13日から2011年3月30日まで
    当該期間中に取引を行ったために、その時点で有効な法律に準拠した企業は、基本的に保護される。特に、RTFI契約に配賦された費用についての所得控除は、10年か契約期間のいずれか短い期間に渡り適用可能となる(顧客関係資産およびノウハウ、更新選択権、将来契約、違約金なしで相手方に解約される可能性のある契約などは新たな適用除外事項となる)。
  3. 2011年3月30日以降
    主に株式買入と事業資産直接買入の結果を調整する目的で将来状況を踏まえ、より限定された範囲で適用される。

確認、賦課および賦課修正に基づく請求の保障

2011年3月30日より前に発出された個別確認、賦課および賦課修正に基づく請求を行った企業に対しては更なる保護が与えられる。

個別確認に基づく場合、請求(全ての将来にわたる「一部確定済(tail)」所得控除を含む)は完全に保障される。

2010年5月12日より前に行われた加入取引で、賦課ないし賦課修正に基づくものは大部分が保障される(顧客関係資産、更新選択権、将来契約、違約金なしで解約される可能性のある契約などが適用除外事項となる)。ただし、同一の資産に関する将来にわたる「一部確定済」所得控除は保障されない。

出典:PwC US, WNTS Publication, Asia Pacific Tax Newsalert
「月刊 国際税務」 2012年1月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編