問題点:
歴史的に内国歳入庁(IRS)は、恒久的施設(Permanent Establishment -PE)の調査については、優先度の低い問題と捉えていた。PEの問題は、認定が難しく、その後の展開も極めて困難である。しかし、最近における次のような内国歳入庁の動きは、PE問題の執行に関して新たなアプローチをとっていることを示している。
| ・ | PE問題を展開する上で現場の調査官を支援する専門家を指名する。 |
| ・ | 内国歳入庁の税務調査マニュアルに新しい章を追加し、PE調査のための情報収集にあたる調査官の支援をする。 |
| ・ | 事前確認制度(APA)プログラムの対象範囲を拡大し、PE問題を含めることとする。 および |
| ・ | 内国歳入庁国際研修教材を見直し、PE問題および米国の事業(trade or business - TOB)に従事する会社での実質的に関連する所得(effectively connected income - ECI)を有するものの取り扱いに対する認知度を向上させる。 |
納税者にとっては、これらのために現在の米国を拠点とする経済活動が新たにPE問題の精査と紛争のリスクがあるかどうかを検討するような状況となっている。内国歳入庁がこの分野に力を注いでいる以上、内国歳入庁からのPE問題の指摘に関連する潜在的な紛争に備えをし、かつ効果的に管理すれば、多くの時間、労力、資金や頭痛の種を減らすことができるはずである。最近になって、内国歳入庁からPE問題で税務調査による照会を受けた会社にとっては、これらの照会に対してどうすれば最も適切に対応できるかについて理解することは有益であろう。
背景:
しばしば、内国歳入庁は、PE問題について優先度の低い問題と考えていたところであるが、最近のグローバルビジネスの状況は、PE問題がますます広汎なものとなる環境を生んでいる。外国企業が米国でより多くのビジネスをしており、また、多くの外国政府が米国企業の税務調査で、PE問題を採り上げている。しばしば、このために相互協議手続きに移行し、PE問題が内国歳入庁内でより目立つものとなっている。これらの傾向の結果、多くの法人が、内国歳入庁からの照会に対してますます脆弱なものとなっている。
これらには次のことが含まれている。
| ・ | 1120F予防申告者(Protective Filers)―1120F予防申告書の提出は、内国歳入庁に潜在的なPE問題の存在を知らしめる。しかし、1120F予防申告書の提出を怠った場合に、内国歳入庁が、万一PEの存在を立証できれば、費用控除ならびに税額控除(欠損を計上した年度からの欠損金の繰越を含む)が認められないリスクを負うことになる。 |
| ・ | 米国に形式上の存在を有していない外国企業―グローバルな規模で常時事業活動をしていることおよび米国に従業員をビジネス目的で出張をさせていることは、米国での潜在的なPE問題に気付いていない外国本拠の企業を洗い出すこととなる。 |
| ・ | 米国での事業活動に想定外の変更があった外国企業―カリブ海でのハリケーンのために、外国企業が国外事業を「一時的」に米国へ移転した等のような想定外の事業状況の変化が、米国に新しくPEを生じさせる可能性がある。 |
| ・ | メキシコ湾でオフショア活動する外国企業―メキシコ湾で石油掘削装置の上、または周辺で活動する外国企業は、大陸棚(Outer Continental Shelf)を米国の領域と定める内国歳入法典の第638条の規定を了知していない可能性がある。 |
| ・ | インヴァージョン企業(inverted companies)-外国企業の米国子会社が、外国の親会社の米国での管理と支配を行っている、すなわち米国で外国の親企業のPEとなるような活動に従事していると判定される可能性がある。 |
結論:
米国でのPEに関する紛争がもっと増えると予想するのは当然である。納税者は予想外のPE論争にさらされることを認識すべきであり、そしてそのような論争にさらされる危険性を抑える適切な手段を講じるべきである。継続的な監視と定期的なリスク評価が必要である。税務調査の通知を受けて、PEの調査と認定に不安を抱く納税者は、関連要素を検討し、自社の税務上のポジションの強みと弱点を専門的に確認すべく機能分析を行う必要がある。
出典:PwC US IAS Service Team Hot Topics*
「月刊 国際税務」 2009年1月号収録 Worldwide Tax Summary
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編