「フォクス銀行」配当に対する源泉税の還付請求事例

「フォクス銀行」配当に対する源泉税の還付請求事例[PDF 140KB]

欧州共同体(EC)[1]条約において、「欧州連合(EU)[2]加盟国と第三国」との間における資本移動を国内法で規制することを禁止する規定が設けられています。

ここ数年、欧州司法裁判所(ECJ)[3]により、この規定に関する数多くの判決が下されています。この資本移動自由の原則は資産運用業界にも適用されます。具体的には、ヨーロッパにポートフォリオ投資を行っているEU域外を本拠とする投資家に対しても資本移動自由の原則が適用されると思われます。資本移動自由の原則の適用範囲の拡大に伴い、たとえば日本の投資家のようなEU諸国の居住者でない投資家がヨーロッパで行うポートフォリオ投資に対し課された源泉税にかかわる還付請求書を提出する機会が出てくる可能性があります。

本ニュースレターでは、「フォクス銀行」訴訟として知られている還付請求訴訟を取り上げます。本訴訟はヨーロッパにおける配当に対する源泉税の還付請求にかかわる最初の訴訟です。ここでは、本訴訟の内容およびここ数年の同様の還付請求の動向についてご紹介し、EUまたは欧州経済領域(EEA)[4]の企業に投資する日本のポートフォリオ投資家にとって「フォクス銀行」訴訟がどのように影響するかをご説明いたします。還付請求の動きが今後さらに広がっていくと予測されることから、現状および今後の展望にかかわる情報を提供したいと考えています。



[1]欧州共同体(EC)はマーストリヒト条約(1992年3月)により創設された欧州連合の3つの柱のうちの第1の柱です。ECは超国家主義の原則に基づいており、欧州連合の前身である欧州経済共同体がその起源です。加盟国は、フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、デンマーク、アイルランド、イギリス、ギリシャ、スペインおよびポルトガルです。

[2]欧州連合(EU)は27か国で構成される政治・経済統合体です。地域の統合を目標にかかげ、EUはECを基礎に1993年11月1日にマーストリヒト条約によって創設されました。加盟国は、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデンおよびイギリスです。

[3]欧州共同体司法裁判所は一般的に欧州司法裁判所(ECJ)と表記され、欧州共同体法上の事項についての欧州連合における最高裁判所です。

[4]欧州経済領域(EEA)は欧州自由貿易連合(EFTA)の加盟国、ECおよびEUの全加盟国との間の協定によって1994年1月1日に創設されました。この協定により、EFTAの加盟国がEUに加盟することなくヨーロッパの単一市場に参加することが可能になりました。加盟国は、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、リヒテンシュタイン、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデンおよびイギリスです。