日本の大企業の税金・社会保険料負担の全体像を明らかにする初の調査報告書

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税理士法人プライスウォーターハウスクーパースは、本日付けで「平成19年度および平成20年度の総合的財政貢献調査(Total Tax Contribution 2009)」を公表した。同報告書は経済産業省の委託調査であり本年6月7日に経済産業省経済産業政策局企業行動課より公表された報告書に、当法人独自の分析を加えた内容となっている。

報告書の主たるポイントは以下の通り。

  1. 日本を代表する企業38グループ(日本の株式時価総額上位50社のうち28社を含む。子会社を含めると95社)が実際に支払った、平成19年度、平成20年度の法人税等(法人住民税、事業税等を含む)、社会保険料、固定資産税等54種類の税金の納税状況をキャッシュフローベースで調査。企業の損益計算書に与える負担税目のほか、企業が政府に代行して徴収した消費税、社会保険料従業員負担分等の「徴収税目」についても別途集計・分析した。これらの結果を先行調査9カ国と比較検証している。
  2. 調査対象企業の総合的財政貢献額の合計額は、平成20年度は7兆1,794億円(負担税額3兆9,863億円、 徴収税額3兆1,931億円)であった。平成19年度は7兆9,933億円(負担税額4兆6,874億円、 徴収税額3兆3,058億円)であり、これは平成19年度の政府等の歳入金額の5.4%を占めている。
  3. 質問票において対象とした日本の租税または社会保険料は54税目である。調査対象企業の回答において、実際に納税を行っている負担税目の数は平成20年度の各社平均で15.4税目であった。また徴収税目の数は平均で6.5税目であった。
  4. 調査年度において企業が負担した税金のうち、法人税等が占める割合は約5割である。すなわち、法人税等100円に対して、企業はほぼ同額のその他の税金・社会保険料事業主負担分等を負担している。企業の税負担を検証する上で、法人税等収益に係る税の分析だけでは不十分であることが明らかになった。調査集計額の約4分の1を地方税が占めており、国税との一体的改革が望まれる。
  5. 日本の全法人数260万社のうちわずか0.004%未満の調査参加企業95社において、平成19年度、平成20年度の日本の法人税収の約10%を負担していることが判明、法人税収の大企業依存度は予想以上に高い。
  6. 調査参加企業95社が政府に代行して徴収した税金の中で、集計金額が最も大きかった税目は揮発油税(平成20年度で1.3兆円)であったが、揮発油税収の実に70%弱を調査参加企業のうち、 4社が代行徴収している実態が明らかになった。利益水準が低迷する中でもこれら企業による国庫への財政的貢献は大きい。
  7. 調査対象企業の総合的な公的負担率(法人税等・社会保険事業主負担、固定資産税等の負担税目合計の税引前利益(それらすべての負担税目控除前の利益)に対する割合)の平均値は、企業業績の悪化を反映し、平成19年度の41.6%から平成20年度は58.2%と大幅に上昇している。不況の中で企業のキャッシュフローに重くのしかかる税金・社会保険料負担の実態が明らかになった。
  8. 平成19年度と平成20年度の結果を平準化した総合的な公的負担率50.4%は、すでに同様の実証分析を実施した海外諸国の中で非常に高いレベルである。
  9. 平成19年度から平成20年度にかけて調査参加企業の利益総額は6割減少しており、これに伴い法人税の納税額も約5,800億円減少した。しかし、企業が創出する付加価値の投資家、従業員、政府等各ステークホルダーへの分配比率をみると、政府の取り分である納税額は平成19年度の39.7%から平成20年度の47.7%へと大きく増加している。利益水準が極めて厳しい年度においても、大企業セクターによる国庫への財政貢献度は高いと言える。

法人実効税率の軽減の一方で、その財源措置としての課税ベースの拡大の議論が行われており、また税と社会保障の一体改革が提言されているが、これらの議論を単に制度比較や、観念論的な議論に基づくことなくさらに深めていくためは、企業による公的負担の実態をつまびらかにする実証分析の継続的調査が不可欠である。

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