Paying Taxes 2012 – 納税のしやすさランキング

  • 世界183カ国を対象とした納税のしやすさランキングで、日本は、119位。
  • 昨年調査と比較して33カ国で納税のしやすさが改善。
  • 2006年調査以来、税金費用は平均8.5%減少、納税に必要な時間は1週間以上短縮、納税回数は5回分減っている。

調査概要

世界銀行、国際金融公社(IFC)およびプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の中の国際的指標分析グループが、この「Paying Taxes」の報告書を作成し始めてから、これで6年目となります。「Paying Taxes 2012 – The Global Picture」は、世界183カ国の「納税のしやすさ」を測定するものです。

本報告書は、モデル企業(同一の条件でモデル化された企業)が、調査対象国で負担する税金費用および税務申告・納付に関する事務負担を対象としています。この両者はビジネスを行う上で大変重要な要素となります。これらを測定するために3つの指標、すなわち、公的負担率(負担するすべての税金費用)、主要な税金(法人所得税、雇用関連税と負担金、消費税)の納付に要する時間、および納税の回数を用いています。

「Paying Taxes」におけるこれらの指標の測定においては、各行政レベル(国、州、市町村)により、標準的なビジネスに対して納付が義務付けられている税金および公的負担金のすべてを対象にしています。公的負担率の指標は、企業の財務諸表に影響を与える税金および負担金の影響力を測定するものです。ここには、法人税、雇用者負担の社会保険料や雇用関連税、資産税、資産譲渡税、配当税、キャピタルゲイン税、金融取引税、廃棄物収集税、自動車および道路税などが含まれます。他の2つの指標、すなわち、納税に要する時間および納税回数は、企業自ら負担する税金と行政を代理して徴収する税金の双方を対象にするものであり、ここには売上税や付加価値税(VAT)のような徴収ないし回収を行う税金や負担金も含まれます。

今年度の全体的な結果

  • 納税をよりしやすくするために、税制改正が世界中で推し進められている。
    - ここ7年の間に調査した国の60%超で244回の改正が行われ、納税をしやすくしている。
    - 調査によると、2010年6月から2011年5月にかけて、33カ国で納税がよりしやすくなっている。
  • 2006年の「Paying Taxes」の調査以来、税金費用は平均で8.5%減少し、納税に必要となる時間は1週間分以上(54時間)短縮され、また、納税回数は概ね5回分減っている。
  • 結果の改善に役立った実例としては次の事項が挙げられる。
    - 効果的な電子申告および納税システム(66カ国で採用)
    - 一つの課税標準につき複数の税金でなく、一つの税金のみを課す(49カ国で一つの課税標準につき一つの税金のみを課している)
    - 自己申告システムの採用(79%の国で採用)
    - 法人税率の引下げ(133回の重要な引下げが行われた)
  • 全世界平均で、モデル企業の公的負担率(納付した税金の利益に占める割合)は44.8%であり、納税のために年間277時間を費やし、税法に従い28.5回の納税を行っている。
  • 全世界平均で、モデル企業は、9種類を超える異なる税金を納付している。なお、法人税の占める割合は、平均で、公的負担率全体のわずか36%であり、納税に要する時間全体の25%、納税回数全体の12%を占めるに過ぎない。
  • 173カ国で法人税を課し、171カ国で社会保険料の負担金を徴収し、また、151カ国で付加価値税を採用している。
  • 調査対象とした企業の納税に要する時間は地域によって差が見られる。OECD加盟国(195時間)およびEU加盟国(209時間)では比較的少ないが、G20参加国(358時間)および中南米(382時間)では長くなっている。
  • 納税回数もまた、地域によって大きく異なっている。中欧と東欧では年間平均で37.9回の納税を行っているのに対し、OECD加盟国では平均で年間13.1回しか納税を行っていない。
  • 高所得国において、調査対象とした企業は、15.2回の納税を行い、主要な税金の納付に168.7時間を費やしており、その公的負担率は37.4%であった。一方、低所得国においては同様に、38.3回、271時間、67.8%であった。
  • モデル企業が最も時間を費やした税金は消費税、特に付加価値税であった。付加価値税は全世界で最も多く採用されている消費税の形態である。このような国では、66%の時間を付加価値税の納付に費やしており、これは法人税の納付に要する時間の2倍に相当する。
  • 税制において最も改善を必要とする事項として、本調査に参加した国の79%が税務調査や異議申立ての方法を挙げ、66%が税務当局の取り組む姿勢を挙げた。
  • 「Paying Taxes」の報告書に掲載されている全体のランキングについては、引き続き各指標のパーセンタイル順位の単純平均を用いている。今年度、当該ランキングと、世界銀行グループの「ビジネス環境の現状(Doing Business 2012)」に掲載されているランキングは、世界銀行がさまざまな関係者との検討の中で持ち上がった問題点に対処すべく方法論の変更を試験的に実施しているため、異なるものとなっている。「Doing Business 2012 」では、ランキングにおける低公的負担率の影響を緩和するために、公的負担率のランキングにしきい値を採用している。

地域別の結果 – アジア・太平洋地域

  • 2010/2011年度において、アジア・太平洋地域の4カ国で納税をよりしやすくするための改正が実施された(インド、韓国、ニュージーランド、スリランカ)。
  • アジア・太平洋地域の「Paying Taxes」の結果は、3つの指標のいずれにおいても全世界の平均値を下回った。公的負担率の平均は37.3%(全世界平均は44.8%)、納税に要する時間の平均は229時間(全世界平均は277時間)、納税回数の平均は24.1回(全世界平均は28.5回)であった。
  • 法人税は企業負担の大きな要素となっている。アジア・太平洋地域において公的負担率に占める法人税の割合は49.0%である(全世界平均は36%)。これは他の地域と比べても高い割合となっている。法人税の納付に要する時間は全体の32%を占め、地域別に見て最も高い割合となっている。
  • モデル企業に課される税金の種類は全世界平均で9.3種類である。アジア・太平洋地域の平均は8.4種類であり、キリバスの2種類から日本の20種類まで幅がある。
  • 消費税はモデル企業の税金費用を原則として増加させるものではないが、コンプライアンス負担は相当程度増加させている。アジア・太平洋地域で消費税の納付に要する時間は、他の税金の納付に要する時間よりも長くなっており、平均で83時間を費やしている(雇用関連税および社会保険負担金の納付に要する時間は73時間、法人所得税は74時間)。

本報告書の英文フルレポートはこちらをご参照ください。

(参考)「納税のしやすさ」ランキング - トップ10および主要国のランク
  総合ランキング 項目別ランキング 項目別データ
国名 納税の
しやすさ
(順位)
納税回数
(順位)
納税等に
要する時間
(順位)
公的負担率
(順位)
納税回数
(回/年)
納税等に
要する時間
(時間/年)
公的負担率
モルディヴ 1 1 1 3 3 0 9.3%
カタール 2 1 3 6 3 36 11.3%
香港 3 1 12 23 3 80 23.0%
シンガポール 4 7 15 32 5 84 27.1%
アイルランド 5 17 9 31 8 76 26.3%
UAE 6 49 2 7 14 12 14.1%
サウジアラビア 7 49 11 9 14 79 14.5%
オマーン 8 49 7 20 14 62 22.0%
キリバス 9 11 29 50 7 120 31.8%
モーリシャス 9 11 53 26 7 161 25.0%
カナダ 11 17 37 39 8 131 28.8%
英国 18 17 24 82 8 110 37.3%
東ティモール 23 8 123 1 6 276 0.2%
オランダ 34 29 33 96 9 127 40.5%
韓国 44 44 96 42 12 225 29.7%
オーストラリア 52 40 23 133 11 109 47.7%
フランス 55 11 38 164 7 132 65.7%
米国 69 40 66 131 11 187 46.7%
ドイツ 86 44 88 130 12 221 46.7%
ロシア 102 29 128 132 9 290 46.9%
日本 119 49 139 138 14 330 49.1%
中国 121 11 155 161 7 398 63.5%
イタリア 133 54 127 170 15 285 68.5%
インド 147 111 107 156 33 254 61.8%
ブラジル 150 29 183 168 9 2600 67.1%