Emerging Trends in Real Estate® Asia Pacific 2013

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東京の不動産業界の見通しが改善
東京の回復に伴い外国からの投資も拡大
-「不動産の新しい動向®アジア太平洋2013年」レポート

2012年12月12日 東京発 – アーバンランド・インスティテュート(ULI)とプライスウォーターハウスクーパース(PwC)は本日、不動産動向調査報告書である「不動産の新しい動向 アジア太平洋2013年」(Emerging Trends in Real Estate® Asia Pacific 2013)を発表しました。本調査の結果、向こう12カ月における東京の不動産業界の見通しが改善しつつあり、回復に伴って外国人投資家も東京に戻るとの見解が示されました。

本報告書はULIジャパンとPwCが主催するプログラムの場で本日発表されたもので、アジア太平洋地域における不動産投資と開発のトレンド、不動産金融・資本市場の状況、および不動産部門別・都市別の動向について、広く共有された見通しを示しています。

本報告書の調査対象の22都市中、東京は投資見通しで第13位、開発見通しで第18位となりました。多くの投資家が東京の回復について確信を強めており、外国からの投資が東京に引き寄せられ、数件のファンドが東京に事務所を開設しスタッフを派遣していると本報告書は指摘しています。コア・ファンドは総じてオフィス部門に注力しています。

ニッチ部門への志向も増大し、2011年3月の東日本大震災で被災した流通インフラの復興が進展するにつれ、多くの投資家が物流部門のポテンシャルに着目しています。東京以外の都市については見通しが芳しくなく、大阪は主としてAクラスオフィスビルの過剰供給により、投資見通しと開発見通しのいずれも最下位となりました。

アジア太平洋地域全体については、経済の安定した成長、所得の増加と不動産価格の安定(または上昇)により全般的に楽観論が見られますが、主要不動産市場におけるプライム資産のオーバープライシングに対する投資家の懸念が高まっていることから、見通しが幾分弱められています。一例として、アジアのキャップレートは多くの欧米市場に比べ圧縮されており、北京、香港、シンガポール等の都市のコア・オフィス資産のリターンはわずか2%に留まっています。

ULIの理事でULI北アジア地域副会長であるリチャード・プライス氏(CBREグローバルインベスターズ、アジア太平洋CEO)は「アジア太平洋地域のプライム不動産市場は高い賃料、高い資本価値、低い利回り、豊富なローカル資金により、多くの国際投資家が有利な機会を見出すのに苦心している」と述べています。「その結果、投資家は極めて魅力的な投資機会を求め、投資対象先を広げつつある。インドネシアなどのフロンティア市場に目を向ける者もいれば、クアラルンプールやバンコクなど見過ごされがちな都市に回帰しようとする者もいる。そのため今年の報告書ではこうした地域の存在感が光った。香港の九龍や中国のセカンドティア都市といったセカンダリー市場も国際投資家の購入意欲を強めている。同時に、欧米の多くの成熟市場では、新たに組織されたアジアの機関投資家が世界金融危機後の回復に乗じようと、コア投資に対する強い需要を示しつつある。」

これに加え、税理士法人プライスウォーターハウスクーパースの不動産部門のリーダーである高木宏氏は「東京の不動産が2011年に底を打ったというのが投資家の一致した見方だ」といい、「現在は特に物流施設とAグレードのオフィスに対して国内外の投資家が関心を強めつつある」と指摘しています。「邦銀が欧米の銀行に比べて健全であり、国内外の機関投資家による不動産投資が拡大し、またJ-REIT市場が回復していることから、来年の東京エリアの不動産市場の見通しは明るいものとなっています。」

2013年の投資見通しにおける上位市場

全体的に、アンケート回答者は各都市の見通しを強め、過去2年に比べて高い評価となりました。今回の報告書では、2013年の投資見通しにおいて以下の都市が上位5都市にランクされました。

  1. ジャカルタ - ジャカルタは投資と開発の見通しの双方で1位に輝きましたが、投資適格不動産が不足し、また経済成長を続けているとはいえ他の先進市場に見られる企業活動や経済規模、インフラが欠けていることから、これは「意外」な結果と捉えられています。しかしベトナムなど他のフロンティア市場と比べ全般的に事業取引が容易で透明性も高いため、多くの不動産専門家がジャカルタをアジアの新興市場の中で最も好ましいとしています。インドネシアは金利とインフレ率が安定し、GDPが着実な成長を示し、外国直接投資は2012年上半期に前年比39%増となりました。不動産に対する需要が強く、オフィス賃料は前年比29%の上昇を見せています。銀行融資の確保や信頼できる現地パートナーの選定が困難といった問題はあるものの、ジャカルタは非常に有望視されています。
  2. 上海 - 上海のオフィス市場と商業施設市場は、中国の不動産に目を向ける外国ファンドの主たる投資対象となっています。上海は事業環境が比較的ユーザーフレンドリーで、機関投資家適格不動産も増加しつつあり、市場のパフォーマンスも歴史的水準にあることから、両部門とも高い人気を維持しています。しかしランキングの高さにもかかわらず、外国人投資家にとって上海の魅力は数年前に比べ薄れています。物件価格が割高と見なされ、市場が飽和状態となったことに加え、中国の規制当局が国内不動産業者の資金調達力と開発力に対する信頼を深め、以前ほど外資を歓迎しなくなったことが原因です。中国への投資を企図する外国ファンドは引き続き上海を重要な市場として位置付けていますが、短期的には上海での投資活動は低迷しています。
  3. シンガポール - シンガポールは不動産投資家から「セーフヘイブン」と見なされ、世界の金融ハブという地位に支えられた(格別に高くはないものの)堅実なリターンを得られる市場として、依然として高い人気を誇っています。シンガポールのオフィス市場は、Aグレードのオフィススペースが大量に新規供給され既存のビルからテナントが吸い上げられたため、最近になって停滞しました。この問題は国内金融部門の人員削減によってさらに悪化しています。空室率が上昇し賃料が下落していることから、一部の国際ファンドは市場からのエグジットを模索しています。
  4. シドニー - 近年、シドニーでは商業用不動産の新規供給量が限定的となっていました。ただし2015年には大量のオフィス・商業施設スペースが供給される見込みです。機関投資家適格不動産が不足しているため、引き続き取引高が低迷する一方で価格が高止まりし、オフィス資産のトータルリターンが急上昇しています。昨年、アジア太平洋地域の中で国際不動産投資が最も多く行われたのがオーストラリアでした。こうした国際ファンドにとってオフィス資産は引き続き人気の的で、一部のアナリストはオフィス部門の取引の30%が外国人投資家によるものと捉えています。
  5. クアラルンプール - クアラルンプールは市場が安定的でオポチュニスティックなリターンを獲得する機会があることから、不動産投資対象として脚光を浴び始めています。2012年第3四半期にはアジアの大半の市場において取引が大幅に減速したものの、クアラルンプールは例外となりました。政府の「経済変革プログラム」によって外国投資を惹きつけることに成功したため、多くの回答者が商業用不動産市場の長期的な見通しを高く評価しています。

上海に加え、中国の他の都市(北京およびいくつかのセカンドティア都市を含む)も投資見通しと開発見通しの双方で上位10位にランクインしました。急成長と価格の高騰に関する懸念が存在するものの、新興市場では価格が予想外の動きを見せることは珍しくなく、そうした展開はローカル市場の状況に照らし合わせて検討する必要があることを本報告書は指摘しています。

本報告書は投資家、デベロッパー、不動産会社のトップ、金融機関、仲介業者、コンサルタントなど、400名超の国際的に著名な不動産専門家の見解に基づいて作成され、PwCとULIアジア・パシフィックが11月から12月にかけアジア各地で主催する一連のイベントで発表されたものです。ULIアジア・パシフィックはアジア太平洋地域における約1,000名のULI会員にサービスを提供しています。

- 以上 -

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