Emerging Trends in Real Estate® Asia Pacific 2012

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東京の商業用不動産の投資見通しと開発見通しは2012年も引き続き不透明
米国と欧州の経済的苦境によりアジアの投資家の気勢が削がれる
-「不動産の新しい動向®アジア太平洋2012年」レポート

2011年12月1日 東京発 - アーバンランド・インスティテュート(ULI)とプライスウォーターハウスクーパース(PwC)は本日、不動産動向調査報告書である「不動産の新しい動向 アジア太平洋2012年」(Emerging Trends in Real Estate® Asia Pacific 2012)を発表しました。本調査の結果、2012年における商業用不動産の投資と開発に関して、東京については経済成長が他国と比較し低い水準となることから、見通しは引き続き不透明との見解が示されました。

本報告書は、ULIがアジア各地で主催する市場予測関連イベントの一環として本日東京にて発表されたものです。投資家、デベロッパー、不動産会社のトップ、金融機関、仲介業者、コンサルタントなど、360名超の国際的に著名な不動産専門家の見解に基づき、アジア太平洋地域における不動産投資と開発のトレンド、不動産金融・資本市場の状況、および不動産部門別・都市別の傾向について見通しを示しています。

インタビュー回答者は日本について、東日本大震災と津波の被害からの復興により経済の押し上げが期待されることから「2012年は2011年より改善する」との見方で一致していますが、長期的には、大量の定年退職による労働力の減少が持続的な経済成長の妨げとなると本報告書は述べています。調査対象の21都市中、東京は投資見通しで第17位、開発見通しで18位となりました。東京は「金利が低く、資金が豊富で、投資先としても安全」と見られているものの、「市場の不動産ファンダメンタルズには引き続き疑問が残る…東京について示された意見の大半は、資金は十分以上だが投資手段が不十分というものです。投資適格の物件がマーケットに売りに出されず、J-REIT 銘柄の流動性は低い」と指摘しています。

アジア太平洋地域全体については、米国と欧州の経済的苦境が、経済面のみならずアジアとオーストラリアの不動産市場における投資家心理にも影響を与えつつある、と指摘しています。

ULIの理事でULI南アジア地域会長であるサイモン・トレーシー氏は「アジアでは投資資金が十分にあり、2011年半ばまでは需要不足よりもインフレ圧力の方が懸念されていた」と述べています。「しかし状況は一転し、世界的に景気後退に逆戻りするという見通しが不安感を募らせている。今後12カ月にわたり、世界経済とアジア経済、そして不動産市場には大きな不確実性が続くと思われるが、これは危機なのかそれとも機会なのかと問われれば、その両方だと言える。米国と欧州の債務問題や政治問題、中国のソフトランディングや信用収縮はいずれも不動産市場における取引件数と価格の減少につながっている。世界には対処すべき課題が依然として山積しており、アジアはトワイライト・ゾーンに入った。本報告書が示すように、今はリスクを減らし、キャッシュフローを重視すべき時だというのは確かだ」。

税理士法人プライスウォーターハウスクーパースの高木宏氏は、「日本の不動産全体の見通しは依然として不透明であるもののクライアントは投資機会を見出している」と語り、東京は経済の一大中心地でありアジア最大の不動産市場であるとして、「市場規模と流動性の高さにより、アジアへのエクスポージャーを高めようとしている外国人投資家からの資金流入が今なお続いている。また、特に中長期的な投資対象として優れた機会もある。東京は外国人投資家にとって依然として魅力的な都市である」と説明しています。

2012年の投資見通しにおける上位5都市

全体的に、アンケート回答者はアジア太平洋諸国の見通しを昨年よりやや弱めています。今回の報告書では、2012年の投資見通しにおいて以下の都市が上位5都市にランクされました。

  • シンガポール - 2年連続で投資見通し第1位となったシンガポールは、資産運用・財産運用部門が発展し、真の国際都市への道を歩み続けています。同様に、労働力が大量に流入し観光業界も引き続き成長しています。ただしアンケート回答者は市場が既にピークを迎えた可能性があるとして、A クラスビルがパイプラインに大量に存在する一方、賃料の上昇ペースが落ちていることから、投資家のリターンが低下する可能性を示唆しています。2012年の投資において「バイ」(資産の購入)、「ホールド」(資産の保有継続)、「セル」(資産の売却)のいずれが最適かとの質問に対し、アンケート回答者の半数以上が、すべての不動産部門において「ホールド」を推奨しました。
  • 上海 - 上海は投資見通しにおいて2年連続で2位となりました。中国で第1のGDP を誇る都市、 上海は成長を続けており、機関投資家からの資金を引き付けています。需要が高く供給が不足していることから、引き続きオフィススペースが関心の中心となっており、アンケート回答者の同数がオフィス市場での「バイ」と「ホールド」を推奨しています。また、国内消費が旺盛で商業部門も堅調な成長を見せており、観光業も消費の拡大に貢献しています。アンケート回答者の半数以上が商業施設部門で「バイ」を推奨しました。
  • シドニー - シドニーはアジア太平洋地域の中で最もリスクが低い市場であり、その安定性は投資見通しにおける高い順位にも反映されています。オフィス需要に回復の兆しが見られたことから、2011 年には大量のオフィス開発が行われました。投資家は複数の資金源から資金を容易に得られるため、全物件タイプにわたって積極的に取得が行われており、この流れは2012 年も続くと予想されます。
  • 重慶 - 今回初めて調査対象都市に加わった重慶は、投資見通しで第4位となりました。中国で最も急成長を遂げている都市の一つであり、国内最大の自動車メーカーや鉄鋼会社などが重慶を拠点にしています。中国の一級都市で人件費が上昇するのに伴い、重慶のような二級都市がその恩恵を受け、商業施設の機会が高まっています。上海と同様、アンケート回答者の半数以上が商業施設について「バイ」を推奨しました。重慶のオフィス物件は今後5 年間で在庫が大幅に増加し、市場の吸収力を大きく上回ると見られます。
  • 北京 - アンケート回答者は北京について、経済の減速もしくは「ソフトランディング」が進行していることを承知しつつも、強気の見通しを示しました。商業用賃貸市場は好調で、新築ビルの供給が常に行われ、それに見合う需要も常に存在し、賃料も上昇しています。北京では大規模なスタートアップ企業が新たに登場しつつあり、資金供給も豊富であることから、今後も建設がさらに進むと考えられます。オフィス部門とホテル部門の推奨は「ホールド」が高く、商業施設部門と産業施設部門では「バイ」と「ホールド」が同数となっています。

中国は2012年に成長が減速し、今後5年間は安定成長となると見込まれるものの、依然として最大の新興経済国の地位を保っています。投資見通しの上位5都市の3つを中国が占めており、投資家にとって中国は今後も重要な投資先となりますが、アンケート回答者によると外国人投資家にとって最大の焦点は、中国政府が不動産部門での資産バブルの発生を懸念している中で、資金を国内に持ち込むことが可能かどうかとなっています。

インド経済は中国に次いでアジア太平洋地域で2 番目に高いGDP成長率を維持していますが、デベロッパーは銀行から資金調達を行うことが非常に難しくなっています。インドの都市ではバンガロールが投資見通しにおいて最も高位にありますが、アンケート回答者はインド経済に対して全般的な懸念を示しています。デリーとムンバイはインフレ懸念の影響を受けて順位を大きく下げました。

不動産部門別では、アジア太平洋地域全体を通して産業施設/物流施設部門が最も高い評価を受け、僅差で住宅部門(分譲住宅と賃貸集合住宅の双方)が続いています。オフィス部門と商業施設部門の評価は中位にあり、ホテル部門は投資見通しの評価が最も低くなりました。

アーバンランド・インスティテュートについて

アーバンランド・インスティテュート(www.uli.org)は土地利用・不動産開発に関する国際的な非営利研究教育機関(会員制)です。責任ある土地利用にリーダーシップを発揮し、世界中のコミュニティを維持し繁栄をもたらすことを使命としています。1936年に設立され、あらゆる分野の土地利用と開発分野を代表する約3万人の会員が所属しています。

PwC(グローバル)について

PwCは、世界158カ国 におよぶグローバルネットワークに約169,000人のスタッフを有し、高品質な監査、税務、アドバイザリーサービスの提供を通じて、企業・団体や個人の価値創造を支援しています。詳細はwww.pwc.com をご覧ください。

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