Emerging Trends in Real Estate® Asia Pacific 2010

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世界的景気後退後のアジア太平洋市場で明るい兆し
-「不動産の新しい動向®アジア太平洋2010年」レポート
ULIとプライスウォーターハウスクーパースの共同報告書にて
東京は不動産投資市場のトップ10にランキング

2009年12月3日 東京発 – アーバンランド・インスティテュート(ULI)とプライスウォーターハウスクーパースLLP(PwC)は本日、不動産動向調査報告書である「不動産の新しい動向 アジア太平洋2010年」(Emerging Trends in Real Estate® Asia Pacific 2010)を発表しました。不動産業界の専門家を対象に行った本調査において、東京は不動産投資の見通しでトップ10にランクインしました。

本報告書はアジア太平洋地域の不動産投資や不動産開発の見通しを提供するとともに、世界的な景気後退の副次的な影響が懸念されるものの、東京の市場の潜在力は依然として高いと指摘しています。また本報告書は「外国人投資家は現在、困難な時代における質への逃避の一環として日本に向かいつつあります。また、危機の時代以外には市場に放出されることがまずないような優良資産の取得に目を向けている者もいます」と言及しています。

東京に目を向けている大半の投資家はオフィス部門と住宅部門に力点を置いており、空室率の上昇や賃料低下が減速すれば、これらの部門に対する投資家の関心がさらに高まる可能性があり、東京のような主要市場において安定性が認められれば、引き続き大きな誘引となると説明しています。

本報告書は今後数日にわたりアジアで開催される一連のイベントに合わせての発表となり、東京で開催された第12回ULIジャパン年次会議のハイライトとなりました。「Emerging Trends in Real Estate®」は、投資家、デベロッパー、不動産会社トップ、金融機関、仲介業者、コンサルタントなど、270名を超える世界的に著名な不動産専門家を対象にインタビューやアンケート調査を行い、その意見を反映してまとめたものです。

世界経済の崩壊以降、アジア太平洋地域の資産市場は欧米市場に比べ、驚くほどの堅調さを維持しています。2008年から2009年初頭にかけて不動産価格と賃料が急落した点では欧米と足並みを揃えたものの、アジア太平洋地域の市場は一連の財政政策・金融刺激策に支えられた中国経済の驚異的な回復力により、2009年後半に持ち直しました。

その結果、アジア市場の多くが2009年末に向けてポジティブな信号を発し始め、非常に低い水準からであったとはいえ取引量が反発しました。これには中国が占める割合が圧倒的に大きいものとなっています。

一部市場において価格を巡って買手と売手の間で手詰まり状態となり、また賃料が大きく変動しているものの、中国を中心にアジアでは総じて取引量が増加し不動産価格が上昇しています。

欧米では資産の投売りが広く行われているものの、アジアでは少数に留まっており、本報告書では次のような要因に起因すると説明しています。

  • 比較的高い流動性
  • 負債比率(LTV)が比較的低く、不動産価格が下がったとはいえ、貸手がローンの回収に問題を抱えるほどには至っていないこと
  • アジアの銀行はデリバティブ投資で大きな損失を被ったケースが非常に少なく、概して十分な資金を保持していること
  • アジア太平洋地域の大手機関投資家の多くが資本市場(特にオーストラリアとシンガポール)を通して資本の再構成を行い、負債を返済することができたこと
  • 企業の景況感が強さを保っていること

一時的な回復

強気のムードに変わったとはいえ、大半のアジア太平洋市場で見られる回復は中国を除き、一時的でもろいものと見られています。各国政府は予測可能な将来において高い流動性を維持することができると思われるものの、アジア太平洋の短期的な見通しも、レバレッジの圧縮がまだ道半ばである欧米(特に米国)の動向と切り離すことができないといえます。欧米の経済見通しが不安定なことから、アジア太平洋市場での強い景況感も楽観を許さない状況にあると思われます。 

「アジアの不動産市場は欧米で見られるほど低迷したことは一度もなく、現在市場で投資活動が行われているのは心強いものの、正しい成長の見通しを把握することが大切です」とULIチーフ・エグゼクティブオフィサーのパトリック・L・フィリップス氏は指摘しています。

さらに「景気後退はおそらく終わったとの見解から、世界経済は徐々に過去と同じ軌道に戻っていくという広く受け入れられている考え方が生じています。これは通常、景気後退の末期に現れるものであり、景気の急落を免れたアジアに特に当てはまります」。

「とはいえ今回は、景気後退の影響は従来と異なるものになりそうです。景気後退につながった不均衡は依然としてシステムに内在しており、直ちに取り除くことができないためです。加えて、欧米の消費者の消費が世界経済の成長を牽引することはもはやないため、世界経済、同様に世界の不動産業界を後押しする新たな推進役が必要とされています」とコメントしています。

税理士法人プライスウォーターハウスクーパースのパートナーであるレイモンド・カーン氏は「多くの不動産会社や投資家にとって非常に厳しい一年となりましたが、昨今の価格の下落は、投資資金を有する者に新たな機会を創出しています。厳しい状況が続くと見られるものの、いったん事態が安定すれば、外国人投資家による日本への関心は高まるものと思われます」と述べています。

注目すべき市場

本報告書は、アジアの成長の見通しは中国とインドの力強い動きに対する予測によるところが大きいと指摘しています。ある投資家は「しばらくの間は購入機会があるだろう」と述べています。このことは不動産投資および不動産開発の見通しに対するインタビューおよびアンケートでの調査結果にもうかがわれます。

  • 上海、香港、北京は不動産投資の見通しにおける上位3位
  • 上海、ムンバイ、ニューデリーはそれぞれ不動産開発機会の1位、2位、4位 (3位はホーチミンシティ)

上海 – 上海は2010 年の投資見通しで1位となりました。これは主として、中国政府が流動性の注入を決定したことで、不動産部門への銀行融資が拡大し、商業不動産の価格が急激に反発したことによるものです。投資家は商業施設、産業施設、賃貸集合住宅に関心を示しています。上海は開発見通しでも1位となりました。本報告書は上海では高い利益が得られる不動産部門として、デベロッパーが土地の購入を積極的に行い、商業施設や住宅施設に高い関心を示していると指摘しています。

香港 – 中国政府からの資本の流入による価格の上昇は小幅にとどまっているものの、香港は投資見通しで2 位となりました。商業施設部門が突出しており、経済危機の最中においても堅調さを示しました。

北京 ‐  北京は投資見通しで昨年から順位を9つ上げ3位となりました。2009年第1四半期に金融資産価格が急反発したことを受け、北京への資金流入は増え続けています。インタビュー回答者およびアンケート回答者は住宅施設および工業用建物の見通しについて魅力的であると指摘しています。

ムンバイ ‐ ムンバイの開発の見通しは上海に次いで2位となりました。すべての不動産部門で開発取引が増加しており、低価格住宅の建設が特に好調となっています。これは政府が住宅ローン金利の引き下げを続け、中流層が「本当に質が良く、優れた住宅を手にすることができる」ようになったことによります。

ホーチミンシティ ‐ ホーチミンシティは開発の見通しで3位となりました。その推進力となっているのが急拡大している中流層です。中流層の増加によって住宅施設だけでなく商業施設に対する関心も刺激されています。 

– 以上 –

 

 

「不動産の新しい動向 アジア太平洋」(Emerging Trends in Real Estate® Asia Pacific )について

本報告書は、高い評価を得ている不動産に関する年次投資調査「Emerging Trends in Real Estate®」のアジア太平洋版として今回が四回目となるものです。本調査は米国市場では31年、欧州市場では7年にわたり行っています。

アーバンランド・インスティテュートについて

アーバンランド・インスティテュート(www.uli.org)は土地利用・不動産開発に関する国際的な非営利研究・教育機関(会員制)です。責任ある土地利用にリーダーシップを発揮し、世界中のコミュニティを維持し繁栄をもたらすことをその使命としています。1936年に設立され、あらゆる分野の土地利用と開発分野を代表する約3万4,000人の会員が所属しています。

プライスウォーターハウスクーパースについて

プライスウォーターハウスクーパース(www.pwc.com)は、クライアントおよびクライアントを取り巻く人々の信頼の確立と、価値の向上を目指して、監査、税務、アドバイザリーサービスにおいて、クライアントの業種に焦点をあてたサービスを提供しております。PwCは、世界151カ国に163,000人のスタッフを有し、常に新たな視点からクライアントのご要望に即したアドバイスを提供できるよう、そのネットワークを十分に活用して問題解決に取り組んでいます。

プライスウォーターハウスクーパースとは、プライスウォーターハウスクーパース インターナショナル リミテッドに属するメンバーファームをさし、個々の組織は分離独立しています。

プライスウォーターハウスクーパース ジャパンについて

プライスウォーターハウスクーパース ジャパン(PwC Japan)は、あらた監査法人、PwCアドバイザリー株式会社、プライスウォーターハウスクーパース コンサルタント株式会社、税理士法人プライスウォーターハウスクーパース、およびそれらの関連会社の総称です。各法人はPwCグローバルネットワークの日本におけるメンバーファームであり、それぞれ独立した法人として業務を行っています。

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