企業は政府が地球温暖化に歯止めをかけるために必要となる行動の変化を率先して確立していくことに期待している。また、賞罰の双方を組み合わせることが、環境への影響を減らすように企業を促すための有効な手段と考えられる。
これらは、プライスウォーターハウスクーパース「変化への意欲(Appetite for Change)」における調査結果である。本意識調査は、環境に関連する規制、立法および税制に対する世界の産業界の姿勢をより詳しく見るものであり、15カ国、およそ700人のエグゼクティブの面談を通して、気候変動の影響、政府の役割、優先すべき環境政策手段、および世界的気候変動に対する効果的な対応策に必須となる要素について問題意識を共有している。
世界全体で84%のエグゼクティブが気候変動により向こう2、3年のビジネス手法が変わっていくことを認識しているが、フランスではこの数値が100%になり、南アフリカ、英国、カナダおよびオーストラリアでも90%を越えている。
また世界全体で44%のエグゼクティブが気候変動に関連する取り組みにおいて率先して転換を図っていくことは本来政府の責務であると感じている。ただ国別の詳細を見ると、この数値の裏に国ごとの大きな違いがあることが分かり、英国、中国、ロシア、カナダおよびスウェーデンで回答をしたエグゼクティブの60%以上が政府の責任に言及しているのに対し、ドイツおよびブラジルのエグゼクティブはむしろ政府、企業および個人の共同責任であるという回答を選んでいる。
企業による環境への影響を減らすための最も効果的な手段に関して企業は、「あめ」と「むち」を組み合わせることにあるという認識をもっており、エグゼクティブの86%が税務上の優遇措置を、83%が税務上の規制を選択している。組織の環境に対する取り組みに影響を与える主な要因は、コンプライアンス(85%)、企業の評判(74%)、コスト削減(73%)および競争上の優位性(67%)であった。興味深いことに事業者は、理にかなってさえいれば、税務上の規制は制約として見られるのではなく、むしろ歓迎され得るものであると回答している。
過半数(55%)のエグゼクティブが、税金、優遇措置もしくは取引計画に関わる現在の政府の政策を効果的でないと感じている。ただし、英国、フランス、スウェーデン、中国、オーストラリアおよびインドのエグゼクティブは政府の政策の効果について楽観視している。
92%ものエグゼクティブがより一層の環境に関連する税務上の優遇措置を支持しているが、55%のエグゼクティブはその優遇措置を受けるための現行の要件が厳し過ぎると感じている。また、71%のエグゼクティブが現行の税務上の優遇措置では行動の変化を促すことに対して十分な刺激剤にはなっていないと考えている。
環境に関連する税制および規制からもたらされた資金を直接環境整備事業に再投資することを88%のエグゼクティブが重要なものと考えているが、こういった投資が将来行なわれることを確信しているエグゼクティブは31%に過ぎない。また、環境に対する責任ある行動を促すための最善の手段に関しては意見が分かれており、ヨーロッパのエグゼクティブが炭素税(carbon tax)の導入を支持する傾向にあるのに対し、北米およびBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)のエグゼクティブは排出権取引計画に熱心である。
コペンハーゲンで示されたとおり、気候変動により世界中のリーダーたちは討議を通じて有効な環境政策を打ち出すことについてその能力を試されている。政府内外の多くの関係者は交渉がなかなか進展しないことに苛立ちを覚えている。
プライスウォーターハウスクーパースの国際サステナビリティおよび気候変動関連税務チームのリーダーであるマークス・コフィールドは、「この調査には世界的な合意を見出すための努力に対する強い希望のメッセージが込められている。優遇税制や排出権取引、あるいは炭素税でさえも、産業界で支持を得ることができる。環境体系が直面しているかつてない課題に対して、その潜在能力を活かすべき政策決定のリーダーたちが、歴史的な解決策を生み出す可能性は十分にある」と楽観的に見ている。
(注記)