税理士法人プライスウォーターハウスクーパースでは、毎年夏から秋にかけての海外語学研修として英語圏(アメリカ・カナダ・イギリスなど)へ派遣しています。これは、国際的なビジネスを行うのに必要不可欠な英語力を上達させることを目的にしており、1カ月間、一定の条件を満たすスタッフが対象となります。

海外語学研修は、約1カ月間、一般家庭にホームステイをしながら、現地の語学学校に通うプログラムです。ある程度の制限はありましたが、今年はアメリカとイギリスのそれぞれ3校程度の語学学校の中から1校を選択することができ、私はアメリカ ボストンの語学学校を選択しました。
語学学校での1日のスケジュールは、(1)文法、(2)会話、(3)ライティングの3コマ(1コマ90分)の授業が毎日行われ、その他に週2回、1時間のプライベートレッスンを受講しました。
クラスはレベル・年代別に1クラス10名程度で構成されていて、クラスメートはブラジル、スペイン、コロンビア、韓国、台湾等からのビジネスマンが中心でした。奇遇な事に、プライスウォーターハウスクーパース(PwC) ブラジルファームのサンパウロ事務所に勤務している方や、かつてPwCベネズエラファームに勤務されていた方もいて、PwCという組織の大きさを知るとともに、他国のPwC事情を知ることもできました。
英会話、ライティングのクラスで取り上げられるテーマは時事、経済、法律、宗教等多岐にわたるのですが、普段は税務や会計に関する英語にしか触れていないため、その他の分野について英語でのディスカッションやライティングは非常に良い勉強になりました。
また、私の通っていた語学学校はハーバード大学・大学院のすぐそばに位置していたこともあり、ハーバードビジネススクールの教授による特別講義が毎月1回開催されていて、私も参加しました。私が参加した時の特別講義のテーマは「人事戦略」だったのですが、教授から与えられた複数名の経歴書を基に、その組織が最大限のパフォーマンスを発揮するためには、誰をどのポジションに配置する必要があるかをグループ内でディスカッションして発表する、といったものでした。
私の担当するクライアントはほとんどが外資系企業なので、私の業務の最終報告先は海外にあるクライアント企業の本社になります。中には日本人の経理・税務担当者がおらず、直接本国の担当者と連絡を取って業務を進めなければならない事もあります。その場合には、必然的にEメールは全て英語でのやり取りとなりますし、クライアントからいただく資料のほとんどが英語で書かれたものです。
その他にも、クライアント企業の本国の財務役員が来日する際には、ミーティングに参加したり、税務相談に対する回答書を英語で作成するといった業務もあります。したがって、日常業務においては、Eメールを中心に頻繁に英語を使っています。
よく言われる事ですが、語学学校でもホームステイ先でも、常に自分の意見や思っていることを発言することが求められました。日本では、さほど強く意見を求められる事がないので、初めは戸惑いもありましたが、発言しない限り授業に全く参加することもできませんし、また、ホームステイ先での朝食はセルフサービスで、ホストファミリーの冷蔵庫と私が使う冷蔵庫が分かれていたのですが、何も言わない限り、その冷蔵庫にはトーストしか用意されておらず、トーストにつけるジャム、コーヒーやジュース等の必要なものは、全て自らホストマザーに用意して欲しいと伝える必要がありました。日本人の感覚では、ある程度の食材は事前に準備されていると思いがちですが、ホストマザーによると、「何が一番好きなのか分からないから用意していない、欲しいものがあれば言えばいいじゃない」という感覚のようでした。

1カ月という短期間であった為、英語力の飛躍的な向上は当然に見られませんでしたが、日本人特有の文法に沿った会話ではなく、むしろ、“自分の意見”を多少ブロークンな英語でも伝えようとする“思い”の方が大事であるということを、身をもって経験することができました。
その他、アメリカだけでなく他国の方々と交流し、今まで知ることのなかった文化や考え方だけでなく、外国人から見た日本人の印象や感覚等を知り、「今まで当たり前だったことが実は日本だけだった」、「仕事や家族に対する考え方」が他国と随分かけ離れているなど、視野が広がっただけでなく、自らの強みと弱みも併せて知ることができたと思います。