米国トランプ新政権の政策への対応準備

選挙公約に基づく政策の具体化が進む中、企業としての準備はできていますか?


概要

トランプ新政権による減税や規制緩和の取り組みは、長期的な影響をもたらします。例えば「米国は生産性の伸びを加速できるか」「必要なスキルを備えた未来の労働力を育成できるか」「国内経済の活発化を促進する物理的インフラやデジタルインフラを構築できるか」といった問題を左右します。

短期的には、選挙公約を具体的な政策の方向性に反映する過程で生じる課題も軽視できません。先行き不透明な中でも、企業の皆様が新政権の取り組みをビジネスに生かす準備をお手伝いできるよう、PwCではインパクトの大きい政策領域について継続的に調査を行っています。
 


米連邦政府の優先課題

税制改革

着眼点:私たちは新政権による税制改革の動向を注意深く観察しています。現行の法人税法が米国企業に与えるデメリットについては、抜本的税制改革を通じてこれに対処すべきであるというコンセンサスが大統領選以前から形成されてきていました。欧州の複数の国において一部の米国多国籍企業が「国家補助(state aid)」を得ていたとしてEUが追徴課税命令を出したことも、この動きを後押ししていました。

新政権下で検討されている税制改革案は、米国の課税権を強化すること以上の目的を持っています。税率を引き下げるとともに海外利益への課税を大幅に免除することにより、膨大な資金が米国内への投資へ向けられる可能性があります。また、米国内での製造活動を促進する大胆な改革案が実現すれば、米国外のサプライチェーンや製造業者にも影響が及びます。他方で、税制改革による減税と負担増のトレードオフが生じることも予想されます。

対応:米国傘下の子会社に累積している既存の海外留保利益に対して課税を行う強制みなし配当課税(mandatory repatriation)など、国際税制の抜本的見直しに備えるとともに、法人税における多数の特別控除が廃止される可能性にも備えが必要です。

規制改革

着眼点:米国企業への規制負担の軽減をトランプ大統領がどのように進めていくのかを注視しています。トランプ氏は新たな規制導入のペースを緩め、「無駄で不必要な」公共の安全と関係のない規制を撤廃する意向です。金融規制に最も広範なインパクトをもたらすのは、トランプ氏による連邦政府機関の責任者の任命であると予想されます。PwCでは主要な金融サービス規制に関連する事象の継続的な調査も行っています。

対応:新政権が形式的な手続きの簡素化を図る中、効率化が実現するまで物事がやや複雑化する事態に備えましょう。入り組んだ体系的な規制の緩和には時間がかかり、各企業は規制当局との関わり方を変える必要があります。

医療制度改革

着眼点:トランプ大統領と共和党が多数派を占める連邦議会による米国の医療制度改革の進め方を注視しています。トランプ大統領は、州をまたいだ保険販売の解禁や医療貯蓄口座の利用拡大など、医療費負担の仕組みや医療サービスの提供方法に関する一連の改革を提案しています。これに加えて、医療保険制度改革法(オバマケア)の改廃を提案し、連邦規制の緩和と簡素化に向けた計画に着手しています。

対応:不確実性の高まりや複雑化する状況に備えましょう。新政権が現状の抜本的な見直しに着手する中で、ヘルスケア関連企業は環境の変化に対処する必要があります。起こり得る結果を想定したシナリオを立案し、変化への対応力を高める方法を模索することが最も有益でしょう。規制当局や政策立案者に働きかけ、自社のビジネスに利益をもたらす規制変更を提案する機会も得られます。

インフラ整備

着眼点:米国経済の競争力強化と雇用創出の促進を図るため、道路、橋、水路などのインフラ投資の拡大を新政権がどのように進める計画であるのか注視しています。これらの投資拡大計画はインフラ産業が大きな変化を迎えている時に具体化されます。新たな財源が生まれ、新技術の適用によってビジネスがインフラから必要とし期待するものが変わりつつあります。

インフラ投資を通じた財政政策に改めて力を入れる動きは、グローバル経済政策に関するセンチメントの急激な変化に端を発しています。積極的な財政政策を提唱するエコノミストは、短期的および長期的な経済成長を促進する手段として、国内メーカーが効果をすぐに実感できる、十分に体系化されたインフラ投資プログラムを検討しています。

対応:現時点では官民パートナーシップ(PPP)および連邦税額控除の活用に支えられた民間の資金調達に主に依存した施策に対する準備を進めましょう。


新政権の政策のうち、あなた自身やあなたの会社が最も注目している政策領域はどれですか?

出典:PwCウェブキャスト「会計および財務報告に関する最新動向」の財務報告担当エグゼクティブに対する質問(Q4 2016 総回答数10,642)

 


先進国リスクレポート

PwC Japanグループでは、ストラテジックパートナーであるEurasia Group(地政学的リスク分析を専門とする米国のコンサルティング会社)と、日本における共同マーケティング活動の一環としてレポートを発行しています。

今般、Eurasia Groupレポート『欧州と米国の動向から生じるリスク』とともに、PwC 先進国リスク対応チームのレポート『迫りくる「先進国リスク」に、日本企業として何をすべきか』を発行しました。両レポートは、2017年4月13日時点でのブレグジットや米国の政策などの先進国を発端とした変化に伴うリスクを「先進国リスク」とし、その影響を考察したものです。

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