地球温暖化問題は、特に1992年のリオサミット以降国連による国際的な交渉が進められるようになり京都議定書の発効やそれに関連するCDM/JIによる温室効果ガス(Greenhouse Gases:GHG)削減活動、EU排出量取引市場の創設のほか、各国での取り組みなど多くの努力が続けられています。
しかしながら、気候変動枠組条約締約国会議 (Conference of the Parties:COP)など国際的な交渉において各国の利害をとりまとめるのは容易ではなく、2013年以降の国際的枠組の行方についての明確な道筋は見えていません。
日本では、京都議定書第一約束期間における1990年対比6%削減目標に連動し、政策的な検討・手法導入のほか、経済界においては自主行動計画を通じたものなどさまざまな取り組みが検討・実施されてきました。キャップ・アンド・トレード型と呼ばれる方式を用いた自主参加型「試行排出量取引スキーム」や「環境省自主参加型排出量取引制度(JVETS)」の試行的導入が代表的な例であり、さらに東京都と埼玉県は独自の削減目標に基づく義務型の排出量取引制度を導入しました。また、主に中小規模の事業者による自主的なGHG排出量の削減・吸収量を「クレジット」として認証する「国内クレジット制度」「オフセットクレジット(J-VER)制度」も導入されたとともに、これらは2014年度より新クレジットスキームへと統合されることとなっています。
これらの動きがある一方で、東日本大震災における原子力発電所事故に端を発するエネルギー政策の白紙見直しの影響により、現時点では2013年以降の温暖化対策の政策的方向性は明らかになっていません。日本政府は京都議定書第二約束期間への不参加を決定しており、今後は国内の政策をどのように構築し環境分野で国際的な役割を果たすのかという観点から、改めて世界から注目されることとなります。
電力をとりまく情勢の変化による節電や省エネルギーの重要性の高まり、また再生可能エネルギー全量買取制度の導入などの動向もあり、それらを新たなビジネスチャンスとして新規参入する企業の動きなどのように、今後は温暖化対策動向を自社ビジネスにどのように活用するかという経営上の観点はますます重要となってきています。
このような各国の政策的動向とは別に、企業の温暖化対策は社会からの関心、特に投資家からの関心が高まってきています。その一例であるカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)は毎年独自の調査を実施、情報公開と実績の2つの評価基準に基づく企業インデックスを公開しており、その認知度は増してきています。
また、温室効果ガス(GHG)排出量の情報公開の範囲に、自社が関連するバリューチェーン(原料調達や製品・サービスの提供先)を対象とする「スコープ3」を加える動きも活発化しています。温室効果ガス算定・開示の基準開発とその利用促進を進めているGHGプロトコルイニシアチブにより2011年に「スコープ3」スタンダードが公表されたとともに、日本政府はそれを参考にバリューチェーンの算定のあり方の検討を進めています。
これらの動きとともに、開示する情報の信頼性への要求も高まっています。前述排出量取引制度においては各制度で求められる検証や保証を求めているほか、CDPでは、保証が付与されたGHG情報へのスコア配分を重視する傾向にあります。

私どもは、企業価値を高める温暖化対策マネジメントの支援を目指し、グローバルのPwCネットワークでの幅広い業務経験から得たと知見を基に、クライアントのご要望に応じたサービスを提供します。
温暖化対策マネジメントでの重要な視点には次のようなものがあります。
温暖化対策マネジメントを進めることで得られるメリットの一例として、炭素制約(温暖化規制)リスクの概括的把握があります。これを行うことにより、今後規制を受けたときのインパクトやエネルギー価格変動が自社に及ぼす影響を予測し、リスクを最小化するアクションを進めることができます。また、エネルギーや気候変動に関する政策動向が自社事業にもたらす機会の認識も重要です。
これらは温暖化対策担当者レベルの課題ではなく、もはや経営トップ層こそが認識し主体的に戦略を策定する必要があるものです。

