再生可能エネルギー事業および投資にかかる会計上の論点

View this page in: English
  1. 発電設備の減価償却
  2. 特別償却と準備金
  3. 資本的支出と修繕費
  4. 設備のリース
  5. 借地の処理と資産除去債務
  6. 期末の評価と減損
  7. 事業主体がSPEである場合とその連結
  8. 事業主体が導管体である場合の税務と会計上の差異についての取扱い

再生可能エネルギー事業では、例えば太陽光であれば太陽光発電パネル、風力であれば風車等の固定資産への投資が建設コストの太宗を占めることになりますが、これらの固定資産については、会計上、適正な原価配分を行うため、合理的に決定された一定の方式に従い、毎期において計画的かつ規則的な減価償却が必要となります(正規の減価償却)。

償却方法については、固定資産に対して定額法または定率法が通常利用されます。わが国の実務慣行としては、法人税法に定められた方法を会計上も採用することが多く、監査上の取り扱い上も、税法上の償却方法を採用する場合、企業の状況に照らして不合理と認められる事情のない限り、当面、妥当とされています。

耐用年数については、原則としては、対象となる固定資産を将来使用する期間を合理的に見積って算定することになりますが、実務慣行として法人税法に規定された耐用年数を採用することが多く、監査上の取り扱いとして、実態と明らかな相違がある等の事情がない場合には、法定耐用年数を使用することが認められています。

なお、調達価格等算定委員会では、分野ごとの調達期間の決定に当たり、太陽光および風力の税法上の法定耐用年数を17年とし、それを超えた20年を調達期間として設定しています。

再生可能エネルギーでは、政策的な理由によりグリーン投資減税として特別償却(即時償却含む)を行うことができる資産もあります。ただし、会計上、正規の減価償却が求められることから、グリーン投資減税による特別償却を行う場合には準備金方式による処理が必要となります。

会計上、資本的支出は当該固定資産の価値を増価させるものであるのに対して、修繕費は現状の価値を維持するために支出されたものです。概念としては明確ですが実務上の峻別は困難である場合が多く、税法の規定に沿った形での検討も考えられます。

事業主体で発電設備を保有するのに代えて、ファイナンスの一環としてリース会社から設備のリースを受ける方式もあります。この場合、リースの会計処理が必要となりますが、現行の会計基準ではリースをファイナンスリースとオペレーティングリースの2つに区分して処理を行います。

ファイナンスリースでは通常の売買に準じて会計処理を行い、オペレーティングリースでは賃貸に準じて処理を行います。なお、ファイナンスリースとは期間の中途において契約を解除できないリース契約等で、借り手が、リースの対象資産の経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、リース対象資産の使用に伴って生じるコストを実質的に負担するリース契約です。オペレーティングリースはそれ以外のリースとして定義されています。

太陽光パネルなどの発電設備を設置するに当たって必要となる土地を借地する場合も考えられます。中でも、期間終了後に設置した設備を借主の費用で除却し更地にして返還するべき義務が発生する場合があります。その場合、発電設備の耐用年数の検討に当りその点を加味する必要があり、また、設備の除却費用を要する場合、当該費用を資産除去債務として引き当て計上する会計処理が行われます。

発電設備は固定資産に該当するため、原則として取得原価で評価されますが、一定の場合、減損会計の対象となります。減損処理は、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映するように帳簿価格を減額する会計処理です。なお、減損会計は決して時価会計を求めているのではなく、あくまでも一定の場合に帳簿価格の切り下げを行うものであることに留意が必要です。

発電設備の建設・取得に当たって、プロジェクトファイナンスを利用する場合等に、特別目的事業体(SPE)がよく利用されます。当該SPEが子会社に該当する場合には、原則として連結対象に含める必要がありますが、通常、SPEは会社の支配において議決権が意味をなさない場合が多く、慎重な検討が必要となります。

発電設備をSPEを用いて保有し、税効率を高めるため保有する会社で税金負担が発生しないようなストラクチャー(いわゆる導管体)とする場合があります。このような導管体ストラクチャーでは会計処理と税務処理とに乖離が生ずる場合、一般的に税負担が発生する可能性があるため、多額の乖離が生じやすい減損等については留意が必要となります。

 
 ページトップへ