PwC、年次調査「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2017‐2021」を発表

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ユーザーエクスペリエンスが成長の鍵:広告業が苦戦するなか、エンタテイメント&メディア業界は顧客エンゲージメントの向上にデータを活用

2017年6月14日
PwC Japanグループ

※本プレスリリースは、2017年6月7日にPwCが発表したプレスリリースの翻訳です。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

消費者の嗜好が変化し、テクノロジーが急速な進歩を遂げるなか、旧来型ビジネスモデルの破壊が進んでいます。エンタテイメント&メディア企業は、直感に訴える魅力的なユーザーエクスペリエンスを創出し、顧客をファンとして取り込むために、ビジネス戦略の刷新が求められています。

2017年6月7日‐エンタテイメント&メディア企業が競争し価値を生み出す方法に、劇的な変化が起きています。いかに良質なユーザーエクスペリエンスを消費者に届けられるかが、戦略的な差別化や収益拡大を図るうえで重要になっています。企業は、競争が激化し成長が鈍化する市場で成功するために、忠実で情熱的なユーザー(ファン)を囲い込み、収益化するための戦略的かつ建設的な可能性を探っています。PwCの年次調査「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2017‐2021(Global entertainment and media outlook 2017‐2021[English])」によると、企業は消費者に魅力的なコンテンツをより広く厚く配信し、どの画面においても簡単に良心的な価格で視聴できる、良質なユーザーエクスペリエンスを提供しなければいけません。

本調査に掲載されている各セグメントの主要データや考察についてはこちらをクリック[English]

テクノロジーの急速な進歩がD2C(消費者直販型)を促す

企業が最も理想的なユーザーエクスペリエンスを創出するために競う中、テクノロジーの進歩が戦略の柱となっています。テクノロジーやデータを活用し、エンゲージメントや注目を増やすことで、ユーザーエクスペリエンスだけでなく、ユーザーの嗜好についてのデータや知見を収集する好循環が生まれます。これを理解することで、企業は主要ターゲットに狙いを定めて顧客を取り込むことが可能になり、新たな収益の機会が得られるようになります。このような収益化を実現するビジネスモデルはD2C(Direct‐to‐Consumer、消費者直販型)戦略で見受けられつつありますが、まさにテクノロジーのなせる業であり、幅広い選択肢やターゲティングが特徴です。今後5年間で、インターネットビデオの年平均成長率は11.6%、音楽ストリーミングは同20.7%となるでしょう。

広告の苦戦により、エンタテイメント&メディア業界の成長はGDPに後れをとる見通し

エンタテイメント&メディア業界全体の成長の鈍化や広告の苦戦により、消費者をファンに取り込むことで新たな収益を実現することへの関心が高まっています。今後5年間で、世界のエンタテイメント&メディア業界の年平均成長率は4.2%となり、世界のGDP成長率を下回ることが予測されます。この全体的な伸びの内訳の中で、世界の広告収入の年平均成長率も4.2%になると見込まれ、昨年の調査の5.1%を下回る見通しです。この減速は広告収入に支えられたビジネスモデルの苦戦を反映しており、顧客が広告を好まないことや、広告主がデジタルメディアの効果測定能力に不満を抱いていることが要因として挙げられます。広告主はそれでも広告費を支払っており、現在、広告費の伸びは圧倒的にインターネット広告によるものとなっています。

モバイル広告は急速に成長、より正確な効果測定が求められる

インターネット広告はモバイル広告に牽引され、この1年間で58.7%の伸びとなり、引き続き2021年まで年平均成長率18.5%の伸びを示すと予想されます。しかし、こうした成長にもかかわらず、2016年は依然として有線インターネット広告がインターネット広告全体の61.6%を占めました。また、インターネット広告の堅調な伸びには、実は隠された盲点があります。主要なプラットフォームの効果や効率の測定方法が不透明であることから、高級ブランドはデジタル媒体への広告出稿に消極的になっています。その結果、大手広告代理店やその顧客は広告費を抑えています。

PwCのエンタテイメント&メディア部門のグローバルリーダー、デボラ・ボスン(Deborah Bothun)は次のように述べています。

「テクノロジーやユーザー行動、ビジネスモデルの大きな変化により、消費者が購入して体験してみたいと思うエンタテイメント&メディアと、企業が生み出し顧客に届けるものとのギャップは広がっています。理想のユーザーエクスペリエンスとは、このギャップを埋めるものです。そのために、企業は2つの戦略を実行する必要があります。まず、情熱、価値観、興味を共有するファンによる活発なコミュニティに支えられたビジネスやブランドの構築です。次に、新たなテクノロジーを新たな方法で活用し、より素晴らしいユーザーエクスペリエンスを提供することです」

PwCのエンタテイメント&メディア部門のグローバルアドバイザリーリーダー、クリストファー・ボルマー(Christopher Vollmer)は次のように付け加えています。

「デジタルテクノロジーの着実な進歩により、企業はより多くの選択やターゲティングが可能となり、消費者へと近づくことができます。メディアの供給がこれまで以上に増える中、ファン中心のビジネスは、熱心かつ忠実で、一人当たりの支出が高い消費者を獲得できるでしょう。企業は、本調査の特徴にもなっているユーザーエクスペリエンス主導の市場で成功するために、ファンの持つ経済的、社会的、情熱的なパワーを惹きつけ、活用しなければいけません」

あらゆるセグメントでデジタルの大きな転換期が訪れている、もしくは今後訪れると予想される

インターネット広告は現在、世界的にテレビ広告を上回る収入を上げています。2016年に、世界の広告業界は重要な転換点を迎え、インターネット広告の収入が、テレビ広告の収入を初めて上回りました。このようにインターネット広告が優勢な状況は、特にモバイル広告収入の急速な伸びを追い風に、今後5年間で大きく加速すると思われます。しかし、世界的にみると、テレビ広告の収入もさらにペースダウンするとはいえ、引き続き増加すると予想されます。いずれのプラットフォームも顧客にとって重要であるため、将来の視聴者を効率的に取り込もうと努めているブランドは、複数のプラットフォームを併せて用いるようなキャンペーンを計画、実行、評価する能力を常に開発し、高め続ける必要があります。

インターネットビデオの収入は2017年にホームビデオの収入を上回る見通しです。インターネットビデオのセグメントはここ数年間で急速に拡大しており、2017年にはホームビデオ市場を初めて追い抜くと予想されます。インターネットビデオの収入は年平均成長率11.6%のペースで成長し、2021年には367億米ドルに達する一方、末期的な減少傾向にあるDVDやブルーレイの市場は139億米ドルまで落ち込むと見込まれます。需要は即時性が高い便利なビデオオンデマンド(VOD)市場にシフトしており、そのコンテンツはさまざまなコネクテッドデバイスを通してアクセスできるため、消費者はいつでもどこでも好きなときに鑑賞することが可能です。都度課金型動画配信(TVOD)サービスを通じたコンテンツ所有権の市場は引き続き強いものの、定額制動画配信(SVOD)のプラットフォームも大幅な伸びを示すことになるでしょう。受信契約者にとっては、フルシーズンのオリジナルコンテンツや過去の作品の見放題プランが魅力です。

世界における新聞の販売収入は2016年に広告収入を上回りました。2015年以降、新聞の販売収入は減少を辿る一方、新聞社は定価の引き上げという手段で、販売数の急速な減少を補っています。しかし、前年比の新聞の広告収入の減少はそれ以上に大きく、広告主は紙媒体への出稿を大幅に減らし、新聞社はグーグルやフェイスブックによって、ますますデジタル広告スペースから締め出されています。新聞発行部数が広告に影響し、結果的に主な収入源が歴史的にシフトしています。2021年には、世界における新聞の販売収入総額が、新聞の収入総額の54.0%になると見込まれます。

デジタル音楽全体の収入は2016年に物理的な音楽収入を上回り、音楽のストリーミングもダウンロードを上回りました。2016年には、デジタル音楽の収入が107億米ドルとなり、物理的な音楽収入の85億米ドルを初めて上回りました。音楽のストリーミングサービスは2016年に急速に拡大し、世界のデジタル収入が前年比で18億米ドル、20.3%増加した一方、物理的な音楽収入は9.6%減少しました。2016年のデジタル音楽の収入は音楽収入全体の55.7%を占めましたが、この割合は2021年に80.3%まで上昇すると予想されます。2016年のデジタル音楽のストリーミング収入もダウンロード収入を上回り、ストリーミング収入は65.3%増の66億米ドルとなり、ダウンロード収入は18.4%減の35億米ドルとなりました。ダウンロード音楽のデジタル収入に占める割合は、2016年の32.5%から2021年にはわずか6.4%まで低下すると見込まれます。

バーチャルリアリティビデオの収入は、2019年にインタラクティブアプリ/ゲームの収入を上回る見通しです。消費者バーチャルリアリティ(VR)のコンテンツ市場は2021年までに年平均77.0%拡大し、151億米ドル規模になると見込まれます。2019年には、このうち80億米ドルがVRビデオに消費され(年平均成長率91.2%の伸び)、対話型エクスペリエンスやゲームを上回ると予想されます。VRアプリ、コミュニケーションアプリもしくはユーティリティなど、ビデオでもゲームでもないソフトへの支出は依然として控え目であり、2021年までに総額1億6,300万米ドルにとどまる見通しです。プラットフォームやOSの欠陥を補うユーティリティがコアプラットフォームに、スマートフォンのアプリが新型のiOSやアンドロイドに統合されるに従って、この分野への支出も2018年以降には減少すると予想されます。

スマートフォンのデータトラフィックは2020年に、固定ブロードバンドのデータトラフィックを超えると見込まれます。モバイル利用はデータトラフィック全体の主な牽引力となっていますが、本調査で予測を行った19市場では、引き続き固定ブロードバンドが大部分を占めると思われます。多くの消費者は依然として、高画質ビデオなどデータ容量の重いコンテンツへアクセスする際、モバイルデバイスではなく固定ブロードバンドを選んでいます。しかし、特にインドやインドネシアといった発展途上国の市場では、スマートフォンへの移行が続くとみられるため、2020年には、19市場のスマートフォンの全体的なデータトラフィックは、初めて固定ブロードバンドのデータトラフィックを上回る見通しです。

世界の物理的な屋外広告(OOH)の収入は、2019年に減少すると予想されます。成長を続ける広告費のシェアはデジタル屋外広告(DOOH)に移っているため、世界の物理的なOOH収入の伸びはここしばらく鈍化傾向を辿っています。この傾向は2019年に転換点を迎え、物理的なOOHの収入は減少に転じ、-0.2%になると予想されます。2021年には、前年比-0.8%まで減少率が加速するでしょう。物理的なOOH収入は世界の多くの市場、特に新興市場で引き続き拡大するとみられる一方、DOOHに取って代わられるに従い、調査予想期間の最終年には末期的に衰退すると見込まれます。

世界の市場および地域における調査結果のハイライト

例外なく、支出の低い市場が最も成長します。今後5年間で、エンタテイメント&メディアの収入が最も高い伸びを示すのは、一人当たりの支出が概して非常に低い発展途上の市場や国であると予想されます。北米や欧州の成熟した市場、さらに豊かなアジア太平洋市場では、消費者がエンタテイメント&メディアに対し年間一人当たり500米ドルを超える多額の支出をしていますが、伸び率は比較的低い水準にとどまっています。これに対し、それほど成熟していない国では一人当たりの支出がはるかに少なく、多くの場合、年間50米ドル未満と非常に低いベースですが、伸び率は大幅なものとなっています。今後5年間、世界で最も大幅な伸びを示すエンタテイメント&メディア市場はナイジェリア(年平均成長率12.1%)である一方(モバイルインターネット・アクセスへの支出の急増による)、最も成長が鈍化する市場は日本(年平均成長率1.7%)であると予想されます。

現在、中国の映画館数は米国を上回っています。中国の映画館の数は2016年に41,056館であったのに対し、米国の映画館の数は40,928館でした。この大きな変化は、中国のさまざまな年齢層の観客、特に可処分所得のある中間所得者層の間で、映画の人気が高まっていることを表しています。中国全土のショッピングモール内で急速に映画館の建設が進められており、全ての質が必ずしも高いわけではないものの、習慣的に映画館に通う消費者を増やしています。中国は映画館興行収入の最大市場として、長期にわたり米国に代わってその役割を果たすことが予想されます。

ロシアのデータ消費は2020年に日本を追い抜き、米国や中国が全てのデータトラフィックの半分近くを占めることになります。本調査における、19カ国のデータトラフィックの分析によると、米国と中国は引き続き世界のトラフィックで大きな割合を占めると予想されます。両国は二大市場というだけでなく、その2カ国を合わせると、19市場全体の予想されるデータトラフィックの半分近くを占めることになります。さらに、いずれも今後5年間で高い伸びが見込まれます。とはいえ、最も高い伸びを示すのは、ロシアやブラジルといった発展途上の市場でしょう。実際に、ロシアは19カ国全体のデータトラフィックにおいて、2020年に日本を抜いて第3位の市場となる見通しです(第2位の中国とはやや差があるものの)。

2020年までに、アジア太平洋は最大のデジタル屋外広告地域になると予想されます。現在、北米は他のどの地域よりも、屋外広告(OOH)収入に占めるデジタル屋外広告(DOOH)収入が高い割合を占めています(2016年には37.9%)。しかし、DOOHは北米で飽和状況に近づきつつある兆候が見受けられます。この地域は公共輸送機関の利用率が平均よりも低く、看板広告市場のデジタル化が規制によって限定されています。それに対し、アジア太平洋では、公共輸送機関の利用率が、日本や韓国といった市場で既に高く、また地下鉄網の拡張に投資を行う中国やインド、高速輸送システムに前向きなインドネシア、ベトナムなどその他の国でも急上昇しています。これによってDOOHの成長余地は広がり、アジア太平洋地域は、2020年に最もデジタル化した地域として、北米地域を超える可能性があります。2021年までに、アジア太平洋地域のDOOHはOOH収入全体の半分に近づくと予想されます(47.7%)。

PwCのエンタテイメント&メディア部門のグローバルリーダーであるデボラ・ボスン(Deborah Bothun)は次のように述べています。

「特定のセグメントや地域に転換期が訪れるに伴い、エンタテイメント&メディア業界全体も世界的に転換期を迎える可能性があります。大規模な市場の多くで、そして業界全体で、エンタテイメント&メディアビジネスは飽和状態に達しつつある、もしくは既に達した状態です。これは事実上、業界が頭打ちの状態にあることを意味します。つまり、一部の従来の成熟したセグメントが停滞する中で、インターネットやデジタルエンタテイメント&メディアコンテンツが緩やかながら成長し、増加し始めたばかりのeスポーツやバーチャルリアリティなどの分野で、次のコンテンツやエンタテイメントの波が到来しているのです。成長が低迷する世界における成功、注目を集めるための激しい競争、持続的な破壊は厳しいものになるでしょう。しかし、この世界に潜む機会は計り知れません。そして、本調査におけるデータ、分析、視点は、企業がこの新しい世界で成功するために、どのように適応、投資、実験、革新を行うかについて説得力のある知見を提供しています」

以上

注記:

本調査について
本年で第18回目を迎えるPwCの年次調査「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2017‐2021」[English]は、世界の消費者支出と広告収入を分析し、総合的な情報を提供するオンラインサイトです。同一条件のもと、世界54カ国、17セグメントの過去5年間の時系列データおよび今後5年の予測数値と解説を掲載し、セグメント別および国別の消費者支出と広告収入の状況を分かりやすく比較しています。詳細については、www.pwc.com/outlook[English]をご覧ください。

本調査のセグメントについて
書籍、B2B、映画、データ・コンサンプション、eスポーツ、インターネットアクセス、インターネット広告、インターネットビデオ、雑誌、音楽、新聞、屋外広告、ラジオ、従来のテレビおよびホームビデオ、テレビ広告、ビデオゲーム、バーチャルリアリティ

本調査のデータについて
このプレスリリースの内容の多くは、グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2017‐2021のデータによるものです。PwCは常にグローバル エンタテイメント&メディア アウトルックのオンラインデータの更新に努めています。従って、このプレスリリースのデータがオンライン上のデータと一致しない可能性があることにご留意ください。オンライン上のグローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2017‐2021は、消費者支出と広告収入のデータに関する最新の情報ソースとなります。

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