PwC、第6回「Cities of Opportunity 6‐世界の都市力比較 2014」を発表

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  • 東京の総合評価は、30都市中13位
  • ゲートウェイ機能(都市の国際性)は4位、知的資本・イノベーションはアジアで唯一、トップ10入り
  • 自然災害のリスクは前回に続き最下位、産業・生活のコストも継続的な課題


PwC Japan

世界最大級のプロフェッショナルサービスネットワークであるPwC(プライスウォーターハウスクーパース)は、6回目となる分析レポート「Cities of Opportunity 6‐世界の都市力比較 2014」を発表しました。本レポートでは、都市を活性化する主要素(都市力)を、2013年後半に収集したデータをもとに10の領域・59の指標を用いて分析し、ランキングを公表しています。前回の2012年版では、世界の産業・金融・文化の中心となる主要27都市を対象としましたが、今回は成長目覚ましい新興都市を代表するジャカルタ、ナイロビ、リオデジャネイロを新たに追加、またアブダビをドバイと入れ替え、計30都市を対象に分析を行いました。

全30都市の概観

図1:世界30都市の総合ランキング
(上位15都市)
1 ロンドン 9 シドニー
2 ニューヨーク 10 シカゴ
3 シンガポール 11 ベルリン
4 トロント 12 ロサンゼルス
5 サンフランシスコ 13 東京
6 パリ 14 ソウル
7 ストックホルム 15 マドリード
8 香港  

全30都市の総合評価【図1】を見ると、本シリーズの分析では初めて、2012年にオリンピックを開催したロンドンがニューヨークを抜いて1位を獲得し、首位が交代する結果となりました。またシンガポールが、前回の7位から大きく上昇して3位につけています。一方、東京は前回の10位から3ランク落ちて、13位となりました。

総合トップ10にランクインした都市はいずれも、多くの領域で高いパフォーマンスを示しており、社会的にも経済的にも、バランスのとれた発展が見て取れます【図2】。前回総合トップ10に入っていた都市のうち東京を除く9都市は、順位の変動はあるものの引き続き総合トップ10内に位置しています。

個別の分析領域においても、今回新たにトップ10に入ったシドニー以外は、いずれの都市も過半数以上の領域で10位以内を占めており、総合トップ10都市の各領域における10位以内の占有度は7割に達しています。また、「産業・生活のコスト」以外の領域では、総合トップ10都市のいずれかが1位を獲得しています。

図2:総合トップ10都市および東京の領域別ランキング

図2:総合トップ10都市および東京の領域別ランキング
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領域別に見てみると、「人口構成・住みやすさ」については、総合トップ10都市が10位以内にランクイン、また「健康・安全・治安」では9つの総合トップ10都市、「知的資本・イノベーション」「ビジネスのしやすさ」では8つの総合トップ10都市が10位以内を占める結果となり、生活の基礎インフラが充実している都市は、ビジネスや知的資本も誘引していることが見て取れます。一方、「生活・産業のコスト」で10位以内に入っている総合トップ10都市は4つにとどまっています。

新興国の都市も競争力の高まりを見せています。北京は総合評価では19位ですが、「ゲートウェイ機能」と「経済的影響力」においては2位を獲得しています。また、総合評価24位のブエノスアイレスも、「交通・インフラ」では3位となりました。新興国の都市は、秀でた領域がある一方で、「健康・安全・治安」や「持続可能性と自然環境」など、課題が残る領域も有しているのが現状です。今後そうした領域を克服していくことで、さらなる競争力の向上が期待されます。

 

東京の都市力評価

東京の総合評価は、前回から3ランク下降して30都市中13位となっています。東京のランクが下がった要因としては、都市の国際性を測る「ゲートウェイ機能」(4位)で高い評価を得たほか、各領域で平均して高い評価を受けているものの、新しくトップ10入りしたシドニー(2領域で1位、1領域で2位)、総合11位のベルリン(1領域で3位、2領域で4位)、総合12位のロサンゼルス(1領域で1位、5領域で7位以内)のように領域別で突出した評価を得られなかったことが考えられます。

東京が10位以内に入った他の領域としては、「知的資本・イノベーション」、「技術の成熟度」、「経済的影響力」の3領域が挙げられます。特に21世紀の経済発展において重要な指標である「知的資本・イノベーション」において、東京がアジアの都市で唯一10位以内に入っていることは特筆に値します。そのほか「産業・生活のコスト」については、前回の27位から21位へと大きく上昇しました。個別の指標では、「医療システム」、「世界トップ500企業の本社数」、「破綻処理体制」において、1位を獲得しています。 一方、「持続可能性と自然環境」の領域は今回も19位と、引き続き低評価となっています。これは同領域の指標である「自然災害のリスク」が、今回も最下位となっているためです。

東京とアジア・太平洋地域の都市との比較

シンガポール (総合3位)

極めて積極的な企業/投資誘致政策を展開し、狭い国土で効率的なインフラ構築を進めるシンガポールは、前回の総合7位から総合3位へと大きくランクアップしました。領域別では「ビジネスのしやすさ」と「交通・インフラ」において圧倒的な形で首位を獲得しています。すなわち「交通・インフラ」領域におけるシンガポールと2位のトロントとのポイント差は、トロントと15位のメキシコシティのポイント差よりも大きく、また「ビジネスのしやすさ」の領域では、8つある指標のうち、3つで1位、2つで2位となっています。そのほか「ゲートウェイ機能」や「人口構成・住みやすさ」、「健康・安全・治安」など国際性や生活の質に係る領域においても高い評価を得ました。バランスの良い成長がうかがえるシンガポールですが、「産業・生活のコスト」「持続可能性と自然環境」については東京と同様に課題となっています。また「知的資本・イノベーション」では、世界の大学ランキングやイノベーション環境で優位の東京が勝る結果となりました。

香港 (総合8位)

「ビジネスのしやすさ」はシンガポールに続く2位を獲得したほか、「ゲートウェイ機能(4位)」、「技術の成熟度(4位)」、「人口構成・住みやすさ(5位)」と4つの領域で5位以内に入りました。一方、「健康・安全・治安(16位)」の領域では総合トップ10都市の中で唯一、10位以内に入っておらず、「持続可能性と自然環境(21位)」は東京と同様に改善が求められる結果となっています。

シドニー (総合9位)

「持続可能性と自然環境」と「人口構成・住みやすさ」の各領域で1位を獲得し、「健康・安全・治安」でも2位という高評価を得たことが順位を押し上げ、今回新たに総合トップ10入りをした唯一の都市となりました。「人口構成・住みやすさ」では、高い文化的活気と生活の質に加え、通勤の容易さや移住したい都市の候補としても高い評価を得ています。なお2つ以上の領域で1位を獲得した都市は、ロンドン、シンガポール、ストックホルム、シドニーの4都市のみです。そのほか「知的資本・イノベーション」の領域でも東京を上回る結果となりました。
一方で、「交通・インフラ(25位)」は低評価となり、広大な土地におけるインフラ整備の困難さを示しているとも考えられます。また「ビジネスのしやすさ(13位)」、「ゲートウェイ機能(13位)」、「経済的影響力(13位)」、「技術の成熟度(14位)」においても、東京を下回る結果となりました。

ソウル (総合14位)

「技術の成熟度」の領域ではロンドンと並んで1位タイ、「交通・インフラ」は3位と高い競争力を有しています。そのほか、「ビジネスのしやすさ(9位)」、「産業・生活のコスト(10位)」など、10位以内の領域の数では東京と同じとなっています。一方、「経済的影響力」、「人口構成・住みやすさ」、「持続可能性と自然環境」、「健康・安全・治安」が低評価となった結果、総合評価でも東京を下回る結果となりました。

プライスウォーターハウスクーパース株式会社 PPP・インフラ部門統括パートナーで、今年3月末に設立した「都市ソリューションセンター」のセンター長を務める野田由美子は、以下のように述べています。

「東京が13位へと順位を落としたことは大変残念に思います。世界の都市は、人や企業の集まる魅力的な未来の都市を目指して熾烈な競争を繰り広げながら進化を続けており、東京が相対的に順位を落とす結果になったのではないでしょうか。2020年オリンピックに向けた東京の都市力強化の一段の取り組みに期待したいと思います」

以上

【本レポートの概要】

今回で6回目となる「Cities of Opportunity 6‐世界の都市力比較 2014」の目的は、都市を活性化する主要素(都市力)を分析することにより、経験知を得、傾向を発見し、都市の成長や回復に貢献することです。

「Cities of Opportunity 6‐世界の都市力比較 2014」は公開データをもとに分析を行っています。主なソースは、1)世界銀行や国際通貨基金などの多国間開発を手がける世界的な組織、2)英国の国家統計局や米国の国勢調査局などの各国統計機関、3)商用データ提供機関です。データは2013年の後半に収集したものを採用しています。新たな対象都市としてジャカルタ、ナイロビ、リオデジャネイロが追加されたことに加え、アブダビをドバイに変更しています。また採点方法は、透明性、シンプルさ、および都市間の比較のしやすさを考慮して開発しました。

分析対象としては、以下の30都市を選択しています。主な選択基準は、1)経済および金融市場の中心地であること、2)地理的な偏りがないこと、3)成熟都市と新興都市のバランスが取れていること、の3つとなっています。

アフリカ: ヨハネスブルグ、ナイロビ
アジア・パシフィック: ソウル、東京、北京、上海、香港、シンガポール、ムンバイ、シドニー、クアラルンプール、ジャカルタ
ヨーロッパ: ロンドン、パリ、ベルリン、ストックホルム、モスクワ、マドリード、ミラノ
中東: ドバイ、イスタンブール
北米: ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、トロント、メキシコシティ
南米: サンパウロ、ブエノスアイレス、リオデジャネイロ

都市力の評価指標は前回と同じ10領域にグループ分けされています。一方、個別の指標は59個で前回の60個から1つ減少となりました。都市力を評価するためのより精緻な、実態に近いデータを求めた結果、10個の指標を廃止するとともに9個の指標を追加し、また10個の指標についてデータソースを見直すなど、およそ3分の1の指標について変更を行っています。

今回のレポートはPwCが初めて単独で分析を行った「Cities of Opportunity」レポートとなります。なお、東京に関する分析結果「Tokyo Fact Sheet」[日本語、PDF]および全文レポート[英語、PDF]は、下記に掲載しています。

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