PwC、調査レポート「シェールオイル - 次なるエネルギー革命」を発表
シェールオイル開発が、2035年までに世界のGDPを最大2兆7,000億ドル押し上げると予想

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-シェールオイルの生産量は世界の石油生産量の最大12%、日量にして約1,400万バレルに達する可能性あり
-この供給により、世界の原油価格は、2035年には米国エネルギー情報局(EIA)予測の1バレル133ドル(実質ベース)から25~40%下落
-シェールオイルによる原油価格下落のメリットは国によって大きく異なる-日本やインドのような原油輸入大国は、2035 年にはGDPが4~7%押し上げられる


PwC Japan

*本プレスリリースは、2013年2月14日にPwCが発表したプレスリリースの翻訳です。

PwCが発表した新たな分析では、シェールオイルは今後20年ほどで世界のエネルギー市場を激変させ、その結果、原油価格の大幅下落、全世界のGDPの上昇、地政学の変化、石油・ガス企業のビジネスモデルの変容を引き起こす可能性があると予測しています。

本調査レポート「シェールオイル - 次なるエネルギー革命」では、シェールオイルの今後の生産増が世界の原油価格に及ぼす影響を検討するとともに、こうした変化が2035年までの間に経済全般や石油・ガス産業にどのように影響するかを分析しています。

PwC UKのチーフエコノミストで、本調査レポートの共同執筆者でもあるジョン・ホークスワース(John Hawksworth)は次のようにコメントしています。

「シェールオイルの供給増による世界の原油価格の下落は、世界経済の将来に大きな影響を及ぼします。同じコストでより多くの生産が可能になるからです。この効果はシェールガスが世界で生産されるにつれて徐々に高まり、2035年には世界のGDPが2.3~3.7%上昇すると予測されます。これは、GDPの規模にして英国と同等の経済規模が世界に加わるようなものです」

「ただし、原油価格下落の経済的メリットは国によって大きく異なります。PwCのシナリオによると、インドや日本のような原油輸入大国は、2035年にはGDPが4~7%押し上げられる可能性があります。一方、米国、中国、ドイツ、英国のGDPは2~5%増加するとみられます」

「対照的に、ロシアや中東などの石油輸出大国(地域)は、自らもシェールオイル資源の大規模な開発ができなければ、長期的には大きな損失をこうむりかねません」

各国および全世界のGDPに対する影響は以下のように推測されます。

■ シェールオイルによる原油価格下落(25~40%)がGDPに及ぼす影響(2035年の予測)

2035年のGDPへの影響
(EIA*よる原油価格に関する基準シナリオへの対比%)
インド 4.6 ~ 7.3
日本 4.2 ~ 6.8
米国 2.9 ~ 4.7
ドイツ 2.5 ~ 4.7
英国 2.0 ~ 3.3
中国 1.9 ~ 3.0
ブラジル 1.3 ~ 2.0
ロシア -1.2 ~ -1.8
世界 2.3 ~ 3.7

注:中東については予測数値がないが、モデル予測によると、原油価格の下落によってこの地域のGDPは2035年には4~7%程度減少すると見込まれる。
*EIAは米国エネルギー情報局
出所:全英経済研究所世界モデル(NiGEM)を用いてPwC分析

米国以外のシェールオイル資源の質・量はほとんど明らかになっておらず、シェールオイル開発のポテンシャルについては今なお不透明な部分が少なくありません。本調査レポートでは、この新しい資源に対する理解を深めるために投資が必要であることを強調しています。

PwCの分析によれば、シェールオイルの生産は現在の米国ベースから徐々に広がりを見せ、2035年までには世界の石油供給量のほぼ12%に達する可能性があります。石油需要が価格変動に比較的影響されにくいことを考えれば、この供給増を吸収できるだけの需要を生み出すには、2035年までに、EIAの予測基準値〈注記2参照〉に比して40%もの原油価格の下落が必要になります。ただし、石油輸出国機構(OPEC)がシェールオイルの生産増を相殺するための減産に動けば、(EIA基準に比しての)価格下落幅は約25%に縮小されます。

各国政府、エネルギー関連企業およびその顧客にとっての機会と課題

本レポートでは、エネルギー産業の関係者にもたらされる機会と課題についても分析しています。

  • シェールオイルの埋蔵可能性がある石油輸入国の政府は、シェールオイルの活用促進による経済効果を理解するとともに、自国の環境目標(脱炭素化など)とのバランスをとる必要があるであろう。
  • 石油輸出に依存する国の政府は、長期的な収益の減少に対応し、シェールオイルやシェールガスを含む新しい資源を自ら開発する必要があるであろう。
  • シェールオイル(およびシェールガス)は米国や中国などのエネルギー自給率を高め、OPECの影響力を低下させるなど、地政学を大きく塗り替える可能性がある。
  • 石油会社は、原油価格の下落に備えて現在のポートフォリオやプロジェクト計画を見直すとともに、シェールオイルに求められる小規模ながら標準化された生産工程にビジネスモデルを適応させなければならないであろう。
  • 将来の原油価格が予想を下回れば、石油および石油関連製品に大きく依存する企業(石油化学・プラスチック、航空、陸送、自動車、液化天然ガスなど、各価格が石油に連動することが多いセクター)にも長期的なメリットが生まれる可能性ある。

PwC UKの石油・ガス業界担当チームの責任者で、レポートの共同執筆者であるアダム・ライアンズ(Adam Lyons)は次のように述べています。

「シェールオイルという新しい資源が利用できるようになり、世界の原油価格の上昇に歯止めがかかれば、石油産業だけにとどまらない効果が出てきます」

「シェールオイルは長期的にエネルギーの安定的供給を高め、自給率の向上を促進し、価格の適正化をもたらすことで、グローバル経済を一変させる可能性があります。しかし、各国および世界レベルでの環境目標ともバランスをとる必要があります。また、これに伴って政策や規制の枠組みが変更されれば、石油の生産者と消費者にも間違いなく波及的な影響があるでしょう」

「シェールオイルの増産による影響はバリューチェーンのあらゆる部分に及びます。実質原油価格が長期的に上がり続けるとの前提で立てられた投資計画は、バリューチェーンの上・中・下流および油田の各サービス部門において見直す必要があるでしょう」

以上

注記

1. シェールオイルはシェールガス同様、水平掘削と水圧破砕により生産される資源で、「ライトタイトオイル」とも呼ばれます。これまでわかっている事実に基づくと、シェールオイル資源は世界中に幅広く存在しています。詳しくは全文レポート「Shale oil: the next energy revolution」[英語][PDF 1,174KB]をご覧ください。

2. PwCのシナリオ分析の起点となるのは、原油価格が2035年には1バレル約133ドル(インフレ調整済みの実質ベース)に上昇するという米国エネルギー情報局(EIA)の予測基準値です。EIAの予測は、最小限のシェールオイル生産および中国をはじめとする新興国の需要増を前提にしています。PwCの分析では、シェールオイルの生産が増加すれば、実質原油価格は2035年に1バレル83~100ドル(EIA予測を1バレル33~50ドル下回る数字。25~40%の価格下落に相当)になる可能性があるとしています。

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