PwC、年次調査レポート「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック 2013-2017」を発行

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  • エンタテイメント&メディア(E&M)企業は、機動力と顧客ニーズに対する洞察力を強化。継続的なデジタルイノベーションが今後の事業へのカギ
  • 8つの高成長市場(BRICs、中東・北アフリカ地域、メキシコ、インドネシア、アルゼンチン)がE&M支出をけん引。しかし、E&Mサービスのデジタル消費への世界的なシフトは、依然として成熟市場が先導


PwC Japan

*本プレスリリースは、2013年6月5日にPwCが発表したプレスリリースの翻訳です。

2013年6月5日- 増え続けるインターネットアクセスとスマートデバイスの爆発的な普及により、消費者がエンタテイメント&メディア(E&M)コンテンツにアクセスすることは、世界中で日常的な体験になってきています。PwC年次調査レポート「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2013-2017」(以下、本アウトルック)によると、今後5年間は、非デジタルメディアがE&M支出の大部分を占めるものの、デジタルメディアへの支出が業界の成長に寄与していくことが予測されています。

こうした状況において、E&M企業は継続的なデジタルイノベーションを事業のカギとして、顧客ニーズに対する洞察力を絶えず高め、ビジネスモデルを変革することで、機動力の強化を図っていると本アウトルックでは述べています。また、世界のE&M支出は全体として、2012年の1兆7,000億米ドルから2017年までには2兆1,000億米ドルへ、年間平均成長率(以下、CAGR)5.6%での成長を遂げると予想しています。

中国、ブラジル、インド、ロシア、中東・北アフリカ地域、メキシコ、インドネシア、およびアルゼンチンの成長が最も著しく、E&Mの収益総額に占める割合は、2008年の12%から2017年には22%へとほぼ倍増するでしょう。また、これらの市場におけるCAGRの平均は、E&M業界全体の倍以上となっています。さらに、これらの市場での中産階級の増加と都市化の拡大の影響が、一部のセグメントの形勢を逆転させる可能性があります。

一方で、北米、西欧、アジア太平洋地域のより成熟した先進技術市場は、E&Mサービスがデジタル消費に向かう世界的なシフトを先導することになるでしょう。

市場と業界セグメントによって異なる機会と課題

デジタル分野のイノベーションと成長が依然としてE&M業界の動向を左右している中で、デジタル支出の強い勢いが、今後、北米、西欧、アジア太平洋地域のより成熟した多くの市場に重要な転機をもたらすと考えられます。

  • 2014年のモバイルインターネット収益は2,590億米ドルとなり、固定ブロードバンドを追い抜いてインターネットアクセス支出総額の50%超を占めるようになります。モバイルインターネット支出は、米国と韓国では2013年に、英国では2015年に固定インターネット支出を超えると予想されます。
  • スマートデバイスの普及に伴い、成熟市場では2017年までにデジタルE&M支出が全支出の44%を占めるようになるとみられますが、これは2008年の水準の約2倍であり、2012年の34%を上回っています。
  • オンラインTV分野では、すべての地域において現在の低水準から2桁台の伸びを示していますが、明らかに先行しているのは成熟市場です。2012年のトップ5は、米国、英国、ドイツ、フランス、カナダでした。
  • 有料テレビとOTT(オーバーザトップ)ストリーミングサービスの両方を含めた北米の電子ホームビデオ市場の年間市場規模は、2017年に初めて興行収入を上回ると予想されています。2017年には、北米の電子ホームビデオ市場が147.8億米ドルとなるのに対し、興行収入は135億米ドルにとどまるとみられています。
  • モバイル広告は今後5年間全地域で成長し、ますます身近になっていきます。CAGR27%の伸びによって、2017年のモバイル広告収入はインターネット広告収入の15%を占め、270億米ドル以上となることが予想されます。

最も成長が大きい市場は中国、ブラジル、インド、ロシア、中東・北アフリカ地域、メキシコ、インドネシア、アルゼンチンとなり、現在の収益別市場ランキングを変えることになるとみられます。

  • トップ10に入る市場の顔ぶれに変化はありませんが、順位は大きく変動します。E&Mに対する消費者支出だけを見ると、中国は2012年の第5位から2017年には第3位に浮上、ブラジルは第7位に入るでしょう。インドは2014年にオーストラリアを追い抜きますが、消費者支出のトップ10にはランクインするまでは至らないと予測されています。
  • ブラジルは、有料テレビ放送(ライセンス料を除く)市場において、2013年に英国、カナダ、インドを追い抜き世界第3位となるでしょう。CAGRが13%のブラジルは、有料放送セグメントにおいて消費者支出が最も急速に伸びている市場の一つです。
  • すべてのテレビ関連収益を含めると、中国は2014年に英国と日本を抜き、米国、ドイツに次いで第3位に浮上するとみられています。また、中国は世界第2位のテレビ市場になることが予想されています。
  • インドネシアのテレビ市場は、収益のCAGRが21%と最も急速に成長し、2017年には市場規模が17億米ドルに達すると見られています。一方、ケニア、タイ、ベトナムも顕著な伸び(CAGR:13%超)を示すことが予想されます。欧州の成熟市場の伸び率はおおむね1~3%にとどまるでしょう。
  • 世界の見本市市場の規模は、2012年の約294億米ドルから、2017年には360億米ドル以上に拡大するとみられます。米国、ドイツ、フランス、英国、日本が再び主要市場になるでしょう。OOH(アウト・オブ・ホームメディア)広告市場では、直近10年の終盤になって支出が落ち込みましたが、今後は2012年の338億米ドルから2017年には428億米ドル(CAGR: 5%)へと増加し、持続的成長期に入ると見られています。革新的な技術やインフラの整備がこれを助長するでしょう。
  • 世界の新聞市場では、販売および広告による収益が2008年の1,870億米ドルから2012年には1,640億米ドルに落ち込みました。しかし、収益は下降期を経て安定し、予測期間にわたって2012年の水準を維持するものと思われます。世界的には、成長市場における継続的な拡大により、成熟市場における長期的な下落が相殺されるとみられます。一般消費者向け雑誌の出版においても同様の傾向が予想されます。

PwCエンタテイメント&メディア部門のグローバル・リーダーであるマルセル・フェネス(Marcel Fenez)は、次のように述べています。

「エンタテイメントやメディアに対する支出性向が高い新興の中流階級が急速に増加していること、また多くの高成長市場においてインフラが整備されつつあることが、主要セグメントの全体的な伸びを下支えしています。一般にE&M企業は、顧客のロイヤリティに訴えかけるとともに、コンテンツ体験を共有したいという顧客の欲求をうまく活用したコンテンツの開発・配信に投資する必要があります。そのためには消費者の行動パターンの変化に対応することができる、先進的なデジタルメディア測定ツールやビジネスモデルが必要になります」

業界のトレンドが主要なステークホルダーに多大な影響を与えている

成長を活かしてデジタル収益の拡大につなげるため、あらゆるE&M企業は「コネクテッドコンシューマー」(ネットワークに接続した消費者)を中核に据えて、自らの競争優位性を評価し、進化する業界全体の収益構造における自らの位置づけを再定義しています。そしてこれを成功に結びつけるためには、すべての業界関係者が継続的なイノベーションに投資する必要があります。イノベーションの対象には、製品やサービス、経営モデル、ビジネスモデルのほか、最も重要なものとして顧客の経験、理解、エンゲージメント(つながり)が含まれます。

本アウトルックの調査結果から、現在の業界トレンドが消費者、広告主、コンテンツ制作者、そしてデジタル配信業者にどのような影響を与えているかがわかります。

  • 新しい消費者を理解することが重要
    今後5年間およびそれ以降は、どのE&M企業も次第に、さまざまなニーズや期待を持ち多様化の進んだ世界中の新しい顧客基盤に対応していくことになります。今年のアウトルックによると、新たに台頭しつつある中流階級では、モバイル機器によるインターネットへのアクセスが増えています。また、2017年の終わりまでにブラジル、中国、インド、ロシアだけで、固定ブロードバンド契約数の45%、モバイルインターネットユーザーの50%を占めるようになると本アウトルックでは予測しています。今後、収益性を確保できるE&M企業とは、スピード、柔軟性、洞察力を備えて多様化するコネクテッドコンシューマーに対し、パーソナライズされ、関連があり、なくてはならないコンテンツ体験を提供して利益に結びつけることができる企業ということになるでしょう。
  • 消費者は主導権を握りつつあるが、同時に混乱も深まっている
    過去5年間にわたり、消費者はメディアの選択肢が飛躍的に増加するのを見てきました。今年のアウトルックは、選択肢の急激な増加で消費者心理に混乱が生じ、そのことがアクセスするコンテンツを選別する判断にまで及んでいることに注目しています。 PwCでは、E&M業界のあらゆる企業は、自社のビジネスモデルおよび経営モデルを再検討する必要があるとみています。消費者理解に基づいた賢明で柔軟な配信戦略は、著作権侵害を阻止することにも役立ちます。
  • 「マスメディア」から「マイメディア」へ
    消費者はますますパーソナライズされた体験、すなわち自分だけのコンテンツを、自分が選んだデバイスで、自分の好きな時に楽しむという体験を求めるようになっています。この「マイメディア」に向かう動きは、「コードカッティング」と呼ばれる行動にも見られます。コードカッティングとは、消費者が有料テレビの視聴をやめ、より安価で、インターネットを使ったコンテンツサービスを介して、見たいコンテンツにアクセスすることを指します。OTTサービス収益が有料テレビ収益全体に占める割合は、2017年までに6%になることが予測されていますが、事業者はオンデマンドのコンテンツをますます求めて変化する消費者の期待にサービスを適応させる必要があります。「マイメディア」指向のさらに顕著な例は、テレビやその他のコンテンツにコメントし、多くの場合ソーシャルメディアを介してその体験を誰かと共有するためにスマートフォンやタブレットなどの「セカンドスクリーン」を利用する消費者の増加です。
  • マルチプラットフォームの解析により、広告主はコネクテッドコンシューマーに対する理解を深めることができる
    本アウトルックでは、広告支出が新たなデジタルプラットフォームに移行し続けていることがわかりました。しかし、デジタル広告とほかの形態の広告を分けようとする従来の傾向には大いに疑問があります。将来的には、視聴者への到達、エンゲージメントおよび関心を定義し測定する、信頼性の高いクロスプラットフォーム用の指標を広告主に提供できるかどうかによって、広告収入を獲得できるかどうかが決まるでしょう。
  • コンテンツ制作者は、顧客が有料でも入手したいと思うのはどのようなコンテンツなのか、理解を深めなければならない
    コンテンツ制作者は、コネクテッドコンシューマーの行動やニーズにこれまで以上に合わせる必要があります。これは、ソーシャルメディアからデータを収集する、商品の制作・配布方法を消費者に合わせて変える、パートナーシップを含め新たなビジネスモデルを採用することなどが挙げられます。メディアの選択肢の多様化により、消費者を引きつけ、参加させ、つなぎ留める上で、コンテンツが果たす役割がより重要になってきています。
  • コンテンツ争奪戦
    コンテンツの価値の上昇が引き金となり、業界全体を巻き込んだコンテンツ争奪戦が加速しています。最近では、企業はコンテンツのライセンス化や取得、顧客エンゲージメントや顧客ニーズに対する洞察力の深化に注目するようになっており、コンテンツ資産の大規模な買収がいくつか見られます。
  • コンテンツ制作者がコネクテッドコンシューマーとエンゲージする(つながる)ための新たなビジネスモデルの特徴
    視聴者の関心をひき価値のあるコンテンツを制作するため、コンテンツ会社は次の5つの原則に基づいて新たなビジネスモデルを構築する必要があります。
    1. セカンドスクリーンの力の利用:主要コンテンツへのエンゲージメントとアクセス増加のためのポータブルデバイスの活用
    2. ビデオコンテンツのウィンドウイング(1画面上で複数ウィンドウを開く機能)の進化:コネクテッドコンシューマーのニーズへの合致
    3. コンテンツプロバイダー、通信事業者、および消費者に対する付加価値を高めるバンドリング:割引料金による一連のサービス提供
    4. パーソナライゼーションの課題の克服:消費者のプライバシーを尊重しながらの、消費者の理解
    5. コンテンツ到達への誘導とアドバイス:迷っているコネクテッドコンシューマーを、彼らが求めるコンテンツに誘導
  • デジタル配信業者は、著作権侵害の防止に有用な差別化された体験を提供しなければならない
    著作権侵害を防止するにあたり、消費者教育や規制の強化・施行は重要であるものの、このネットワーク時代に、それだけに頼るのでは不十分です。すなわち、消費者を理解することにより、適切なコンテンツを適切な人に、適切な時間・場所・価格で、適切な体験によって配信することが必要です。また、合法的なコンテンツをどこで入手できるのかを示すことも重要です。

マルセル・フェネスは、次のように結論づけています。

「これまでのE&M業界では、開発から配信まで、コンテンツのライフサイクルを完全にコントロールすることが原則でした。これに大変革をもたらすのがコネクテッドコンシューマーであり、今や主導権は自宅にいるE&M顧客の手中にあります。今日、E&M企業は、魅力的なコンテンツだけでなく、特別なデジタル体験を提供する必要に迫られています。このため、適切なコンテンツを、適切な価格とタイミングで、適切な媒体を介して配信する上で、理想的なバランスがどこにあるのかを見つけることが、すべてのE&M企業にとって大きな負担となっています」

以上

注記:

「アウトルック」について
今年で14回目となるPwCの年次調査レポート「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2013-2017」は、消費者支出と広告支出に関するグローバルな分析を提供する包括的なオンライン情報源です。本アウトルックでは、50カ国を対象に、E&M業界の13のセグメントについて、前回と同一条件で測定した過去5年の実績および予測数値を掲載し、地域別の成長率や消費者支出、広告支出の比較対照を容易に行うことができます。また今年は新たに、すべてのセグメントについて国別の解説を加えました。詳細については、http://www.pwc.com/outlookをご覧ください。
「アウトルック」のセグメント
有料テレビ放送・ライセンス料、テレビ広告、インターネットアクセス、ラジオ、屋外広告、ビデオゲーム、映画、新聞、一般雑誌、B2B、インターネット広告、一般書・教育書、録音音楽
「アウトルック インサイト」について
本プレスリリースのほとんどの内容は、オンライン版「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2013-2017」のデータを基に作成した「アウトルック インサイト」から引用しています。PwCは今後も継続的にオンライン版のデータを更新するため、「アウトルック インサイト」および本プレスリリースのデータは、オンライン版のデータと整合しないことがある点にご留意ください。オンライン版「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2013-2017」は、消費者支出と広告支出に関する最新データを掲載したソースになります。
デジタル支出
デジタル支出を構成するものは以下のとおりです。インターネットアクセス(固定ブロードバンドおよびモバイル)、有料衛星ラジオ、デジタルゲーム(PCおよびゲーム機)、オンラインおよびモバイルゲーム、電子ホームビデオ(オンライン有料ビデオレンタルおよびデジタルダウンロード)、オンライン購読(新聞、一般雑誌、業界誌)、電子書籍(一般書、教育書、専門書)、インターネット広告(オンラインおよびモバイル)、デジタル録音音楽の配信。
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