PwC、年次調査レポート「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック 2012-2016」を発行

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-デジタル時代の幕開け期は終了、エンタテイメント&メディア企業の次なる課題は、デジタル戦略をいかに実行するかに移行
-戦略実行の要諦は、消費者の意向と行動を把握すること、そしてバリューチェーン全体にわたり新たな役割を創造すること
-2011年の日本のE&M市場は1,930億ドルで米国に続き第2位、向こう5年間は平均成長率2.8%と低調ながら、2016年も2,220億ドルで第2位を維持する見通し

2012年6月19日
PwC Japan

世界最大級の監査・税務・アドバイザリーファームであるPwC(プライスウォーターハウスクーパース)は6月12日に年次調査レポート「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック 2012-2016」を発表しました。

本レポートによると、世界的な潮流として、エンタテイメント&メディア(以下、E&M)業界に関連するメディア企業、広告代理店、そして広告主のいずれにおいても、デジタル化がもたらす事業機会について理解が進み、デジタル化が当たり前となる中で、E&M業界は「デジタル時代の幕開け期の終焉」に近づきつつあるとしています。そして、E&M企業の次なる課題は、デジタル戦略の立案と実行に集中することであると指摘しています。

この数年間E&M企業はデジタルへの移行に手探りの状態で取り組んできましたが、次第に、消費者の新たな行動様式を取り込み次なる価値を提供するために、どのようなビジネスモデルや企業組織、スキルセットがよいのかを特定/選択し、実行に移すようになってきています。PwCでは、これまで以上に消費者の行動と動機を理解する必要が高まっているとみており、デジタル・バリューチェーン全体にわたって新たな構造が出現している中、E&M企業は自らがその中でどのような役割を果たすべきかを見定め、能力に欠ける部分があればそれを補ってくれるコンテンツ・プロバイダーと協働していくことも、デジタル化において成功するために重要なファクターであると考えています。


E&M業界のデジタル化の主な動向

  • 2011年、世界のE&M業界におけるデジタル支出(デジタル広告含む)は17.6%増加しましたが、一方でデジタル以外の支出はわずか0.6%増に留まりました。E&Mの総支出に占めるデジタル支出の割合は、2011年の28%から2016年には37.5%まで増加する見込みです。
  • デジタル化の浸透度は、セグメントごとに大きな差が見られます。例えば、世界のデジタル音楽配信の支出は、2015年にはCD等の物理的メディアを上回り、翌2016年には録音音楽市場全体の55%に達するでしょう。また、世界のオンラインゲーム(モバイル含む)への支出は、2013年には家庭用ゲーム機やPC用のゲームへの支出合計を上回るものと見込まれます。これとは対照的に、一般向け雑誌にデジタル雑誌が占める割合は、2011年の3.1%からは増えるものの、2016年時点でも10.4%に留まるものと見込まれます。
  • モバイルからのインターネットアクセス契約は、デジタル支出を支える推進力となっていますが、この契約者数は今後5年間で倍以上に増加し、2016年には29億人に達するでしょう。そのうち約10億人は中国が占めると予想されます。また、インドでは、同契約者数が、現在の低水準から2016年にかけて年間平均成長率50.8%の勢いで増加し、世界で最も速い成長をみせるでしょう。世界のインターネットアクセスの支出においては、モバイルからのアクセス支出が占める割合は2007年の26%から2011年には40%まで上昇、2016年には46%となり、有線アクセスの支出とほぼ肩を並べるようになるでしょう。

世界のE&M市場に関する主な調査結果

  • 【世界市場】: 2016年までの5年間でE&Mの世界市場は、2011年の1兆6,000億ドルから2016年の2兆1,000億ドルへと、年間平均5.7%の伸びで拡大する見通しです。この成長率が、同期間の世界の名目GDPの成長率6.6%を下回っているのは、高額の物理的メディアの購入から、低価格のデジタル配信へと市場が移行しているためです。
  • 【上位国】: 2011年のE&M支出総額(広告支出と消費者・エンドユーザー支出)を見ると、米国が4,640億ドルでトップ、次いで日本の1,930億ドル、3位には中国がドイツを抜いて1,090億ドルで入りました。2016年までの年間平均成長率の予想では、12.0%の中国、10.6%のブラジル(2011年に韓国を抜いて9位に浮上)が成長ペースの速い国になる見込みです。日本は同率2.8%の低成長ながら、2016年も2220億ドルの市場規模で2位を維持するとみられます。
  • 【広告支出】: 景気に最も敏感な広告支出は2011年で3.6%増となりましたが、過去2年間の成長にもかかわらず、2011年の支出額は、本調査開始の2007年の支出額を依然下回っている状態です。向こう5年間の全世界の広告支出は、2011年の4,860億ドルから2016年には6,610億ドルと、年間平均成長率6.4%で増加する見込みです。インターネット広告(モバイル含む)は年間平均成長率15.9%と、広告支出の中で最も急成長するカテゴリーとなるでしょう。
  • 【消費者・エンドユーザー支出】: 2016年までの5年間の年間平均で3.8%の増加が予想され、世界の総支出は2011年の8,020億ドルから2016年には9,660億ドルになると予想されています。ビデオゲーム支出は今後5年間で回復し、年間平均7.0%の伸び率で最も成長が大きいと予想されています。有料テレビ放送およびライセンス料が同率6.2%で続いています。

日本のE&M市場に関する主な調査結果

  • 【テレビ広告】:日本のテレビ広告市場は、 2011年には182億ドルで、アジア太平洋地域全体において 38%のシェアを占め第1位です。同年は東日本大震災の影響で対前年比2.0%減少をしましたが、2012年には再びプラスに転じ、向こう5年間では年間平均3.4%の成長を見せるでしょう。2016年には市場規模215億ドルで、同地域における最大規模を維持する見込みです。2011年9月には、米国で人気のオンラインテレビ「Hulu」が、海外では初めて日本に進出しましたが、今後もオンライン視聴やオンライン広告市場に魅力をもたらし成長の一要因となり得るとみています。
  • 【インターネット広告】:日本のインターネット広告市場は2011年に市場規模118億ドルで、アジア太平洋地域の47%を占めていますが、モバイルからのインターネットアクセスの急伸を受け、中国の急速な成長が見込まれており、2013年には日本を抜き、2016年には同地域において68%のシェアを獲得するでしょう。
  • 【ビデオゲーム】:2011年の日本のビデオゲームの市場は69億ドルの規模となり、東日本大震災の影響でわずかに縮小しましたが、アジア太平洋地域では29%のシェアで1位、また全世界でも米国に次いで2位につけています。中でも家庭用ゲーム機ではアジア太平洋地域において45%のシェアで1位、またモバイルゲームにおいても日本は韓国とともにアジアではトップ2の位置にあります。一方、中国のビデオゲーム市場は、2016年までの5年間で平均17.6%の成長が見込まれ、同国は2012年には日本を抜いてアジアでトップとなり、2016年には155億ドルの規模に達すると予想されています。そのうち、オンラインゲームが88%を占めています。

PwC Japanのコンサルティング部門のエンタテイメント&メディア担当リーダーで、プライスウォーターハウスクーパース株式会社の桂 憲司パートナーは、次のように述べています。

「日本のE&M業界の企業も、他の業界と同様、海外への進出を模索しています。海外への展開はデジタル化と関連して考えるべき大きな命題となります。海外進出を考える上で重要なことが3点あります。1つは、進出後のビジネスモデルをあらかじめ描いてから着手することです。デジタルを前提としたバリューチェーンを各国の環境に合わせて描く必要があります。E&M業界は個別のコンテンツにフォーカスしたビジネスモデルから、コンテンツが価値を生み出すバリューチェーン全体を考慮したビジネスモデルに変化しているためです。もう1つは、そのビジネスモデルから、『強み』となる部分を認識し、容易に優位性を失わないように設計することです。3つ目は、単に現地のニーズに合わせたものだけを提供するのではなく、それまでは現地の人々が認識していなかったニーズを生み出すようなビジネスモデルを組み変革を実行することです。日本には世界で通用するコンテンツが多数存在しますので、現地化をしながらも日本の成功モデルの強みを生かすというバランスが重要です。これらの展開を考えて進めていく上で、PwCの『グローバル E&Mアウトルック』を始めとした、グローバルおよび国別の情報の活用が重要となります。」

以上


本調査レポートについて

第13回目の発行にあたるPwCの「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2012-2016」は、北米(米国、カナダ)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アジア太平洋、中南米の4地域(全48カ国をカバー)における、13の主要な業界セグメントの詳細な分析と、実績および予測データを掲載しています。同レポートに関する詳細はhttp://www.pwc.com/outlook をご確認ください。

本調査レポートのセグメント

B2B、一般書・教育書、一般雑誌、映画、インターネットアクセス(有線/無線、モバイル含む)、インターネット広告(有線/無線、モバイル含む)、新聞、屋外広告、ラジオ、録音音楽、テレビ広告、有料テレビ放送・ライセンス料、ビデオゲーム

本調査レポートにおけるデジタル支出

インターネットアクセス(ブロードバンドおよびモバイル)、インターネット広告(モバイル含む)、モバイル有料テレビ放送、デジタル録音音楽の配信、オンライン有料映画レンタルおよびデジタルダウンロード、ビデオゲーム(ブロードバンドおよびモバイル)、オンライン購読(一般雑誌、新聞、業界誌)、電子書籍(一般書、教育書、専門書)、衛星有料ラジオ放送

 

PwCについて

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PwC Japanについて

PwC Japanは、あらた監査法人、プライスウォーターハウスクーパース株式会社、税理士法人プライスウォーターハウスクーパース、およびそれらの関連会社の総称です。各法人はPwCグローバルネットワークの日本におけるメンバーファーム、またはその指定子会社であり、それぞれ独立した別法人として業務を行っています。
複雑化・多様化する企業の経営課題に対し、PwC Japanでは、監査およびアシュアランス、アドバイザリー、そして税務における卓越した専門性を結集し、それらを有機的に協働させる体制を整えています。また、公認会計士、税理士、その他専門職員約4,000人を擁するプロフェッショナルサービスファームとして、クライアントニーズにより的確に対応したサービスの提供に努めています。

 
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