成長市場ならではのディールリスク対応について、PwCが事例分析レポートで提言

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-200件を超えるディールの事例分析を行い、共通の問題点を特定
-外部機関によるデューデリジェンスフェーズに入った成長市場でのディールの半数以上が、成立に至らず
-サンプル抽出したディールでは、平均して投資額の約50%の損失が発生していると判明

2012年3月1日
PwC Japan

*本プレスリリースは、2012年1月18日にPwCが発表したプレスリリースの翻訳です。

2012年1月18日 ロンドン -既存市場が停滞している中、先進国企業が成長を加速させる重要な方策のひとつとして、成長市場*でのディールの実行が挙げられます。しかし、成長市場でのディールが失敗した場合、大きなリスクや多額の損失が発生する可能性があります。このたび、PwCは200件を超えるディールの事例分析を行い、問題の根本原因を特定した上で、企業がリスクを管理し、成長市場でディールを成功させるにはどうすべきか、いくつかの方策を提言しています。

PwCのレポート「ディールの成功者となるために:成長市場に向かうディールメーカーのためのガイド」では、成長市場におけるディールの問題の大きさについて次のように指摘しています。2011年、西ヨーロッパおよび米国の企業が成長市場において実行したディール金額の総額は少なくとも1,400億ポンド(17.5兆円/1ポンド125円換算)でしたが、外部機関によるデューデリジェンスフェーズに入ったディールの半数以上が、成立には至りませんでした。また、成立はしたものの、その後に問題が発生したディールについてみると、買収サイドに発生した損失は、平均でディール金額の約50%にまで達しています。

さらに、成長市場におけるディールでは、外部機関によるデューデリジェンスフェーズに入った後に、結局は成立に至らないディールの割合が先進国でのケースよりも高くなっています。このため、目に見えるコスト(デューデリジェンス費用など)だけでなく、目に見えないコスト(投資家の信用失墜など)も大きくなっているといえます。ディールを成立させる上で障害となっている共通要素としては、現地市場での買収対象の価値評価への不満、政府による介入、財務情報の透明性の欠如、さらには事業慣行上のコンプライアンス問題が挙げられます。

ディール完了後においては、パートナーと提携する際に生じるさまざまな利害対立の調整が最大の問題となっています。さらに、さまざまなオペレーション上の問題も、事業統合や経営権の掌握を困難にする要因になっています。

PwCのディールアドバイザリー部門のグローバルリーダー ジョン・ドワイヤー(John Dwyer)は次のように述べています。

「多くの企業が、未だにこうした共通の落とし穴を回避出来ておらず、中断あるいは失敗したディールから教訓を学んでいません。成長市場でディールを成立させること、特に開発途上の市場において将来の成長モデルの実現にチャレンジすることは非常にタフな仕事です。現地に社員を派遣し、しっかりと現地の知識を身につけ、余裕を持って最初のビジネス機会に対応することが肝要です。また、当該国および業界に投資する戦略的目的を早期に構築することも欠かせません。それが、成長市場におけるディールを成功させるための土台になるのです」

「今年も成長市場でのディールの案件数、金額はともに増加が見込まれます。また、企業も引き続き新たなディールの機会を求めて成長市場に進出していくでしょう。成長市場における対象国の選択肢は幅広くあります。BRICs諸国は当然ながら、その他の新興国、例えばナイジェリア、インドネシア、メキシコなどにも大きな可能性があります。ここで肝心なことは、成長市場の中でも優先順位を付けて、ディールに向ける貴重な企業の資源をうまく集中させることです」

本レポートで「デルタ」と呼んでいる、良いディールと悪いディールの振れ幅は、成長市場ではより大きくなっています。しかし本来、この振れ幅は現状ほど大きくなる必要はないはずです。手順を正しく踏んでいる企業は、成長市場でのディールリスクを減らすことが可能であり、また長期的価値を生み出す機会を増やすこともできると考えられます。

ジョン・ドワイヤーは続けて次のように述べています。

「対価支払いの繰り延べや追加投資についてのオプション条項などのストラクチャーの工夫により、初期投資リスクを減らすことはできるものの、現地のパートナーとの利害調整も鍵になります。企業は、これらの成長市場における著しい成長潜在力を反映して買収対象の価値評価が想定よりも高くなること、そしてデューデリジェンスが完全とは言えないレベルになる可能性に対し心構えが必要です。交渉の過程では、何が管理可能なリスクであり、何がディールブレーカーとなるのか、しっかり見極めることが重要です」

PwCの戦略部門のグローバルリーダー アレステア・リマー(Alastair Rimmer)は次のようにコメントしています。

「企業が、成長市場におけるビジネス機会をどのように評価するかは、まずその企業の規模とリスク許容度に左右されます。成長市場におけるディールへのアプローチについては、ディールの長期的な戦略オプション価値をどの程度重視するかなど、いくつもの難しい選択肢がありますが、これらは、リスクと報酬のトレードオフに大きく影響されます。どれが正しい、ということではなく、むしろその選択は、企業独自の文化や戦略において何を優先するかに左右されます」

以上

*本レポートにおける成長市場とは:西ヨーロッパ、米国、日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド以外の各国からなる幅広い定義を用いており、さまざまな国が含まれる。独自のグループを構成しているBRICsをはじめ、E7の残りの国々(メキシコ、インドネシア、トルコ)や、南アフリカ、ナイジェリア、エジプト、韓国、ベトナム、フィリピンなどが挙げられる。


調査方法について

「ディールの成功者となるために:成長市場に向かうディールメーカーのためのガイド」は、200件を超えるディールの評価を基にしています。これらのディールは、いずれも公表済みかつ、PwCがかつてアドバイザーを務めた民間企業のディールを広範囲に集めたものです。共通して発生している問題を特定し、極めて大きな問題に関わるさまざまな課題をコスト面も含めて検討しています。また、成長市場で企業買収に携わった、多国籍企業のシニアクラスのディール担当者約20名にインタビューを行い、どのようにして直面した困難を乗り越えたかの聞き取り調査を行っています。インタビュー対象者はいずれも世界規模でビジネスを展開している企業に属し、業界も本社所在国も多岐にわたっています。これらの企業の成長市場における収益は、平均で全収益の27%に達しています。本調査はPwCが独自に実施したものであり、いかなる政府、企業、団体からの委託も受けていません。全文レポート(日本語)はこちらに掲載しています。

PwCでは全世界で1万人以上のプロフェッショナルがディールビジネスに携わっており、成長市場におけるプレゼンスも高くなっています。

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