PwC Japan、「ファミリービジネスサーベイ 2010/11」の結果を発表

-金融経済危機の影響を強く受ける日本のファミリービジネス、事業承継にも多くの課題-

2010年11月05日
PwC Japan

世界最大級のプロフェッショナルサービスファームであるPwCは、世界35カ国のファミリービジネスを対象に実施した「ファミリービジネスサーベイ 2010/11」*の結果を発表しました(調査期間:2010年5月~8月)。

PwC Japanでは、現在も創業家一族が会社を所有して実質的にも経営を行っている企業を「ファミリービジネス」と呼び、さまざまなサービスを提供しています。PwC Japanではこのたび初めて本調査に参加し、日本の企業74社から回答を得て、日本のファミリービジネスに関する主な特徴をまとめました(調査期間:2010年7月~8月、調査対象:日本のファミリービジネス約1,700社。回答率:4.4%)。

その結果、日本のファミリービジネスは、昨今の金融経済危機の影響を他国のファミリービジネスよりも強く受け、業績の回復が遅れていることが分かりました。また、事業承継については、ファミリービジネス経営者の8割以上が現在の事業を一族内のメンバーに承継することを計画しているものの、その準備は総じて不十分であることがうかがえます。本調査結果から読み取れる、日本のファミリービジネスに関する主な特徴は以下のとおりです。

「ファミリービジネスサーベイ2010/11」 日本における主な調査結果

・日本における全調査結果は、別紙「ファミリービジネスサーベイ2010/11 集計結果」  [PDF 408KB] をご参照ください。
・文中に記載があるもの以外は、全て単数回答です。

1.企業業績・経営

■他国のファミリービジネスと比べ、業績の回復に遅れ
  • 全回答企業74社に、「過去12カ月間を振り返り、自社が提供している商品・サービスへの需要は、その前の12カ月と比較して、どのように変化したか」を質問したところ、「増加した」と回答したファミリービジネスの割合は計26%となり、グローバル全体(48%)よりも低い結果でした【図1】【別紙「ファミリービジネスサーベイ2010/11 集計結果」質問1】。同様に、営業利益が「増加した」との回答はグローバル全体では42%でしたが、日本では34%にとどまっています【質問2(b)】。
  • 「ファミリービジネスであることが経済危機を乗り越える助けになったか」との質問に対しては、グローバル全体では67%が「そう思う」と回答したのに対し、日本では41%となっています【質問6】。
  • 今後の「企業戦略上のポイント」について聞いてみると、「生き残り」との回答が32%あり、グローバル全体の同回答11%と比較すると高い割合となっています【質問5】。また「自社の中核事業がどのように成長すると予想するか」との問いに対しては、23%が「悪化を予想」と回答しており、グローバル全体(18%)より先行きを厳しく見込んでいます【質問7】。
  • 今後の「ビジネスモデル変更の必要性の有無」については、66%が「変更が必要」と回答し、グローバル全体での同回答(43%)を上回っています【質問8(c)】。
【図1】自社の商品・サービスへの需要の変化
過去12カ月を振り返り、自社の商品・サービスへの需要がその前の12カ月と比較して「増加した」と回答した企業の割合

自社の商品・サービスへの需要の変化



■キャッシュフローや内部資金の潤沢さについても、他国と比較し劣後
  • 「現在のキャッシュフローの状態」について聞いてみると、グローバル全体では65%が「十分に確保している」と回答したのに対し、日本では47%となっています【質問8(b)】。
  • 「新しいビジネスモデルに投資・出資するための十分な資金を保有している」と回答した企業は、グローバル全体では76%に達している一方で、日本では49%にとどまっています【質問8(d)】。
■今後の投資分野は、日本、グローバル全体ともに「人事・教育」が最多
  • 「自社が生産性を向上させ競争力をつけるための今後の投資分野」については、「人事・教育」との回答が64%と最も多く、次いで「営業活動」(54%)、「製造」(41%)となりました【質問12[複数回答]】。
  • 同様の質問において、グローバル全体でも「人事・教育」(67%)との回答が最多でした。一方で、「ITインフラ」(52%)、「マーケティング」(58%)が上位であったのに対し、日本では同回答がそれぞれ34%、28%にとどまっています【質問12[複数回答]】。

2.後継者育成

■8割以上の企業は「家族への承継」を予定。しかし多くの課題を抱え、承継の準備は遅れ気味
  • 全回答企業74社のうち、21社(28%)が「今後5年間で自社のオーナーに何らかの変化が予想される」と回答しています【質問13】。その具体的な内容について聞いてみると、そのうち81%が「家族への承継を予定」と回答し、グローバル全体の53%を大きく上回っています【質問14[複数回答]】。
  • 「家族間の公平な資産承継を可能とする資産の保有状況」ついて聞いてみると、グローバル全体では61%が「保有している」と回答しているのに対し、日本では39%にとどまっています【質問21】。
  • 「主要な経営者や株主が亡くなったり就業困難となったりした場合の備え」について、「準備ができている」と回答した企業は、日本の35%に対して、グローバル全体では62%と大きな差が見られます【図2】【質問22(a)】。同様に、「子供が成長するまでの暫定的経営取り決めの有無」、「故人等からの株式購入手続きの有無」などの点で、日本のファミリービジネスの事業承継への準備度合いは、グローバル全体の結果と比較すると低くなっています【質問22(b)(c)】。
【図2】事業承継への備え
「主要な経営者や株主が亡くなったり就業困難となったりした場合」に対する「準備ができている」と回答した企業の割合

事業承継への備え



3.同族間での問題解決方法

■社内で家族経営に起因する諸問題が生じた場合、緊張感が高まりやすい日本のファミリービジネス
  • 「日本のファミリービジネスは緊張感を感じる」と回答した企業の割合は、他国と比べて総じて高くなっています。特に「姻戚者が事業に関与する場合」に「緊張感を感じる」と回答した企業は、グローバル全体の26%に対して、日本では72%と大きな差がみられます【質問24】。
  • 「同族内で生じる可能性のある問題に対処する手段の有無」について聞いてみると、「問題対処への手段・手順を有している」と回答した企業は、15%にとどまっています【質問26(a)】。

4. 経済、規制環境、その他

■政府の取り組みについては、4分の3以上が「不十分」「不適切」と回答
  • 「企業の生き残りや活動の発展を助長するための政府の取り組みは十分であるか」という質問に対しては、「十分である」と回答した企業は3%にとどまり、「不十分」(57%)、「不適切」(19%)との結果でした【質問28】。
  • 「法人税規定の簡素化や税負担の軽減が大切」と回答した企業は、69%となっています【質問27(a)】。
■企業の社会的責任(CSR)について、約8割の企業が自社の事業活動に「よい影響」と認識
  • 企業の社会的責任が自社の事業活動に与える影響について聞いてみたところ、「よい影響がある」と回答した企業が77%ありました【質問29】。
  • 企業の社会的責任に基づいて導入する予定のある施策を聞いてみると、「事業の円滑な承継による事業継続・拡大」、「地域コミュニティへの貢献」などの回答がありました【質問31、自由記述式】。

PwC Japanでは、ファミリービジネスが抱える課題の解決に有用なサービス・情報の提供に力を入れて取り組んでいます。中でも、事業承継はファミリービジネスが「事業」を次世代に引き継ぎ、安定的に「継続」させるための成長機会として普段から意識して取り組む必要のあることと考え、「事業承継総合診断サービス」を提供しています。本サービスは、各企業の事業承継に対する取り組み状況を包括的かつスピーディに診断し、課題を明らかにした上でその解決に向けた方向性を明確にするものです。本サービスの利用により、企業は早期から事業承継対策を進めることが可能となっています。なお、PwC Japanは非営利組織ファミリービジネス研究所 に特別協賛しており、その事務局機能も果たしています。

 

「ファミリービジネスサーベイ」について

「ファミリービジネスサーベイ」は、PwCが世界各国のファミリービジネスを対象に実施している調査です。2007年に初回調査を実施し今回が2度目となります。「ファミリービジネスサーベイ2010/11」は、2010年5月末から8月中旬にかけて実施し、35カ国1,606社(うち日本は74社)のファミリービジネスのオーナーや経営者から回答を得ています。本調査結果は、http://www.pwc.com/fambizsurvey にて公開しています[英語]。

調査対象国:オーストラリア、バハマ、バーレーン、バルバドス、ベルギー、ブラジル、カナダ、キプロス、デンマーク、エジプト、フィンランドフランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、クウェート、ジャマイカ、日本、ヨルダン、マルタ、オランダ、ノルウェー、オマーン、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、シリア、トリニダード・トバゴ、トルコ、アラブ首長国連邦、イギリス、アメリカ(アルファベット順)。

なお、本調査における「ファミリービジネス」とは、次の条件に該当する企業を指しています。(1)創立者または承継者(その配偶者、親、子、子の子孫も含む)が、議決を有する株式の50%以上を保有する、(2)一族の後継者のうち1名以上が経営・管理に関与している、(3)上場企業の場合は、創立者または承継者が議決権を有する株式の25%を保有し、同族の1人以上が取締役を務める。

以上

 

 

PwCについて 

PwCのメンバーファームは、クライアントの産業に焦点をあてた監査、税務、アドバイザリーサービスの提供を通じて、クライアントの価値向上を目指しています。PwCグローバルネットワークのメンバーファームが有する世界154カ国、161,000人以上のスタッフが、見識や経験、ソリューションを共有することによって、常に新しい視点から実践に即したアドバイスを提供しています。詳細はwww.pwc.com をご覧ください。
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PwC Japanについて

PwC Japanは、あらた監査法人、プライスウォーターハウスクーパース株式会社、税理士法人プライスウォーターハウス クーパース、およびそれらの関連会社の総称です。各法人はPwCグローバルネットワークの日本におけるメンバーファームであり、それぞれ独立した法人として業務を行っています。
複雑化・多様化する企業の経営課題に対し、PwC Japanでは、監査およびアシュアランス、アドバイザリー、そして税務における卓越した専門性を結集し、それらを有機的に協働させる体制を整えています。また、公認会計士、税理士、その他専門職員約4,000人を擁するプロフェッショナルサービスファームとして、クライアントニーズにより的確に対応したサービスの提供に努めています。

 
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