プライスウォーターハウスクーパース、調査レポート「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック 2010-2014」を発行

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2010年06月18日

(本プレスリリースは、2010年6月15日にロンドンで発表されたプレスリリースの抄訳です。)

  • 2009年の日本のエンタテイメント&メディア市場は1,640億ドルで、アメリカに続き第2位に
  • 一方、向こう5年間の年間平均成長率は2.8%と主要国中最低に
  • アジア太平洋は年平均6.4%の成長により2014年には4,750億ドルの市場規模に。中国は年平均12.0%と群を抜いて急速に成長

2010年6月15日 ロンドン - デジタル化による変革の拡大や加速が続く中、今後5年間に、デジタル技術はエンタテイメント&メディア業界のあらゆる面で影響力を一層強めていくものと見られます。先行き不透明な景況にあってもこの変化のペースが落ちることはなく、1年前の予測をはるかに上回る勢いで推移しています。世界最大級の監査・税務・アドバイザリーファームであるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)が発表した「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2010-2014」では、消費者がこうした変化の推進役であることが明らかになりました。

世界のエンタテイメント&メディア市場は、2009年には低迷したものの、2014年までには年平均5.0%の成長率を示し、市場規模を2009年の1兆3,000億ドルから2014年の1兆7,000億ドルに拡大すると見ています。最も成長が著しい地域は中南米で、向こう5年間で年間平均成長率8.8%、2014年には770億ドル規模の市場となるでしょう。これに次ぐのがアジア太平洋で同6.4%、2014年には4,750億ドルの規模に、続いて欧州・中東・アフリカ(EMEA)が同4.6%、同規模5,810億ドルと見込まれます。規模は最大であるものの最も成長が鈍い北米は、同3.9%、2009年の4,600億ドルから2014年には5,580億ドルの市場規模になると見ています。

消費者は、驚くほどのスピードで新しいメディアを受け入れており、デジタル化による変革がこれまでには見られなかったほどのレベルまで利用者の細分化を進めています。ただし、現在見られるこの変化の波は、スピードの点でも全体への同時波及的影響力の点でも、これまでの変化とは大きく異なっているといえます。

PwCのエンタテイメント&メディア担当のグローバル・リーダー、マルセル・フェネス(Marcel Fenez)は次のように述べています。
「一部の企業は、市場の細分化が進む状況を脅威と受け止めていますが、これはチャンスだととらえるべきです。例えば購買者に対するアプローチをとってみても、それが既存の市場チャネルを用いる方法であれ、ソーシャルメディアを活用する方法であれ、企業にとっては自らの創造力を発揮するチャンスなのです。いずれにしても、消費者の心、そして財布をつかむことが企業にとっての喫緊の課題です。」

デジタル化への移行が不可避であっても、そのスピードやどのような形で顕在化するかについては、市場によって異なります。市場規模や成長の面での地域や国ごとの違いは、インフラやインターネットアクセスの利用可能状況、消費者行動をめぐる地域的要因によるものです。例えば日本では、すでに携帯電話によるインターネット利用が急増し、2009年における日本の携帯電話によるインターネットアクセスの収益は、全世界市場の53%を占めました。一方、他の地域では、依然として成長曲線の底にあります。

広告業界は回復へ

広告業界は市場の混乱によって大きな痛手を受けており、回復の兆しはあるもののまだきびしい状態が続いています。2014年の米国の広告支出は2006年の水準をなお9%下回るものと見ています。全体で見ると、世界の広告支出は2009年の4,060億ドルから2014年には4,980億ドルへと拡大し、年平均4.2%の成長率を示すでしょう。インターネット広告は、広告支出が1,000億ドルを唯一上回っているテレビと並び、2014年には1,000億ドルの線を上回るものとみられています。

この予測は、市場の細分化と消費者行動の変化を反映したものです。広告業界は消費者の関心のシフトに対応して、トータルマーケティング、またはトータルブランドコミュニケーションへと踏み出したといえます。ブランド戦略は、メディアへの広告出稿から、コンテンツを通した、あるいはコンテンツを利用したマーケティングへと移行しつつあります。

消費者との対話

消費者からのフィードバックや利用状況が、製品やサービスの商業的成功を導く唯一の指標となってきており、新たな商品提案や消費嗜好を試す際にも世界の消費者性向の分析が利用されています。しかし、消費者の反応はまだ発達途上にあり、消費者の方向性を予測して見極め、ニーズと要望を先取りするのは業界の役割といえます。消費者行動の変化から、PwCは以下の3つのテーマが抽出できると考えています。

モバイル性、デバイスの向上
技術と製品の進化により、2011年末までには、多くの機能を搭載した多機能かつ互換性のあるモバイルデバイスが、一般向けプラットフォームとして大きく発達しているでしょう。消費者は、異なるデバイスの枠を超えてコンテンツが流通し、双方向性と利便性の拡大がサポートされる「ユビキタス」を求めるようになっています。また、新しい方法でモバイルデバイスを活用し、自分のライフスタイルに役立てるため、より多くのモバイルアプリケーション(「アプリ」)をダウンロードするようになっています。いつでもどこでも、コンテンツを消費し、コンテンツと付き合い、そしてソーシャルネットワークを通じて他の人々とコンテンツを共有し、議論する、という能力は、私たちの生活にますます欠かせないものになっていくでしょう。

あらゆるコンテンツ消費を凌駕するインターネット利用の優位性
インターネット利用は、今やあらゆる消費者にとって、人と人を結ぶ素晴らしい経験のひとつです。インターネットの双方向性やコンテンツへのアクセス性に対する消費者の期待は、あらゆるメディアの消費に拡大していくでしょう。この傾向がまず最も明確に見られるのはテレビです。また、消費者がすでにインターネットに接続可能なタブレット型コンピュータで雑誌や新聞を購読したり、CD本体の購入やデジタルダウンロードよりも自分の好みに合った音楽を配信するサービスを利用していることにもその傾向が現れています。

消費機会と利便性の向上が、コンテンツの購入や購入意識の高まりを推進
市場の細分化の進行が意味していることは、消費者を振り向かせて料金を支払ってもらうために、メディアは消費者により多くの魅力と高い品質を提供する必要があるということです。消費者の間では、利便性や用途の柔軟性、消費者への個別対応に優れ、また他では味わえない経験をもたらしてくれるコンテンツに対してお金を払おうという意識が高まっています。利便性の面では、地域的特性への適合性も再び重要になるでしょう。

フェネスは、次のように言い添えています。
「インターネットの利用は、世界中の何十億の人々を結ぶ素晴らしい経験のひとつとなっており、メディアの消費経験による『再社会化』がトレンドとなっています。これまで、本や新聞を読むことは一人で行う活動でした。しかし、デジタルアクセスとモバイル性、ソーシャルネットワーキングが一体化することにより、あらゆる形式のメディア消費が、単独活動から社会的経験へと移行しつつあります。利用者は、ソーシャルネットワーキングのフォーラムを利用して見解を議論したり、コンテンツを共有したりするようになっています。」

ビジネスに革命を

デジタル化への移行や消費者行動の変化は、既存のビジネスモデルにとって非常に大きな圧力となっています。これにより、業界は従来の商取引からであれ、進化を続けるデジタルバリューチェーンで行われている他の商取引に参画するという形であれ、新たな収入源を手に入れるために、コンテンツを収益化する方法を根本から考え直すに至りました。

その結果、各企業は新しいデジタル世界における自らのポジショニングを模索し始めているといえます。将来性のある商業的コンテンツを作り出すためには、コストとリスクを分担して他の企業と提携することが必須になっています。多様な業界から将来性のあるパートナーが見つかる例が増えています。

どのような提携・協力にせよ、新たなバリューチェーンで成功するためには以下7つが不可欠な要素として挙げられます。

  • 戦略面での柔軟性
  • 消費機会の提供を通じた顧客との関わりや結びつきの構築
  • 規模とスコープの経済学
  • 試行錯誤を進んで行う意思決定と実行のスピード
  • 機敏な人材管理
  • 複数の異なるプラットフォームでブランドや権利を収益につなげる能力
  • パートナーシップの構築、M&Aの対象の絞り込みと統合を行う優れた能力

フェネスは以下のように結んでいます。
「創造性、そしてイノベーションは、常にエンタテイメント&メディア業界と関連付けられてきました。そして今こそ、同業界は既存のビジネスモデルを打ち壊し、新たな機会を受け入れるべきです。提携であれ協力であれ、どのような形で自らを構築するにしても、優れた消費機会を提供すること、そして細分化の進む市場から収益を得るのに十分な柔軟性が必要になるでしょう。それを実践していく企業が、刺激的でありかつ厳しくもある、この業界のけん引役になるのです。」

以上

 

主な調査結果

  • 2009年のエンタテイメント&メディア業界の規模は、アメリカの4,280億ドル、日本の1,640億ドルをはじめ、12カ国においてそれぞれ200億ドルを上回りました。主要国のうち、中国は年間平均成長率12.0 %と群を抜いて急速な成長を遂げるものと見ています。これを支えるのが好調の続く中国経済ですが、ブロードバンド化の大幅な進展も要因のひとつで、市場の全体的な押し上げに貢献しています。主要国のうち、日本の年間平均成長率は2.8%と最低になるでしょう。
  • インターネットアクセスは、業界全体の成長を支えるカギとなるものです。ブロードバンドの普及率増加がPCでのアクセスを押し上げる一方、スマートフォンの普及率向上、無線ネットワークの品質向上がモバイルアクセスの追い風となるでしょう。インターネットアクセス(モバイル含む)の世界市場規模は、2009年の2,280億ドルから2014年には3,510億ドルになると見ています。
  • 広告費と消費者・エンドユーザー支出を見てみると、それぞれ2010年は横ばい、2011年に回復基調へ、そして2014年には一桁台半ばの成長率へと回復すると予測しています。世界の広告マーケットは、2009年の4,060億ドルから2014年には4,980億ドルへと年間平均成長率4.2%を示すと見ています。消費者・エンドユーザー支出の規模は、世界全体で2009年の6,880億ドルから2014年には8,420億ドルへと拡大し、同4.1%と見ています。
  • 業界をセグメント別に見てみると、世界のビデオゲーム市場は、2009年の525億ドルから2014年には868億ドルへ、年平均10.6%の成長率を示し、ネット広告(モバイル含む)市場に次いで急成長を遂げるでしょう。同市場の消費者・エンドユーザー支出は、有料テレビ放送およびライセンス料の市場を上回り、一番の急成長を遂げるものと見ています。
  • 世界の有料テレビ放送およびライセンス料の市場は、2009年の1,859億ドルから2014年には2,581億ドル、年間平均成長率6.8%を示すと見ており、同5.7%が見込まれるテレビ広告をしのいでいます。市場のほとんどを有料テレビ放送による収益が占めており、2014年には2,108億ドル、同7.5%になると見ています。最も急成長を遂げる地域はアジア太平洋となり、2009年の292億ドルから2014年には471億ドル、同10.0%となるでしょう。
  • 世界の一般雑誌の出版市場は、2009年に10.6%減となりました。2010年にはさらに2.7%減、2011年は低迷しつつも、2012~14年に穏やかな成長を遂げるものと予想しています。その結果、同市場は2009年の715億ドルから2014年には740億ドル、年間平均成長率0.7%になると見ています。
  • 電子教育書籍は、全予測期間を通じて世界で年平均36.5%の成長率となるものの、2014年における世界の全教育書のマーケット占める割合は6%未満と見ています。
 

本調査レポートについて

第11回目の発行にあたるPwCの「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2010-2014」は、北米(アメリカ、カナダ)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アジア太平洋、中南米の各4地域における、13の主要な業界セグメントの詳細な分析・見通しを掲載しています。同レポートの注文はこちら で受け付けています。メディアの方用のレポート(英語)についてはこちらまでお問い合わせください。

 

本調査レポートにおけるデジタル支出

インターネットアクセス(ブロードバンドおよびモバイル)、ネット広告(モバイル含む)、ビデオ・オン・デマンド、モバイル有料テレビ放送、テレビ広告(オンラインおよびモバイル)、デジタル録音音楽の配信、オンライン有料映画レンタルおよびデジタルダウンロード、ビデオゲーム、新聞・一般雑誌デジタル広告、衛星有料ラジオおよびオンラインラジオ広告、電子書籍(一般書、教育書、専門書)、デジタル案内看板広告、業界誌デジタル広告。

 

 

プライスウォーターハウスクーパースについて 

プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、クライアントの産業に焦点をあてた監査、税務、アドバイザリーサービスの提供を通じて、クライアントおよびその利害関係者の社会的信頼の確立と価値の向上を目指しています。世界151カ国に163,000人以上のスタッフを有するPwCのグローバルネットワークを活用し、見識や経験、ソリューションを共有することによって、常に新しい視点から実践に即したアドバイスを提供しています。

プライスウォーターハウスクーパースおよびPwCは、プライスウォーターハウスクーパース・インターナショナル・リミテッド(PwCIL)のメンバーファームによって構成されるネットワークを指します。各メンバーファームは独立した法人であり、PwCILまたは他のメンバーファームの代理人としての活動は行っていません。

 

PwC Japanについて

プライスウォーターハウスクーパース ジャパン(PwC Japan)は、あらた監査法人、プライスウォーターハウスクーパース株式会社、税理士法人プライスウォーターハウスクーパース、およびそれらの関連会社の総称です。各法人はPwCグローバルネットワークの日本におけるメンバーファームであり、それぞれ独立した法人として業務を行っています。

複雑化・多様化する企業の経営課題に対し、PwC Japanでは、監査およびアシュアランス、アドバイザリー、そして税務における卓越した専門性を結集し、それらを有機的に協働させる体制を整えています。また、公認会計士、税理士、その他専門職員約4,000人を擁するプロフェッショナルサービスファームとして、クライアントニーズにより的確に対応したサービスの提供に努めています。

 
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